『糸車よ糸車よ』(1983),『桑の葉』(1985)とならぶイ・ドゥヨン監督の代表作。韓国映画の伝統的なモチーフの一つである巫女(ムーダン)をミステリー&ホラー仕立てで描いた作品。李朝末期、名家の寡婦と身分の低い使用人(ナムグン・ウォン)との許されない愛の残酷な結末と、20年後にその名家に現れた巫女の復讐劇を描く。
スリ谷に住むカン進士(官職の名前)の初孫ソンミンが原因不明の病気にかかる。跡取りの病気に気が気でない一族は、何かの祟りではないかと全国各地から巫女を集めるが、その中で特に優れた巫女のオクファ(ユ・ジイン)は、病気の原因は祖先が犯した悪行の呪いだという。そして明らかになる隠された過去。この家では、20年前にある寡婦にまつわる事件が発生していたのだ。
題名の「避幕」は死期の近づいた病人を隔離する幕屋のこと。この作品はヴェネチア映画祭でISDAP賞を受賞しており、当時世界的には全く知られていなかった韓国映画が国際的に注目される契機となった。『糸車よ糸車よ』と比べると、儒教社会の虐げられた女性を描いている点は同じだが、ミステリー仕立ての復讐劇という点が全く異なる。脚本は『桑の葉』(1985),『アダダ』(1987),『将軍の息子』(1990)などのシナリオを担当したユン・サミュク。
第17回(1981)百想芸術大賞監督賞、第38回(1981)ヴェネチア国際映画祭ISDAP賞、第2回(1982)映画評論家協会賞脚本賞・技術賞(編集部門:イ・ギョンジャ)受賞作品。
初版:1998
最新版:1999/12/7
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