イ先生: | ヨロブン、アンニョンハセヨ。
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ユ&ア: | アンニョンハセヨ。イソンセンニム!
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イ先生: | お二人の挨拶もだいぶさまになってきましたね。
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ユウキ: | へへ。
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アイカ: | もう9回目ですもの。
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イ先生: | さて、これまで観てきた中にはヨンギ、ジョンヨン夫婦が本音で話し合うシーンがありませんでした。
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アイカ: | 喧嘩のときくらい、もうちょっと互いに素直になって欲しいわ。
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ユウキ: | そうすれば少しは楽になれるだろうに。
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イ先生: | そうですよね。ところがこの二人はなかなか本音で話し合える性分の持ち主ではなさそうです。そこが、さらにドラマチックにストーリーを展開させている要因でもあるのですが。今回はそんなジョンヨンの数少ない本音が現われているシーンを取り上げてみました。会話の相手のキョンソンは、第3回目の講座にも出てきましたよね。ファンPDの奥さんです。
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ユウキ: | ファンPD? 誰だっけ?(笑)
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アイカ: | ヨンギのTV出演の機会を得るためにテレビ局まで訪ねて行ったジョンヨンを軽くあしらった人よ。
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ユウキ: | ムム、あの人の奥さんか。
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イ先生: | ええ。ですからジョンヨンは、今度はキョンソン親子に接触を試みたのです。
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ユウキ: | ヨンギのために必死なんだね。
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イ先生: | キョンソンにも最初は相手にされず引き返す羽目にあいましたが、何度も何度も足を運んだとみえ、この直前のシーンでは、二人が仲良く買い物から帰ってくる姿が映し出されます。ところが、ようやく心を開いたキョンソンが旦那にヨンギのことを話してみると言ったのとほぼ同時に、ジョンヨンは気を失って倒れてしまうのです。彼女を病院へ運んだキョンソンはヨンギへ連絡を取ろうとするのですが、必死の形相で駆けつけてきたジョンヨンに遮られてしまいます。その後、二人は並んでロビーの長いすに座り、話し始めるのです。
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アイカ: | 静かに、でも力強く語るジョンヨンの姿に胸を打たれますね。
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イ先生: | では始めましょう。ジョンヨンの(1)「イヘハギ ヒムドゥシル コエヨ」。「イヘハギ」は「理解すること」の意味です。「ヒム」は直訳すると「力」、「ドゥシル」は原型が「ドゥシダ」で「かかる、召し上げる」などの意味です。二つ併せて、「ヒムドゥシル(力がかかる)」、つまり「苦労する」とか「難しい」などの意味になります。
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ユウキ: | ということは・・
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アイカ: | 文全体で「理解に苦しむことでしょうが」となるんですね。
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イ先生: | ええ。他に「イヘハギ オリョウル コエヨ(理解するのは難しいでしょうが)」などもよく使われます。
キョンソンの(2)「ウェヨ? アニ ビョンドゥン ゲ ムスン ジェエヨ?」。「ウェヨ?」は、「何故ですか?」です。前回ヨンギの台詞で「ウェ?」がありましたね。今回のように「ヨ」をつけることによって、やわらかく丁寧になるのです。「ビョンドゥン」は、「病気になったこと」の意味です。「ムスン」は「何、どういう」などの疑問の意味をもつ言葉で、次の「ジェエヨ?(罪なこと?)」を強調しています。
次に、(3)の「ウリ クイヌン」。「ウリ」は今までにも何度か出てきて解説しているように、文字通りの意味としては「私達の」で、さらには自分を含む自分の周辺の人々、物事をよく「ウリ」という代名詞と共に表しています。一種の共同体や帰属意識などの心のよりどころ的なニュアンスが含蓄されている言葉です。日本語の、「私達」や「我々」よりはるかに広範囲に幅広い意味をもつ言葉です。
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ユウキ: | その後の「クイヌン」の「クイ(彼)」も前に習ったな。
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イ先生: | そうでしたね。「クイヌン」は「彼は」の意味ですが、「旦那、主人」の意味でもよく使われます。日本だと恋人の間は「彼」と言いますが、結婚した後にはあまり「彼」とは言わないですよね。しかし、韓国では結婚してもしなくても「クイ」と呼ぶことが多いんです。むしろ「ナムピョン(夫、主人)」というより、「クイ」の方がもっと温かみのある、ずっと恋人同士のような雰囲気のする言葉なので、特に若い夫婦の間ではよく使われているようですよ。
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アイカ: | それって素敵! 私も結婚しても「彼」って言いたいわ。
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ユウキ: | まずは相手を探すのが先ですな。
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アイカ: | あら、人の心配している場合? この間のバレンタインだって私からの義理チョコ1個だけだったじゃない。
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ユウキ: | うっ。その節は・・・ありがとうございました。
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イ先生: | お二人、結構お似合いなんですけれどね。
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ユ&ア: | 「シロッ(嫌っ)!」
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イ先生: | 続けますね。(笑)(4)「ジョハンテン」は「私にとっては」の意味で、「ジョ(私)」+「ハンテヌン(〜にとっては)」が一緒になって、短くなった形です。
(5)「ムォンガ ヘジュゴ シップォンヌンデ」。「ムォンガ」は「何かを」、「シップォンヌンデ」は、「してあげたかったが、できなかった」という後悔のニュアンスが入っている言葉です。
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ユウキ: | ため息一つついた後に、消え入るように話すこの一言、やるせないなぁ。
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アイカ: | ヨンギを愛する気持ちどれほどのものか、伝わってくるわ。
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イ先生: | このように、ジョンヨンからするともっともっとヨンギにしてやりたいことがたくさんあるのです。前に、家の契約書を勝手に持ち出したヨンギを激怒して出て行かせたことがありましたが、それはお分かりの通り決してお店を手放したくないからとか、自分のお店だからというわけではないのです。契約書をそのまま戻しに来たヨンギに対するジョンヨンの態度も怒りに満ちていましたが、ひとつ裏を返せば、契約書位のものじゃなくヨンギの為ならもっともっとあらゆることをしてやりたい、と思う彼女の本音が、このシーンを通しても分かるような気がします。
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