イ先生: | 前回から名詐欺師コンビが登場してきて、ストーリー的にも大変充実してきました。今回も引き続き、二人の登場シーンです。
ジョンヨンが詐欺師を警察に突き出そうとしてもめたあと、気を失って倒れてしまいます。倒れたジョンヨンをほうって置いて逃げるわけにはいかず、心優しい詐欺師たちは病院へ連れていきます。話の舞台は、その病院の廊下になります。
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ユウキ: | 倒れたジョンヨンも心配だけれど、詐欺師2人の名調子が聞けると思うとワクワクするなぁ。
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アイカ: | ユウキ君ったら、不謹慎ね!
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イ先生: | まずは医者の(1)「パク・ジョンヨンシ ボホジャ ブン?」。「ボホジャ」は、「保護者」、「ブン」は「様、〜方」の意味です。
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ユウキ: | またまた漢字の読み方が似ているぞ。
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イ先生: | 前回勉強したように、漢字の韓国語読みと日本語の音読みは似ているものが多いんです。でも似ているからこそ、発音には注意して欲しいです。気を緩めると、日本語と韓国語のちゃんぽん言葉になってしまいますからね。
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ユウキ: | 確かに、混乱しそう・・。
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イ先生: | 医者の問いかけに対してハクスは、実際は保護者ではないのに、自分たちが連れてきたこともあり、「ア・・イェ、ボホジャヨ(ええ、保護者です)」と答えてしまいます。
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アイカ: | ばつが悪いのか、すぐに次の言葉を続けていますね。(笑)
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イ先生: | ええ、それが(2)「オトッケ テェスムニカ?(どのようになりましたか)」ですね。「オトッケ」は、日常会話の中でよく耳にする言葉ですね。言葉に詰まったときや、ちょっと困ったときに「オトッケ ヘヨ?(どうしましょう)」と助けを求める感じで使います。親しい間柄だと「オトッケ?」だけでも、「どうしよう」の意味で使えますよ。
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アイカ: | 私、良くわかりません。ユウキくん、どうしよう。オトッケ?
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ユウキ: | ホットケ!
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アイカ: | ・・・・。
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ユウキ: | あ、あれ?
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アイカ: | ユウキ君のダジャレにもそろそろ飽きてきたわ。
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ユウキ: | え・・。どうしよう、先生。オトッケ〜〜??
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イ先生: | 私に聞かれても・・。
さて、医者に「ナムピョン テェシムニカ?(ご主人ですか)」と聞かれて言葉に詰まるハクスを横目に、ハッチョルが(3)「チョヒ ヒョンスニム オトッケ テェッソヨ?(僕の義理の姉はいかがですか)」と口を挟みます。「チョヒ」は「私の、私達の」、「ヒョンス」は「兄嫁」、「ニム」はもうご存知の「様」の意味ですね。
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アイカ: | ハッチョルは、こう見えて意外と頭の回転が速いのね。
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ユウキ: | そうそう、僕も。
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アイカ: | ユウキ君は完全にハクスタイプよ。
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ユウキ: | (ムスッ)
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イ先生: | アイカさん、今日は毒舌ですね。(笑)
医者の(4)「アニ・・」は「一体、全く」といった意味で、苦情を言う時や怒りをぶちまける時などに、強調の意を表す感嘆詞としてよく使われます。
また、否定を表す意味もあるんですよ。どちらの使い方も、日常会話で頻繁に出てきます。次のハクスの台詞も「アニ・・」から始まっているでしょう?
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ユウキ: | ホントだ。
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イ先生: | その後に続くハクスの「バングム チョンカジ モルチョンヘッソンコドゥンヨ・・クゲ(ちょっと前までは何ともなかったのですが、ね)」の言葉に医者が「モォヨ?(何ですって)」と大爆発。
(5)「アジュ チャル ハショッスムニダ」は、直訳では「非常によくなさいましたね」ですが、もちろん皮肉って言っています。裏を返せば、「よくも 今ごろのこのこと連れてきましてね」と叱責しているのです。
日本の病院で、果たして何割の医者がそのような問いを患者の家族にぶつけるのでしょう? 韓国では、この作品にも出てきますが、患者の家族が医者にちょっと暴力的な手段で怒りをぶつけたり、逆に医者が「何で今まで患者を放っておいたのか」と怒ったりする場面が、頻繁ではないにしろ、あってもそんなに不思議ではないかも知れません。韓国の人たちは感情優先なのでしょうね。
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ユウキ: | そこが魅力でもあり、逆に日本人が戸惑う部分でもあるんだよね。
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アイカ: | 私もそう思います。だからこそ接していて楽しいんですよね。
・・・あら、ユウキくんもたまには良いこと言うじゃない。
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ユウキ: | 「たまには」は余計だよぅ。
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イ先生: | まあまあ(笑)。
さて、話を戻しまして、医者のハクスに対しての叱責は続きます。皆さんお馴染みの(6)「ヨボセヨ!(もしもし)」ですが、このような場面では、語調の強い「あの!」「ちょっと!」といった意味になります。ここでは「ご主人!」と訳してあります。
「シンウムソリド アン ドゥリブディカ?(うめき声も聞こえませんでしたか)」と医者に詰め寄られるハクスは否定も肯定もできず、弟分のハッチョルに言います。「ノン トゥロンニ?(お前は聞いたか)」。
それに対してハッチョルは(7)「ウン(うん、聞いた)」と観客の爆笑を誘う台詞を吐きます。「ウン」の相づちは、韓国語でも日本でも同じ発音&ほぼ同じ意味で使われています。子どもや、女の子たちのカジュアルな会話ではよく「ウン」と出てきます。
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アイカ: | ちょっと甘えるような言い方ですよね。
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イ先生: | そうですね。日本語でも同じことが言えるのではないでしょうか。ここでは彼らが、憎めない、ちょっと可愛らしい人情味のある詐欺師であることから、こういう台詞が良い味を出しているのだと思います。
諦めたハクスは、素直に「チェソンハムニダ」と医者に誤ります。
さて、今回はこれでおしまい。いろいろな単語や文体が出てきて、だんだん難しくなってきていますが、やはり映画の面白さも一緒に味わっていただきたいので、根を上げずにどうぞ頑張ってついて来てくださいね。
「プタックハムニダ!(お願いします)」
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アイカ: | はーい。
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ユウキ: | まだまだ、がんばるぞ〜!
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