※ この講座は『ラスト・プレゼント』の字幕監修をされた権賢珠さんの協力を得ています。

<ハングルとその発音>


<和訳>
ジョンヨンのお店
ジョンヨン: いらっしゃいませ
ハクス: どうも
ジョンヨン: お子様はお幾つですか?
ハクス: 何? あ、35歳。 ハハハ・・・
 チョン・ヨンギさんがご主人ですね?

<講座>
イ先生: ヨロブン アンニョンハセヨ!      
ユウキ&アイカ: イソンセンニム、アンニョンハセヨ!
イ先生: 今までは挨拶を中心に勉強してきましたが、今日からは、少しテーマを変えて、映画の中でも特に面白いシーンを取り上げて勉強していきましょう。前回までは、主役のヨンギとジョンヨンが主な登場人物でしたが、今回からはいよいよ重要なサブキャラの、詐欺師コンビが登場します。
アイカ: デコボココンビね(笑)。
イ先生: 今回から若干応用編に入りますので少々難しいかも知れませんが、映画のシーンを想像して、詐欺師とジョンヨンの会話を楽しみながら勉強してください。
 場面は、ジョンヨンのお店です。まず最初のジョンヨンのセリフ、(1)「イェ、オソオセヨ」は、韓国旅行の際には必ず耳にする言葉なんですが、お二人はご存知ですか?
ユウキ: はい! 知っていまーす!!
アイカ: 「オソオセヨ」は「いらっしゃいませ」ですよね! 実はこの間、ユウキ君達と韓国旅行に行ってきたんですが、その時に覚えた数少ない言葉の一つなんです。
イ先生: あら! そうだったんですか。今度ゆっくり旅行の感想を聞かせてくださいね。
 その「オソオセヨ(いらっしゃいませ)」の前の「イェ」は、特に意味はありません。会話の間を整えるというか、あえて言うなら「はい」で、言葉を発する前の前置きみたいなものでしょう。そういえば私も日本で、近所の八百屋さんに行ったら「はい、いらっしゃい」と言われたことがあります。
ユウキ: それに対するハクスの(2)「ネ」も、同じような感じですか?
イ先生: イェ。これも単なる会話上の相づちといった感じで、あまり意味はありません。
ユウキ: 今のは・・・
イ先生: ああ(笑)。今のは「いいえ」じゃなくて「イェ」ですよ。
アイカ: 相変わらずユウキ君はヒアリングが苦手なのね(苦笑)。
イ先生: (3)の「アギガ ミョッサルイエヨ?」の「アギ」は「赤ちゃん」のことです。「ガ」は助詞の「が」です。「ミョッサル」は「いくつ」、「何歳」という意味で、自分より年下の年齢を聞く時に使います。
 自分より年上の場合は、「ナイ(年齢、齢(よわい)」や年齢の敬語である「ヨンセ(お年)」などを用います。
 ここでは会話を交わしているお客当人ではなく、そのお客が購入して着せるであろう赤ん坊の年齢を聞いていますね。
アイカ: そうすると直訳したら「赤ちゃんが何歳ですか?」ってなりますよね? 「赤ちゃんは」って言う時でも「ガ」を使うんですか?
イ先生: 韓国語と日本語では助詞の使い方が若干違う場合があります。日本語で「○○は△△ですか?」にあたる韓国語が、「○○ガ△△イエヨ?(○○が△△ですか?)」という風になることもあるんです。これは注意してください。
ユ&ア: なるほど。
イ先生: 「ミョッサルイエヨ?」の「イエヨ」は話し言葉でよく使う表現ですが、原形の「〜イダ(です)」が変化した形です。
アイカ: 「ミョッサルイエヨ?」というのはどちらかというと親しげな疑問形になるんですね。
イ先生: 「赤ちゃんのお年はいくつ?」といった感じでしょうね。ところで、前の単語が母音で終わると「イエヨ」の「イ」は文法上脱落します。ここでは、「ミョッサル」が子音で終わる言葉なので、そのまま「イエヨ」となっています。
 それでは、二人とも「イエヨ」を使って自己紹介をしてみてください。
アイカ: チョヌン アイカイエヨ
ユウキ: チョヌン ユウキイエヨ
イ先生: はい、二人とも間違い。
ユ&ア: え?
イ先生: 二人とも名前が母音で終わりますよね。ですから「エヨ」で終わらないと。
ユ&ア: あっ、そうか!
イ先生: それと親しい感じで話す時は「チョ」でなくて「ナ」でもいいですよ。「ナヌン〜イエヨ(エヨ)」。チョは少しかしこまった感じ、ナは親しい感じです。
 まあ、これだけでこの使い方をマスターするのは難しいので、知っている単語で例文を作ってみるといいでしょう。これは、宿題にしましょうか?
ユウキ: ウヘ。・・・テッソヨ(けっこうです)!
イ先生: お! ユウキ君、よくその言葉知ってましたね。
ユウキ: ぼくが韓国で覚えた数少ない言葉の一つ・・・
アイカ: ユウキ君ったら免税店でそればっかり。それで、店員さんも誰もよりつかなくなってしまったのよね。
ユウキ: うるさいなー。
イ先生: それでは、映画に戻りますね。ここで登場するジョンヨンのお店は、「ハッピーランド」という幼児用の服などを売っているお店です。ですから、入ってくるお客さんは、当然赤ちゃん用の服なんかを探しているわけです。だから、いきなり赤ちゃんの年を聞いたんですね。
 ハクスの(4)「イェ? ア、ソルン タソシヨ」なんですが、「ソルン」は「三十」。「タソ」は「五つ」という意味です。「タソシヨ」は、「タソシエヨ」を省略したものです。「シ」は、前の単語が子音の「S」音で終わっているので、「イエヨ」とリエゾンして、「シ(エ)ヨ」という発音になっています。数字については、最後にまとめてやりましょうね。
ユウキ: じゃあハクスは、「赤ちゃんはおいくつ?」って聞かれたのに、自分の年齢を答えたんだ。お茶目だなあ。
イ先生: (5)「チョン・ヨンギシガ ナンピョン テェシジョ?」の、「ナンピョン」は「ご主人」という意味で、「テェシジョ」は、「テェシジヨ?」を短くした言い方です。「テェシジヨ」は原形「トゥエダ(なる)」+「シ(語尾に入れると丁寧になる)」+「ジヨ(念押しなどに使う「〜ですよね」)?」。
 この場合は、「夫なんですよね?」といったニュアンスです。夫であるかどうかを聞く場合は、「テェシムニカ?(〜になりますか?)」となります。詐欺師のハクスは、ヨンギがジョンヨンの夫であることは承知でお店に来ているわけですから、こういう言い方になっています。
アイカ: 文末の表現もいろいろあるんですね。覚えきれない。
イ先生: 例えば、先ほどの「イダ」もかしこまった「イムニダ」といった表現もあるんですよ。
ユウキ: そういえば『ラスト・プレゼント』のオ・ギファン監督は、来日した時にとても言葉使いが丁寧だったと、公式サイトのBBSで読んだことあるんだけど・・・
イ先生: そうなんです。私も直接話をしたわけではないんですが、監督のBBSへの書き込みは見ましたか?
アイカ: 私、見ました。まだ、ほとんど読めなかったけど。
イ先生: これ以上ないっていうくらい丁寧なあの言葉使い・・・ そう、言葉だけでなく、公式サイトで見たあの笑顔・・・っといけない、いけない。
ユウキ: ソンセンニムが メロメロだ。(笑)
アイカ: ほんと、目がハートマーク。メロメロ ジヨ?(笑)
イ先生: もう、アイカさん、ユウキ君!

 さあ、最後に韓国語での数字の数え方について少し説明をしますよ。二種類の数え方があります。これは日本語とも通じるところがあるので、分かりやすいと思います。
 まず、漢字語の数字の数え方です。

0「ヨン」、1「イ」、2「イー」、3「サム」、4「サー」、5「オー」、6「ユク」、7「チ」、8「パ」、9「クー」、10「シプ」。

 11以上は、これらを組み合わせれば簡単に作れます。例えば、11は「シッビ(シプ+イ)」、35であれば、「サムシプオー」となるわけです。まず1から10までを覚えて、あとはお風呂の中で1から99までを組み合わせて数えてみてはどうですか? きっと上達が早くなりますよ。

ユウキ: うっ、全部数え終わる前にのぼせてしまいそう・・・
イ先生: 以上の漢字語は主にメートルやグラム、通貨の単位と一緒に使います。その他電話番号にも使いますね。
 それ以外はたいてい固有語の数字を使います。日本語の「ひとつ、ふたつ・・・」の数え方にあたります。

1「ハナ」、2「トゥー」、3「セーッ」、4「ネーッ」、5「タソッ」、6「ヨソッ」、7「イルゴプ」、8「ヨド」、9「アホプ」、10「ヨ」。

 11から19までは、漢字語の数字を組み合わせて数えます。20は「スム」で、21から29までは組み合わせです。21であれば「スムラナ(スム+ハナ)」、22であれば「スムルトゥル」。同様に、30「ソルン」、40「マフン」、50「シィーン」、60「イェスン」、70「イフン」、80「ヨドゥン」、90「アフン」も、各々組み合わせて言えます。例えば、37歳なら「ソルンイゴプサル」になります。
 皆さんも、ご自分の年を言ってみてください。頭が数字だらけでパニックになりませんように。

 数字に関してざっと説明しましたが、本当はもっといろいろとあります。数字ばかりは繰り返して練習する以外にありませんのでがんばって覚えてくださいね。ん?どうしたの二人とも。

アイカ: ソンセンニム、私、頭がパニックしてきました。
ユウキ: ソンセンニム・・・ 僕にはとても覚えきれないジヨ。


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