※ この講座は『ラスト・プレゼント』の字幕監修をされた権賢珠さんの協力を得ています。

<ハングルとその発音>


<和訳>
ジョンヨン: あの、こんにちは・・・
キョンソン: ええ・・どなたですか?
ジョンヨン: あの・・失礼ですが、ファン・ソクジュンPDの奥様でいらっしゃいますよね?
キョンソン: そうですが、どなたですか?
ジョンヨン: あの、初めまして、私お笑い役者のチョン・ヨンギの家内です。ファンPDと何度かお仕事をご一緒させて頂いておりまして。
キョンソン: そうですか。
ジョンヨン: (子供に)あら、可愛いわね、これ一つあげようか。 さあ・・・

※ PD:韓国の放送業界では、プロデューサー(Producer)とディレクター(Director)を総称して、PDと呼ぶ。

<講座>
イ先生: ヨロブン、アンニョハセヨ!
ユウキ&アイカ: アンニョンハセヨ!
イ先生: 前回は、ジョンヨンがファンPDを訪ねるシーンで挨拶の勉強をしました。今回は、ジョンヨンがPDの奥さんを訪ねるシーンを見てみましょう。
 幼稚園の前で、PDの奥さんを待っていたジョンヨンが、子どもを連れて出てきた彼女を見つけ、すかさず走りよって声をかけるシーンです。
 まず、(1)の「チョギ」ですが、「チョ」という呼びかけの言葉を前回やりましたね。覚えていますか?
アイカ: 「あの」や「すみません」にあたる言葉ですよね。
ユウキ: チョー、チョー、チョー・・・、チョ チョン チョンヨンギシ・・ おーやっと、きちんと言えるようになってきたぞ。
イ先生: 二人とも復習していますね。その調子ですよ。実はこの「チョギ」、本来は場所を示す「そこ」とか「あそこ」というような意味なのですが、ここでは「チョ」と同じように、呼びかけの言葉として使っています。
 よくレストランや喫茶店などで、店員さんを呼ぶ際、特に女の人が「チョギヨ」と呼びかけます。日本語だと「すいませーん」という感じでしょうか?同じ言葉で「ヨギヨ」という表現もあります。
 簡単ですので、ぜひ一度、韓国のお店で「チョギヨ!」「ヨギヨ!」と呼びかけてみてください。
ユウキ: チョギヨー、ヨギヨー、コーヒー!
アイカ: 結局、注文は日本語なのね。(笑) 「コーヒー」は「コッピ」だったでしょ!
イ先生: 「コッピ ジュセヨ(コーヒーください)」でいいですよ。「ジュセヨ」は、英語で言うところの「Please」ですから、いろんな会話で使えます。
 (2)「イェ」は、会話ではよく出てくる言葉です。直訳では「はい」という同意を意味する言葉です。ここでは、「ええ」と相づちを打つような感じで使っています。
アイカ: 日本語の「いいえ」と韓国語の「イェ」。似ている言葉なのに、意味は正反対ですね。
イ先生: イェ
ユウキ: え? 今のはどっち?
イ先生: ユウキくん、書かれてある言葉だけでは、意味が分かりにくいですが、実際にそのシチュエーションで台詞を聞いてみると、意味がよく分かりますよ。例えば、(7)の「ア・・イェ」あたりは、ちょっと迷惑そうな「だから何なの?」といったニュアンスの「そうですか」という意味です。
 ジョンヨンの(3)「イェ、チョ」以下は、とてもかしこまった言い方になっていますね。唐突に「ファンPDの奥様ですか?」と問いかけるのではなく、ちょっと遠慮した感じで「あの、失礼ですが・・・」と一拍間を置いて遠慮がちに言葉を進めています。
アイカ: 確かに、私も初対面の相手にお願いごとがあるような時は、不躾な印象を与えないように気をつけています。
ユウキ: 僕はどんな相手にでも気軽に話しかけてしまうからなあ。これからは気をつけようっと。
イ先生: (4)「ファン・ソクジュンピディニム」の「ニム」は、「様」にあたる敬称です。日本語では、専門職や役職の呼称に様などの敬称はつけないのが一般的ですが、韓国語では「ソンセン(先生)+ニム」や「サジャン(社長)+ニム」というように「ニム」をつけます。
 逆に「ニム」をつけないと呼捨てになり、相手に失礼になりますので注意しましょう。年下の人や同僚の場合は、「〜シ(氏)」と名前の後に付けて呼びます。また、「MR」や「MISS」を姓の前につけて呼び合うことも、職場などではしばしばありますね。
ユ&ア: イソンセンニム!
イ先生: そうです(笑)。ちなみに、会社などでは、電話が取引先などからかかってくると、自分の職場の上司にも「ニム」という敬称をつけるんですよ。
ユウキ: 面白いなあ。
イ先生: 日本との文化的な違いですね。それから、(5)「サモニム(奥様)」ですが、こちらの場合は目上の夫人の敬称として「サモニム」で一つの単語となっています。
 (6)「ファンピディニム ハグ カチ ミョッ ボン イルヘッタゴ ドゥロコデゥンヨ」の「ハグ」は、「〜と」という意味で、書き言葉では「ハゴ」です。「カチ」は「共に」「一緒に」という意味です。「ミョッ ボン」は「何度か」、「イルヘッタゴ」は「イル(仕事)+ヘッタゴ(したと)」、「ドゥロコデゥンヨ」は「聞きましたが」の意味で、語尾を上げて言います。ですから直訳では「ファンPDと一緒に何度か仕事をしたと聞きましたが」という意味ですね。
 それに対する夫人の答え(7)「ア・・イェ」は、「そうですか」と訳しています。文字では伝わりにくいですが、先ほども言ったように、何とも迷惑そうな感じでいるのが映画を見ればよく分かります。同じ言葉でもイントネーションや語尾の上げ下げで意味が全く変わってしまうことがよくありますので、外国語の勉強は活字だけではなく、実践から学ぶ方ことも大事ですね。
ユ&ア: はーい。
イ先生: (8)の「イプゲ」の動詞は、「イプダ」です。他には「キヨップタ」も同じく「可愛い」という意味です。「イプダ」はどちらかと言うと「きれい」に近い意味です。このジョンヨンの台詞は、ただ単純に夫人の手前、子どもを誉めてあげているようにも聞こえますが、自分の子どものこともあるし、純粋に子ども好きなのかもしれません。
 この辺り、映画を見る人によって多少解釈が異なるかも知れませんね。
ユウキ: ジョンヨン ファンの僕としては、ジョンヨンが子供好きなんだと信じたいな。
アイカ: ところで、ユウキ君、私は「イプダ」?
ユウキ: いいえ
アイカ: 「イェ」? ありがとう、さすがユウキ君。見る目あるわね。
ユウキ:(小声)都合のいいヒアリング力・・・
イ先生:(苦笑)


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