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ニューヨークデイドリーム


題名
原題
ハングル
ニューヨークデイドリーム
Too Tired to Die
투 타이어드 투 다이
製作年 1998
時間 97
製作 ドリーム・サーチ
ブラック・スワン
イルシン創業投資
監督 チン・ウォンソク
出演 金城武
ミラ・ソルヴィーノ
キム・ヘス
ベン・ギャザラ
ジェフリー・ライト
マイケル・インペリオリ
ジーノ・レクナー
ビル・セイジ
チン・ウォンソク
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 ブラック・コメディ。舞台はニューヨーク。何の考えもなく日々を無為に過ごしていた日本人留学生ケンジ(金城武)が、死の天使(ミラ・ソルヴィーノ)から12時間後の死の宣告を受けた時から始まるハプニングを描く。「あなたの残りの人生は12時間よ」と言われたら、さてあなたはどうします?

 特筆すべきは、金城武,ミラ・ソルヴィーノ,ベン・ギャザラなど国際的知名度のある俳優とキム・ヘスが共演していること。金城武が一目惚れするアジア系女性アノック役で出演している彼女の演技に注目。

 監督は米国留学して現在もアメリカ在住のチン・ウォンソク。撮影はすべてアメリカで行われており、スタッフもほとんどアメリカ人。そして、台詞もオール英語といういかにも外国向けな映画。1998年のサンダンス映画祭 "American Spectrum" 部門に出品され話題となった。金城武のアメリカ進出第一作でもある。金城武を台湾人や香港人と思っている人が多いが、彼の国籍は日本。実は、事実上韓国映画ともいえる作品に日本国籍の俳優が主演しているんですね。ちなみに、主人公ケンジは監督の日本人の友達がモデルとか。

 韓国資本の作品で監督・製作総指揮も韓国人だが、日本ではアメリカ映画扱い。韓国産でありながら韓国での封切りより先に日本で公開されためずらしい映画でもある。韓国では1998年11月末に公開されたが、1週間であえなく上映打ち切り。インディー系映画が韓国で成功することの難しさを再認識させた。

 第3回(1998)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門出品作品。

初版:1998/12/7


【ソチョンの鑑賞ノート】

 パンフレットのどこかにも書いてあったと思うが、『スモーク』みたいで結構面白い。思わず舞台になっているコーヒーショップに行って見たくなる。どちらかというと「ああしてこうしてこうなった」という筋道のたった映画が好きなので、この映画のように雰囲気や過程を楽しむ映画はあまり高く評価しないのだけれど、それでももう一度見てもいいなと思った。人によっては大絶賛するかも。ただ、俄か金城ファンにはきつい映画だろう。実際前の席に座ってた女性二人は終映後きょとんとした顔で見詰め合っていた。金城武の演技は今まで見た中で一番マシ。というより、金城の演技は相変わらずなのだけれど、それを支える助演陣と映画が持ってる雰囲気が金城を引き立たせている。

 監督のチン・ウォンソクはよく映画を勉強しているというか、見ているというか、映画お宅というべきか。全編マニアックなジョークだらけ。というのは実はパンフレットを読んで知った(おそまつ)。

 この映画はニューヨークでないと作れない映画だろう。日本でも最近多国籍な映画が作られるようになってきたが、まだまだメッセージ性の強いものが主流。この映画のように多国籍でありながら無国籍で、でも実はナショナリティーが強く出ている(ジョン・セージの日の丸アートを見た時の主人公ケンジの表情!)不思議な映画は人種のるつぼの先輩格、ニューヨークの専売特許か。英題は "Too Tired to Die" だが邦題『ニューヨークデイドリーム』とはよく付けたものだ。

1998/9/5 執筆



投稿者:SUM さん 投稿日:1998年9月7日(月)22時50分00秒

 なかなかいいセンスで見せてくれました。コメディックに死というテーマを見事に扱ってくれました。結末の善し悪しをいう意見もありますけれど、あの映画はストーリーよりも、流れていく時間が素晴らしいんだと思います。

 セリフや振る舞いの一つ一つがいい。チン監督の友人だった日本人をモデルにしたといいますけれど、よく日本人をとらえているなぁって思いました。本当に韓国的で、それでいて非常に日本的なものを取り込んでいて、そしてアメリカ的で、本当の意味で「多国籍」な映画なんだと思います。

 こういう映画に予算をだしたプロデューサーは素晴らしいと思いますし。こういう映画がアメリカで流行ってくれたら、アメリカの価値観も少しは変わるかなぁ、なんて思ったりもしました。

 役者もそれぞれ個性の強い多国籍のメンバーが集まっているのに、それぞれに光って全体で整っているのもいいですね。

 マニアっくなジョークも満載ですし、とにかくいろんなエッセンスが凝縮された傑作です。

 インディーズ映画の一つの形として理想的だなぁって思いました。役者も残らず魅力的でした。正直、主演の金城くんには食傷気味だったんですが、この映画の彼は、新しいことは何にもやっていないといってもいいのに、でも新鮮でした。

 ちなみに、最初に金城武メッセージのフィルムが流れましたが、ファンにはたまらないようです(私にはちょっとよけいに思えましたが)。

【評価:★★★★★】


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