三流コメディアンと不治の病におかされた幼い娘を主人公にした涙涙の物語。テーマ的には、この映画と同じく2001年に公開され大ヒットした『ラスト・プレゼント』とかぶる部分が多いが、企画・製作は『苦海』のほうが先。
三流コメディアンのオ・ジニョン(ユン・ダフン)。いつかTVにデビューし、スター・コメディアンになるのが夢の彼には、別れた妻との間に7歳になる娘オ・ガヨン(キム・ジソン)がいた。ガヨンはおばあさんの手により田舎で育てられていたが、そのおばあさんの死がきっかけとなり、二人は親子で生活することになる。慣れない生活に戸惑う二人だったが、やがて二人は父娘らしくなっていく。しかし、実の親子でありながらガヨンを戸籍登録していなかったため、ジニョンは児童暴力犯として留置場送りに、そして、ガヨンは児童保護所へ送られてしまう。ところが、その児童保護所の所長イ・ガフン(ソル・スジン)は、ジニョンが別れた妻だった。ひょんなことから再会する夫婦とその娘。やがて、娘ガヨンが娯楽番組の司会に手紙を書いたのがきっかけで、ジニョンは念願のTV出演を果たすが、その陰でガヨンの体が不治の病におかされていることが分かる。
ガヨン役を演じた子役のキム・ジソンの演技が好評。映画『スカイ・ドクター』,『やくざ修業3』,『ジャカルタ −現金争奪戦−』に出演し、MBC TVドラマ『俺達3人組』で人気を博したマルチ・タレント、ユン・ダフン(1964年生まれ)が初めて単独で主演した映画。彼は独身で、隠し子の娘がいることを告白したコメディアンだが、この映画の設定は彼の実体験とシンクロする部分が多いことでも話題となった。ユン・ダフンの妻役を演じたソル・スジンは、ミス・コリア出身のタレントで、これが映画デビュー作。
監督のキム・ジョンジン(1960年生まれ)は、漢陽大学演劇映画科を2年で中退し、映画アカデミー2期を卒業した人物で、本作が監督6作品目となる。原案はユ・ジョンファ。脚本はハン・チャンハク。
初版:2001/6/4
|