ベッド・シーンをふんだんにとりいれた悲劇的な恋の物語。世の中から疎外された男女が愛し合い、やがて破局を迎える様を描く。『LIES/嘘』の主演女優キム・テヨンの主演第二作。評論家筋では「『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1986)の設定をそのまま使っているが、『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』には遠く及ばない作品」と評された。
原題の「クニョエゲ チャムドゥルダ」は意訳すると、「彼女におぼれて」「彼女の胸で眠る」といった意味だが、「チャムドゥルダ」の「チャム」は「潜」という漢字なので、ここでは「彼女に潜む」と訳してみた。
本能的に行動する女性スビン(キム・テヨン)は、廃船に絵を描いてそこに一人で住む男ジェモ(イ・ジュヒョン)と出会い、恋に陥る。彼女がどういった理由でどこから来たのか? そんなことは知らないままに肉体関係を結ぶ二人。やがて、ジェモの夢が作曲家になることだと知ったスビンは彼の夢を実現させたいと思うようになる。そして、ジェモとの愛を確認するために子供を欲しがるようになるスビン。しかし、そんな彼女の深すぎる愛はやがて二人を不幸に陥れることになる。
『LIES/嘘』での体当たりの演技が記憶に新しいキム・テヨンだが、この映画でも撮影中に火傷をおって入院するなどの話題を振り撒いた。『LIES/嘘』ではセンセーショナルなイメージばかりが先行し「露出女優」のレッテルを貼られた彼女だが、この映画では「演技派女優」との評を得る。彼女の相手役イ・ジュヒョンは、1996年にKBSスーパータレント金賞を受賞して芸能界デビューし、TVドラマやCMで活躍しているタレントだが、映画はこれが初出演となる。スビンを理解する女性ヨンヒを演じるのは、クォン・ミンジュン。また、スビンを愛する男性テシクはミュージカル俳優ソ・スンジュンが演じる。
写真作家出身で、1998年のOBビールのCMなど、主にCM界で活躍してきたパク・ソンイル監督デビュー作。1961年生まれの彼はフランスのConservatioire Libre du Cinema francais(1991年卒)で映画を専攻、Ecole de Photographie Paris Icart(1992年卒)では写真の勉強をした人物。脚本はイ・ヨンシル。脚色は、パク・ナナ、チェ・ビョンジュ、キム・ヨンベ、ファン・ギョンエ。『バンジージャンプする』の主題歌を歌ったキム・ヨヌがこの映画のテーマ・ソングも歌う。
韓国公開時には、予告編があまりに過激なため「内容が過度にエログロ」との理由で劇場主が自主的に上映を保留する一幕もあった。
初版:2001/3/21
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