『モーテルカクタス』 チョン・ウソン合同記者会見
目次
- 『モーテルカクタス』主演男優チョン・ウソン来日記者会見
- ★ さよとスカッシュの楽しい記者会見報告(^^)
- 謝辞
1998年10月14日(水)15:45より キャピタル東急(赤坂)日光の間
- チョン・ウソン
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こんばんは(日本語)。アンニョンハセヨ。チョン・ウソンと申します。はじめまして。このように関心を持っていただきまして驚いています。ありがとうございます。大変誇らしく思います。
- 質問1
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『モーテルカクタス』に出演することになった経緯を教えてください。なぜ出演しようと思われたのでしょうか。また実際に出演してみて感じたことがありましたら具体的に教えて下さい。
- チョン・ウソン
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はじめにお話をいただいた時は今まで出演した映画とは違う映画でしたので迷いがありました。今まで私が出演してきた映画はハイティーン向けの商業映画が多かったのですが、『モーテルカクタス』は露出度も高いですし、今までの映画とは雰囲気が違っていましたから。そういった事に対する恐れも若干ありましたが、出演を決心したのは、低予算の非商業的な映画でありがならとても芸術性が高かったからです。このことがその他のリスクを、例えば露出度が高いといったようなことをカバーできると思いましたし、自分の新たな一面をみせることができるよい機会になると思いました。また、撮影監督がクリストファー・ドイルだということも私にとっては決心する決め手の一つになりました。
この映画に出演して一番の収穫は、こうして日本に来て皆さんに挨拶できる機会を持てたということ、また韓国映画界の関係者に対しては、今までとは違うチョン・ウソンの姿、新しい一面を見せることができたということです。
この映画の撮影で最も印象を受けたのはクリストファー・ドイルの撮影方法です。彼の撮影方法は非常に想像力豊かで創造的な撮影方法です。たとえば、ひとつの場面を撮るのにもこれ以上ないというぐらいにアングルを探し求める、その追求の仕方が印象的で、このような撮影監督は他にいないと思います。
- 質問2
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今、クリストファー・ドイルの名前が出ましたが、香港映画の『上海グランド(原題:新上海灘)』に出演された理由と経緯について教えてください。
- チョン・ウソン
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『上海グランド』に出るときも、やはり若干の迷いがありました。韓国でかなりの人気と地位を確立しつつあり、今まで主役をやってきた俳優が香港に行って、『上海グランド』のようなそれほど大きくない役を演じる意味があるのかとも思いました。しかし考えてみれば香港では私を知っている人はいないので、これがまた新たなデビュー・出発になるのだと考えました。その新しい出発をするにあたっては『上海グランド』の役が非常に印象的で良い役でしたし、香港の人たちにチョン・ウソンの存在を知らしめるいい機会になるだろうと思いました。また、共演したアンディ・ラウやレスリー・チャンは私が思春期に憧れていた俳優だったので、その人達と共演できるということは誇らしいと同時に非常に楽しい経験でもありました。
- 質問3
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モデルをされていたそうですが、モデルから俳優に転身しようと思った理由を教えて下さい。それと韓国では公の場所での日本映画の上映が禁止されてきた訳ですが、最近開放が近いといわれている日本映画について思うところはありますか。
- チョン・ウソン
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中学校の頃に映画をたくさん観ながら俳優に憧れ、高校の時に決心を固めました。もともとモデルがやりたかったわけではなくて、はじめから俳優を目指していて、俳優になるステップとしてモデルになったのです。選択肢としてはモデルになるほうが楽だったので、まずモデルになり、俳優になる道を模索していました。モデルになってから8ヶ月位はうまくいかなかったのですが、『KUMIHO/千年愛』という映画を製作する計画があることを知り、マネージャーと相談してオーディションを受けました。その時は監督の目にとまったという感触は得られなかったのですが、その後密かに台本を入手して台詞を覚え、監督を訪ねて「私はこの役ができる」と説得して『KUMIHO/千年愛』の役を獲得しました。
はじめ私が「俳優になりたい」といった時は、「背が高いため映画俳優には向いてないのではないか」とも言われたのですが、現在では韓国の俳優も背が高いのが普通になり、それが自然になってきています。
韓国で日本文化が開放されようとしていますが、個人的には遅かったと思います。私は中学校の時に日本のアニメーションを見ていましたし、高校の時は日本の歌が流行してよく聴いていました。形式的には日本文化の輸入は禁止されていましたが、実際のところ若い人達は日本の文化をたくさん吸収していましたし、日本の文化は韓国の若者にとって親しみのあるものです。情報はそれほど多く入ってきませんでしたが、有名な日本の映画の題名などは私も知っており、前回来日した時は黒澤明監督の『七人の侍』(1954)を買って帰りました。このように、日本の文化というのは実際には非常に身近であったと思います。
- 質問4
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日本で「韓国のキムタク」と呼ばれているということなのですが、日本の大スターのキムタクをご存知ですか。またそう呼ばれることについて、どう思いますか。日本の歌や有名人で気に入ってる方がいらっしゃったら教えて下さい。
- チョン・ウソン
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木村拓也の名前は知っていますし、SMAPというグループ名も知っていますが、顔と名前が一致しないので、どの人かは分かりません。「韓国のキムタク」と呼ばれることについては、ありがとう(日本語)。嬉しいです。非常にかっこいい人だと聞いていますから。好きな日本の歌手は、尾崎豊,徳永英明,桑田佳祐,TUBE、X-JAPANなど。SPEEDも聞いています。俳優はあまり知りません。
- 質問5
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『ビート』,『モーテルカクタス』、そして次回作の『太陽はない』と、最近3本連続でウノ・フィルム制作作品に出演してらっしゃいますが、ウノ・フィルムとは独占契約をしているのですか。それと、ウノ・フィルムは今までの韓国映画とはかなり違う作品を制作している会社のようなのですが、若い監督や製作者が作った会社なのでしょうか。これは監督に質問するのがいいのですが、チョン・ウソンさんにも聞いてみたい。あと、テレビ・ドラマでの出世作になった『アスファルトの男』の監督と配役、視聴率を教えてください。
- チョン・ウソン
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ウノ・フィルムとの独占契約は結んでいません。出世作となった『ビート』の制作スタッフと話をしていまして、次回作も若い映画スタッフと一緒に「若い映画」を作ろうということになり、それが偶然ウノ・フィルムの制作になったのです。ウノ・フィルムという会社は韓国で初めてプロデューサー制を導入した会社で、いくつかの映画にプロデューサーを割り振って、同時に制作を進行していくという形態をとった初めての会社です。また、いいシナリオを探すのにも意欲的な会社です。
『アスファルトの男』に出演するきっかけですが、テレビが持っている影響力は非常に大きく、当時それほど名前が売れていなかったので、俳優として有名になるためにもテレビのミニシリーズに出るのがいいと判断したのです。また、『アスファルトの男』は非常に実験的な作品で、普通のテレビ・ドラマとは違ってフィルムを使って撮影する予定だということを聞きまして、それに対して非常に好感を持ち、制作スタッフと話しをして出演を決めました。『アスファルトの男』での私の役は、貧しい家に育った兄弟で、私が演じる男性が後にその家庭における愛の中心になるというような話です。視聴率はとてもよかったです。
- 質問6
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現在、韓国では日本映画はビデオか衛星放送でしか見られない訳ですが、最近チョン・ウソンさんがご覧になった日本映画の中で印象に残った映画や監督がありましたら教えて下さい。また、日本映画への出演依頼は過去・現在を含めてありますか。
- チョン・ウソン
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先ほど『七人の侍』のビデオを買ったという話しをしましたが、古い映画だったということと、字幕なしだったということがあり、実は話がよくわかりませんでした(笑)。いい映画であるという話しはよく聞いていたのですが。印象に残っているのは北野武監督の『キッズ・リターン』(1996)。日本の映画は非常に端正だと思います。
現在、日本映画からのオファーはありませんが、最近日本と韓国の合作という話はあちこちで聞きますし、これからも多くなると思います。もし、出演する機会があれば喜んで出たいですし、そういう機会が来ることを望んでいます。もちろんシナリオがよければですが。
- 質問7
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『モーテルカクタス』撮影中のエピソードと相手役のチン・ヒギョンさんについて教えてください。それと、北朝鮮のメディア、テレビや映画は現在韓国で上映されているのでしょうか。それについてあなたの印象を聞かせて下さい。
- チョン・ウソン
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映画の撮影で楽しい話しといえば、まぁベッドシーンは結構楽しかったです。それとクリストファー・ドイルと一緒に撮影できたのも楽しかったです。今回は関係が終わりつつある男女という役柄でしたので、撮影現場では相手役のチン・ヒギョンさんに対して冗談ひとつ言わず、会話もなく、撮影終了後に「なんて無愛想な人なの」と言われました。
北朝鮮の放送で観たことがあるのは、抗日の安重根(アン・ジュングン)、日本語で言いますと「あん・じゅうこん」の映画を一回観たことがあります。その他は、特別な統一プログラムで放送されるのを見るくらいです。現在韓国では北朝鮮のプログラムを自由に見ることはできませんから。
- 質問8
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今、アジアの映画監督や映画スターがハリウッドをめざしていますが、チョン・ウソンさんもその一人なのでしょうか。
- チョン・ウソン
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監督がより大きな市場を求めてハリウッドに進出するのは大切なことかも知れません。しかし俳優の場合は話がちょっと違うと思います。ハリウッドは白人中心の社会ですので、そこで東洋人である私がどんな役をやるのかということを考えると、ハリウッドよりもむしろアジアを活動の拠点としていくことが大事だと思っています。私は、どんな映画に出てどのような役をするのかということが俳優として最も重要なことだと考えていますから、それを大事にしたいのです。また、これからアジアは大きな市場を形成していくだろうと予想していますし、そこで活躍することを望んでいます。
- 質問9
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映画への出演にこだわって、テレビ出演を断っているという話しを伺ったのですが、その理由を教えてください。
- チョン・ウソン
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映画とテレビには大きな違いがあります。映画の制作過程ではスタッフとの家族的な一体感が感じられたり、監督と俳優が意見を交換しながら一緒に作っていくといったことがありますが、テレビではそういうことはありません。また、テレビでは自分自身の作品を作り出すことができません。そのような違いがあって、映画の出演にこだわっているのですが、それよりもなによりも私は映画がとても好きなのです。
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Text by 藤田知子(さよ)&中村逸子(スカッシュ)
- さよ
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会場に現れたチョン・ウソンは黒のスーツ姿で『上海グランド(原題:新上海灘)』の雰囲気そのものでした。最近流行のビジュアル系スターという言葉がぴったりします。香港映画の雰囲気を持つ人ですね。
- スカッシュ
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元モデルだけあって決まってましたねぇ。私は片方だけしているピアスが気になったのですが。もう一つは...やっぱり(笑)?
- さよ
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彼が話の合間、煙草に火をつけ、一瞬顔をしかめたその表情が映画の1シーンのようで...(シャッターの嵐)。ウーン、何をしても絵になる男!
- スカッシュ
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最近では、『上海グランド』に、台湾抗日同盟のリーダー役として特別出演していた俳優といえば、わかってもらえる方が多くなりました。演技、役どころという面では、『上海グランド』は他の映画とは少し違う骨太なウソン君が出ていて、改めて観直してみると「こういう彼もまたいいな」と思えます。出番は少ないですが、いい役を経験したな、と思えます。
- さよ
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『KUMIHO/千年愛』では人気女優コ・ソヨンと共演してましたね。東洋に古来から伝わる九尾を持つ幻の狐、九尾狐(クミホ)の話でした。九九九年生きた狐が絶世の美女に化けて男の精気を吸い尽くすという話は面白かったです。
- スカッシュ
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『KUMIHO/千年愛』の彼は、もう、顔がまんまるですね! 可愛いぞ可愛いぞ!これはもちろん、ほめているんです。私、ぽっちゃりウソン君が好きなんです。『ボーン・トゥ・キル』はシム・ウナとの共演で、仕事では非情なんだけど、実は寂しがりやで優しい男を演じていました。彼はけっこう可愛い人だと思うな。いわゆる母性本能をくすぐられるようなタイプでもあるんですよ。そのうちに、チョン・ウソンのコメディなんかも見てみたいですね。
- さよ
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『ビート』ではハードなアクションシーンがあって、わくわくしたのですが、それ以後、腰を痛めて入院していたそうです。先日の記者会見の時に「腰の調子はどうですか?」と伺ったら、「もうすっかり大丈夫。次回作も7割撮影が終わってますよ」ということでしたけど、次回作の役もボクサー役ということですが、大丈夫なのかしら(次回作は『ビート』と同じキム・ソンス監督の『太陽はない』)。
『太陽はない』ではイ・ジョンジェと共演というのも気になります。今年の釜山国際映画祭で『情事』(共演イ・ミスク)を見ましたが、人気上昇中のすてきな俳優です。チョン・ウソン、イ・ジョンジェ等、最近の韓国俳優は長身、精悍で、クールなタイプの男性が多くなってるような気がしました。
- スカッシュ
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その映画の役作りの為か、最近はちょっと痩せすぎでは、と心配していたんですが、顔はすぐに戻るかな。第3話のキム・ソクテ役のパク・シニャンも今、韓国女子大生結婚したい男性NO.1ということで人気なんです。黎明と一緒にCDも出してますよ。
- さよ
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はい、オススメのCD(注)買いました。「ノエ キオク」聴きましたよ。パク・シニャンは歌手よりも俳優の方があってるかな^^; 次回作は『ホワイト・バレンタイン』だそうです。スカッシュさん!来年の2月14日は2人で韓国で『ホワイト・バレンタイン』を見るなんていうのはどう?(^^)
『モーテルカクタス』は韓国人気俳優オンパレードですね。釜山でみた日刊スポーツ新聞(1998.9.26)の人気投票では、男性俳優第1位はもちろんハン・ソッキュで、3位がパク・シニャン、4位がチョン・ウソンでした。
(注)オススメのCD
SBS TV ドラマ・スペシャル『私の心を奪ってみて(ハングル:내마음을 뺏어봐 )』のCD。パク・シニャンと香港明星黎明(レオン・ライ)の歌が収録されている。
- スカッシュ
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おお、それはすごいですね〜。
キネカ大森に『裏街の聖者(原題:流氓醫生)』を観にいった時『モーテルカクタス』の予告編をみました。大画面でこの映画を観れると思うと、期待でゾクゾクしました。『モーテルカクタス』は、とにかく映像が美しいです。チョン・ウソンは、とても肌がなめらかできれいな人ですし。この映画では、恋人にそろそろ倦怠感を抱いている男を演じているので、なんとなくけだるい雰囲気が、ドイルのカメラワークとあいまって、彼のビジュアルな魅力を充分に引き出しています。
- さよ
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多忙な中、短期間のプロモーションの来日でした。チョン・ウソンに会えたというのは非常にインパクトがありました。「東洋人である自分はハリウッドではなく、アジアで活動したい」と言ったその言葉が、アジア映画が好きな私にはとても嬉しく響きました。アジアフォーカス福岡映画祭'98では『ザ・コンタクト(原題:接続)』,『8月のクリスマス』が上映されて観客の反応は良く、私も劇場の人々と一緒に感動の涙を流しました。韓国映画は日本の人々の心にぴったり合うような気がします。殆ど見る機会のない韓国映画は新鮮です。これから日本で多くの韓国映画が見れるようになるといいです。
1998年10月25日受領
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今回の合同記者会見は、藤田知子(さよ)さんと中村逸子(スカッシュ)さんに出席をお願いし、当日の模様をレポートしていただきました。急なお願いにもかかわらず快くお引き受けいただいたお二人に感謝いたします。写真の撮影者は、ページの上から1,2,3,5枚目が藤田知子(さよ)さん。4,6,7,8枚目が中村逸子(スカッシュ)さんです。なお、合同記者会見詳録は藤田知子(さよ)さんと中村逸子(スカッシュ)さんからの原稿を西村嘉夫(ソチョン)が編集しました。
合同記者会見への案内は『モーテルカクタス』の配給社アートキャップ(提供:ニューセレクト株式会社)からいただきました。記して感謝いたします。
1998年10月25日 西村嘉夫(ソチョン)
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