朝鮮戦争直後、戦争で夫らが死んでしまい、女たちだけで暮らしているある村に、共産軍の落伍兵ギュボク(シン・ヨンギュン)が現れる。村の女ジョムネ(チュ・ジュンニョ)と情を通じた彼は竹林に潜伏するが、二人の仲に気づいた未亡人サウォル(ト・グンボン)がギュボクに関係を迫る。いつしか、ギュボクは女二人に養われ性の奉仕する身分に成り下がる。そんなある日、サウォルが妊娠しギュボクの存在が村人に知られてしまう。軍と警察がかけつけ共産党討伐作戦が始まり、警察は竹林に火を放つ。逃げ惑うギュボク。女二人は最後まで彼を守ろうとするのだが...
題材は非常に面白い。冒頭のシーンで女ばかりの村であることが知らされ、観客にとってはなぞ解きの要素もある。しかし、テーマがテーマだけに当局から随分カットされたのが災いしたか、奥歯に物が詰まったような作りになっていて、非常に分かり難くなってしまっている。朝鮮戦争後のパルチザンの残党討伐の話しを知らない日本人観客には何がなんだか分からないのではないだろうか?
朝鮮戦争を題材とした韓国映画は数多いが、悲劇的な状況の中で、男女の性欲がストレートに描写されているこの作品は痛快ですらある。北も南も同じ人間。イデオロギーにかかわらず、やることは皆同じということか。
第11回釜日映画賞女優主演賞(チュ・ジュンニョ)・女優助演賞(ファン・ジョンスン)、第5回(1967)青龍賞劇部門作品賞・女優主演賞(チュ・ジュンニョ)・脚本賞受賞作品。
原作は、車凡錫(チャ・ボムソク)の戯曲。
第7回(2002)釜山国際映画祭特別企画プログラム「キム・スヨン回顧展」部門招待作品。
初版:1998/6/7
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