2000年の第57回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門に招待された『魚と寝る女』で、各国ジャーナリストの目を釘付けにした異色女優。そのエキゾチックな風貌と鋭い目、挑発的なまでのセクシーさ、そして『魚と寝る女』における一切台詞のない演技は日本でも話題となった。
1996年に、イ・ジサン監督の短編インディペンデント映画『脱−純情地帯』で映画界デビュー。その後、同じくイ・ジサン監督の長編インディペンデント映画『2 1 セックス』(1998)、イム・チャンジェ監督の短編『涙』(1998)と短編『アクア・レクイエム』(1999)に出演する。ちなみに、『2 1 セックス』、『涙』、『アクア・レクイエム』は釜山国際映画祭でも上映された話題作。
『アクア・レクイエム』は第21回(1999)ぴあフィルムフェスティバルで、『涙』は『ラクリマ』という題名で第10回(2001)東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で紹介されている。なお、ソ・ジョンは『涙』でも台詞の一切ない演技を披露している。
1999年に『ペパーミント・キャンディー』で商業長編劇映画デビュー。この作品では、主人公ヨンホの浮気相手である会社職員ミス・リを演じている。
彼女が一躍有名になったのは、2000年の『魚と寝る女』で客の男に猟奇的な愛情を示す釣り場の女主人を演じてから。この作品は、韓国内での興行は失敗に終わったが、ヴェネチア国際映画祭コンペ部門に招待されて(韓国映画としては『シバジ』、『LIES/嘘』に続いて三作目)、その衝撃的な内容と映像、そして一言も発せず目と表情だけであらゆる感情表現をしたソ・ジョンの演技に注目が集まった。その後も、『魚と寝る女』は世界中の有名国際映画祭に招待され、ソ・ジョンは第21回(2001)Fantasporto国際映画祭で主演女優賞を、また国内でも第37回(2001)百想芸術大賞新人女子演技賞と第24回(2001)黄金撮影賞新人女優賞を受賞した。
映画の中では、セクシャルな演技をすることが多いが、普段のソ・ジョンは一人でいるのが好きで、暇があれば美術関係の場所をぶらついたり、本一冊を持ってカフェでお茶をするのが趣味だという。
1998年に製作され主演したものの、諸般の事情で長らく一般公開することが出来なかった、イ・ジサン監督の長編インディペンデント映画『2 1 セックス』が、2002年9月19日にソウルのアート系映画館で単館公開された。
次回作はキム・イソク監督の『清風明月』。
初版:2001/4/1
最新版:2002/10/3
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