在日
題名 英題 |
戦後在日50年史『在日』 The Story of Koreans in Postwar Japan |
製作年 |
1997 |
時間 |
250 |
製作 |
「戦後在日五十年史」 製作委員会 |
監督 |
呉徳洙 |
出演 |
朴慶植 金奎一 鄭秉春 河正雄 新井英一 い・じょんみ 玄昶日 金尚龍 李玲子 原田芳雄(ナレーション) |
日本版 Video DVD |
なし |
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16ミリで撮影された記録映画(カラー)。解放から50年に及ぶ在日の歴史を映像化すべく企画された。「映画制作委員会」が結成され、制作費はすべて有志による貴重なカンパで賄われている。
2部構成の前半は、解放以降の在日の歴史を、様々な事件と当時第一線で活躍された方々のインタビューを通して描く。特に、解放直後の在日の動向に深くかかわった元GHQ担当官たちの証言、戦後史資料の宝庫といわれるアメリカ国立公文書館での資料調査を通じて、今まで知られてこなかった事実を浮き彫りにさせているのは秀逸。
後半は、一転して「それぞれの『在日』」と題して、一世、二世、三世、合計六人の在日の生きざまをオムニバス形式で綴っている。登場事物の鄭秉春(一世)、河正雄・新井英一(以上、二世)、玄昶日・金尚龍・李玲子(以上、三世)は皆個性豊かで、その生きざまは見るものに感動を与えてくれる。
監督の呉徳洙は、『車イスの道』『指紋押捺拒否』『指紋押捺拒否2』『ナウ! ウーマン・土井たか子』『まさあきの詩』『民族の祈り・祭祀』などのドキュメンタリー作品で知られる。
初版:1998/3/12
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【ソチョンの鑑賞ノート】
ぴあでチケットを前もって購入したものの当日野暮用があって結局会場に着いたのは開演10分前。会場の愛知県中小企業センターは座席数が682席ですが、私が到着したときには既に最前列しか空いておらず、かなりの立ち見も出ました。京都から見に来た人もいてびっくり。会場はスタッフの方々の「この映画を見て欲しいっ!」という熱気で充満してました。
上映は2部構成で、前半と後半の間に小休憩とミニ・コンサートが入り都合5時間の長丁場。その後、ダッシュ一発『HANA-BI』も見たので、帰宅時には腰がばりばりでしたが、どちらの映画も見てよかったです。非常に満足しました。
『在日』の前半部は、1940年代から90年代までの在日の歴史を時系列で追うというもの。40〜60年代の描写には、個人的に知らなかった事実がいくつかあったので、大変興味深く見られました。そして、80年代以降は、指紋押捺拒否に関する描写など「あぁ、こういう事件があったなぁ。」と懐かしく(?)見ることができました。パンフを読むまで気づきませんでしたが、オ・ドクス監督はドキュメンタリー映画『指紋押捺拒否』を撮られた監督だったのですね。
ドキュメンタリー映画をどう評価するかは見る人によって様々だと思いますが、私にとってこの『在日』の神髄は後半の「それぞれの在日」でした。一世、二世、三世、合計六人の在日の方々の生きざまをオムニバス形式で綴ったもの。とかく頭でっかちな議論が多くなる「在日」というテーマですが、生活者としての視点から一人の人間の生きざまを描いていて非常に好感が持てました。映画の題名は『在日』であり出演者も皆さん「在日」な訳ですが、究極のテーマとして「生を受けた環境を所与としながら、自分がこれから何をしていくのか。どのような生き方をしていくのか?」を問うている。そんな印象を持ちました。この映画の出演者にとっての「生を受けた環境」は「在日」であり、それは死ぬまで変わることはない。それを認めた上でどう生きていくのか? この映画の登場人物達は個々に自分の生きざまというものを確立していて、人生前向きに生きており、見ていて爽快感すら感じました。自分の生き方を振返ってみて、映画を見ている最中そして見終わった後も何かと考えさせられる映画でした。
「在日」問題に興味のある方はもちろん、興味のない方、またこの手の問題を避けてきた方にも自信を持ってお勧めできる作品です。
投稿者:penlouさん 投稿日:1998年10月11日(日)6時11分51秒
金大中大統領が来日するなど、韓国の話題が多いですが、この機会に「在日」問題を考えてみてはいかがでしょうか?
僕の友人がこの映画会に関係しています。
YOKE(横浜市海外交流協会)主催で、戦後在日50年の軌跡を在日の視点から綴った記録映画『在日』の映画会があります。
1998年10月17日(土)午後1時30分〜/場所:横浜女性フォーラム(戸塚駅徒歩5分・電話045-862-5050)。入場料1800円(前売り=1500円、チケットピア扱い)。
問い合わせ先=YOKE・横浜アジアフェスティバル事務局 電話045-671-7128。
【評価:★★★★】
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