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死んでもいい


画像提供:東京フィルメックス事務局

題名
英題
ハングル
死んでもいい
Too Young To Die
죽어도 좋아
製作年 2002
時間 67
製作
提供
共同提供
配給
Mayフィルム
ショービズSNB
アイエム・ピクチャーズ
青於藍(チョンオラム)
監督 パク・チンピョ
出演 パク・チギュ
イ・スネ
日本版
Video
DVD
なし

 儒教社会の韓国においてはタブーともいえる「老人の性」を描いた真摯なドキュメンタリー風の作品。急速に高齢化が進みつつある韓国を背景に、73歳の男性と71歳の女性を主人公にした性愛映画。

 73歳の老人(パク・チギュ)が妻と死に別れ、二歳年下の恋人(イ・スネ)を新たに得て、新しい結婚生活を始める。主演のパク・チギュとイ・スネは数年前に養老院で出会い結婚した実在のカップル。

 これが映画監督デビュー作となるパク・チンピョ監督は、1966年ソウル生まれで、中央大学芸術学科映画科卒。SBSテレビやITVでプロデューサーとして勤務し、30本以上のドキュメンタリーを演出。ミステリ・ドキュメンタリー『それが知りたい』、生放送追跡『事件と人々』などを手がけており、1999年には韓国放送委員会大賞の企画賞を受賞している。

 撮影はデジタル・カメラによる。主演の老夫婦が劇中で歌った『青春歌』がサントラにも収録されている。

 第55回(2002)カンヌ国際映画祭批評家週間部門、第3回全州国際映画祭2002「韓国映画の流れ」部門、第27回(2002)トロント国際映画祭ナショナル・シネマ・プログラム部門、第21回(2002)バンクーバー国際映画祭龍虎賞(Dragons and Tigers)部門、第46回(2002)ロンドン映画祭ワールドシネマ部門、第7回(2002)釜山国際映画祭新しい波部門、第3回TOKYO FILMeX 2002東京フィルメックス・コンペティション部門、第32回(2003)ロッテルダム国際映画祭、第26回(2003)イェテボリ映画祭韓国映画特別展、2003年パリ映画祭公式コンペ部門、第16回(2003)シンガポール国際映画祭アジアンシネマ部門、第1回(2003)ウラジオストック国際映画祭、第46回(2003)サンフランシスコ国際映画祭ワールド・シネマ部門、第38回(2003)Karlovy Vary国際映画祭Forum of Independents部門招待作品。

 第7回(2002)釜山国際映画祭最優秀アジア新人作家賞(NEW CURRENTS AWARD)Special Mention・国際映画評論家協会賞(FIPRESCI AWARD)・PSB映画賞(観客賞)受賞作品。バンクーバー国際映画祭では龍虎賞部門のSpecial Mentionを受賞。映画振興委員会字幕翻訳及びプリント製作費支援対象作・デジタル長編映画配給支援対象作選定作品。

 TOKYO FILMeX 2002では、公式な賞の受賞には至らなかったものの審査委員よりスペシャル・メンションが授与された。

 2002年に全州国際映画祭でワールド・プレミア上映され、カンヌ国際映画祭にも招待された。その後、国内外の評論家から高い評価を受ける中、韓国内での公開を目指して映像物等級委員会(日本の映倫にあたる)でレイティング審査を受けたが、7月23日にポルノ映画並みの「制限上映可」の判定が下された。そして、現在のところ、韓国には「制限上映可」のレイティングの映画を上映することができる制限映画上映館が存在しないため(*)、これは事実上の上映禁止措置となり一気に社会問題化した。

(*) 2001年8月に「等級保留」判定が違憲との判決が出て、2002年に制限上映館の設置規定が作られたが、制限上映館は他の一般上映館と同じ建物には入れない、つまり現在韓国で爆発的に広まっているシネコンの一部のスクリーンを制限上映館にすることはできず、またビデオ化も禁止されているため、現在のところ商業上の理由で誰も制限映画上映館を作ろうとしていない。

 実際の老夫婦を登場させてリアルなセックスを描いているのだが、問題になったのは、口腔性交と性器露出のシーン。映像物等級委員会は「国民の情緒に合わない」として、このシーンをカットすれば「18歳以上鑑賞可」のレイティングとするとしたが、製作サイドは「映画表現上、絶対必要」とそれを拒否。一般劇場での上映ができないまま、「老人の性に対する偏見を拭い去ってくれた秀作」、「そうはいっても本番行為はやりすぎ」など、市民団体や国会議員までをも巻き込んで賛否両論の舌戦が繰り広げられた。特に映画関連団体は表現の自由を侵すものとして、抗議声明を相次いで出した。製作サイドは監督の演出意図などを記して、再審を申請したが、ここでも「制限上映可」の判定が出され上映不能に。

 最終的には製作サイドが問題視された7分あまりのシーンに色補正をほどこし、2002年10月30日の再々申請で18歳以上鑑賞可の判定が付与され、韓国内公開のめどが立ったが、それでも映像物等級委員会に対する非難の声は収まることがなかった。

初版:2002/11/10


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