1990年代前半、韓国大衆文化に極めて大きな足跡を残し、その存在が半ば神格化されているロック・ミュージシャン、ソ・テジ。彼を盲目的に追っかける熱狂的なファンの姿をビデオにおさめたドキュメンタリー。
コンサートで興奮のあまり失神、対立するファン同士の争いや投打事件、はたまた、ささいなことで自殺しようとするなど、韓国のファンの過激さは日本の比ではなく、韓国のマスメディアでもその是非が話題となることがしばしばあるが、このドキュメンタリーはそういったファンの行動を映像的にリポートした初めての作品。ちなみに、韓国のファンが過激になり始めたのは、ソ・テジの頃からだと言われている。
「ソ・テジ ワ アイドゥル」解散後、アメリカに在住していたソ・テジが、2000年8月29日、四年ぶりに韓国に帰国した時の空港でのフィーバーぶりから、2002年2月までの1年6ヶ月の間のソ・テジ ファンの行動がおさめられている。強烈な主張やメッセージはなく淡々とファンの生態が記録された作品だが、ファン達が自らの行動や応援方法をめぐって激論を繰り広げるシーンなどが印象的。日本のロック・フェスティバルに出演したソ・テジを追っかけて日本へやって来たファンが、自分たちはソ・テジだけを応援するのに、日本のロック・ファンは全てのアーティストの音楽に耳を傾ける様を目にし、衝撃を受ける。様々な軋轢の中から彼&彼女等がファンとして成長していく姿が描かれている。
監督のチョン・ミョンサンは、1971年、慶尚北道奉化(ポンファ)生まれ。ソウル大学の社会学科を卒業し、ベンチャー企業に勤務。現在は、ソウル大学で社会学の修士課程に在学中。本作は初監督作品。6mmデジタル・カメラで撮影。
第6回(2001)釜山国際映画祭ワイド・アングル部門招待作品。
2002年3月15日から19日までソウルのアート・ソンジェ・センターで公開された。その後、観客の延長上映リクエストに応える形で、4月10日から16日まで同じくアート・ソンジェ・センターで再上映された。
初版:2002/3/18
最新版:2002/4/16
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