1968年に空前の大ヒットとなり、一世を風靡した名作メロ・ドラマ『憎くてももう一度』のリメイク。妻帯者との許されない愛の結果、未婚の母となった女性の物語。
雑誌社の写真記者ナ・スジョン(イ・スンヨン)は、男性記者にも負けないほどのプロ根性を持った明るい女性。しかし、そんな彼女には忘れがたい暗い過去があった。数年前、妻帯者と知らずに一人の男を愛してしまい、彼の子を宿してしまったのだ。その後、男と別れたスジョンは、娘のジス(ハン・ジヘ)を生み一人で育ててきた。いわゆる未婚の母だ。現在では、ヨンハ(パク・ヨンハ)という新しい恋人もできたが、彼の家族の反対で結局別れることに。そんなある日、スジョンは職場の先輩(チェ・ラン)から健康診断で要再検査の判定が出たことを知らされる。そして、精密検査の結果は肺ガン・・・ 自分が余命いくばくもないことを知ったスジョンは、娘のジスを父親であるアン・ジファン(イ・ギョンヨン)とその妻ミジュ(キム・ナウン)のもとへ送り届ける決心をする。
2001年に完成していたが、配給上の都合で公開は2002年になったため、原題は『憎くてももう一度』となっている。
本作の撮影と前後して、主役のイ・スンヨンが付き合っていたキム・ミンジョンと離別、また完成後には、同じくイ・スンヨンがひき逃げ事件で警察の調査を受けるはめになったり、イ・ギョンヨンが少女買春で逮捕されたり、他にも助演のチェ・ランの母親が事故で他界、高齢のチョン・ソヨン監督も病気で入院するなど、出演者・スタッフの不幸が続いた。
パク・ヨンハは『クリスマスに雪が降れば』以来二度目の映画出演。
オリジナルの『憎くてももう一度』は、1968年にチョン・ソヨン(鄭素影)監督とシン・ヨンギュン(申榮均)&ムン・ヒ(文姫)の主演により製作されて大ヒットし(当時人口400万人程度のソウルで100万人の観客を動員したという)、その後も同監督&同主演により『続・憎くてももう一度』(1969)、『憎くてももう一度(3編)』(1970)、『憎くてももう一度(大完結編)』(1971)とシリーズ化されたコリアン催涙性メロ・ドラマの名作。東アジア諸国へも輸出され、高い人気を博した。また、1980年にはピョン・ジャンホ監督の手により『憎くてももう一度 '80』、『憎くてももう一度 '80(第二部)』としてリメイクされている。
今回の『憎くてももう一度』も、旧シリーズ四部作の監督チョン・ソヨンがメガホンを取り、旧シリーズのうち『憎くてももう一度(3編)』、『憎くてももう一度(大完結編)』で脚本を担当したキム・スヒョンがシナリオを担当している。ちなみに、1928年生まれのチョン・ソヨンは公開当時74歳で最高齢映画監督として記録されたとか。
妻帯者と愛しあうものの、その後別れて、未婚の母となった女性が、子供の将来を思って実父に子供を送り届けるというのが、『憎くてももう一度』シリーズの骨格で、基本設定は2002年版でも踏襲されている。ただし、1960年代のオリジナルは、最終的には主人公が子供と一緒に未婚の母として生きていく道を選び、女性観客の心を打ったのに対し、2002年版では、主人公の死をもって観客の涙腺を刺激しようとしている点が異なる。
製作&企画はチョン・ソヨン監督の息子チョン・ジフン。撮影はイ・ソンチュンとチェ・チャンギュ。照明はチョ・ギルス。編集はコ・イムピョ。主題曲『Stiil Loving You』はユン・ヒョンソク。
初版:2002/9/3
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