人類創生を描いた朝鮮民族発祥の神話「マゴ神話」をベースに、人類がいかに自然を破壊してきたかを描く。文学、音楽、美術、ドキュメンタリー、演劇、舞踊、写真など、様々な芸術表現を融合したパフォーマンス・シネマ。監督によると、本作には「自然への回帰」というメッセージが込められており、破壊に向かう現代文明を告発しているのだという。
汚染され、破壊つくされた世界に住む自閉症のハヌン(シン・グァンチョル)は、被爆者である母の遺伝子を受け継いでいる。毎晩のように悪夢に苦しめられる彼の前に、ある日、12精霊が現れ、その中の一人「天舞(イ・イリム)」は「美しかったマゴ城は、人間が禁断の赤いブドウを食べたため廃墟になってしまった」と告げる。訳の分からないまま太古のマゴ城に連れて行かれたハヌンは、自然と人間が調和して生きている天地創造の時代の楽園マゴ城の存在と、それが宇宙の母マゴと宇宙の父ハヌンにより創造されたこと、そしてその創造主ハヌンの生まれ変わりが自分であることを知る。しかし現世では、人間によって破壊し尽くされてしまった現代文明社会の中で、大自然の精霊たちはもがき苦しんでいた。破滅へ突き進む世の中を救うためにハヌンは立ち上がる決心をするのだが・・・
カエルが轢きつぶされるシーン、放射能汚染により歪んだ顔、遺伝子操作によって生まれた奇形児、帝王切開、豚の屠殺、825名の男女がオールヌードで出演するなど、衝撃的なシーンが満載。
12精霊役の配役は、天舞(イ・イリム)、波紋(カエ)、水(タニャ)、火(ソン・ナミョン)、大地(チェ・ヨンヒ)、雨(チョンヨ)、影(キム・スヨン)、木(ユン・ミジ)、風(キム・ジヘ)、道(イ・ウンミ)、雲(キム・ドヨン)、月(クォン・ユジン)。大地の精霊役で出演したチェ・ヨンヒ(22)は、演劇映画科に通う現役の女子大生。本作の後、キム・ギドク監督の『コースト・ガード』にも出演している。
監督のカン・ヒョニル(48歳)は、ソウル芸大映画科を出て、1980年からドキュメンタリー、教養教育用の広報物といった映像物の企画と製作・演出に従事してきた人物。『韓国の世界文化遺産』シリーズと『お母さんと一緒にする赤ん坊体操』などがその代表作。
製作はカン・ビョンス。企画と脚本はチャン・ギョンギ。撮影はイ・ウンギル。音楽はイ・ムニ。編集はハム・ソンウォン。バラード風の主題歌『泰初(天地創造の時)の愛』は、女性歌手シン・ヒョボムが歌う。
公開に先立ち、江原道の撮影現場で主演俳優達も参加したヌード写真撮影大会を開催し、話題に。
第5回(2001)富川国際ファンタスティック映画祭ワールド・ファンタスティック・シネマ部門に招待されワールド・プレミア上映された。その後、「18歳以上鑑賞可」のレイティングで2002年に韓国内公開された。
初版:2002/9/1
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