山奥で暮らしている夫婦のささやかな幸福が、若妻に横恋慕した小役人によって崩壊させられてしまう美しくも残酷な悲恋物語。自然の中に文明の波が押し寄せる事によって引き起こされる人間の欲情と葛藤を叙情的なタッチで描く。『自由夫人』(1956)の原作者でもあるチョン・ビソク(鄭飛石)の短編小説『城隍堂』をキム・ガンユン(金剛潤)が脚色。
日帝時代の山奥。母親と炭焼きをして暮らす男トリ(イ・デグン)は、山に捨てられた幼女スニを育てる。やがて、成長したスニ(チョン・ユニ)はトリと結婚し、トリは町の相撲大会で優勝したお金でスニに指輪を買ってやる。だが、スニのあまりの美しさはトリの友人チルソン(ユン・ヤンハ)の目を奪い、更に山林監視人のキム主事(キム・シンジェ)の横恋慕を生む。キム主事は無断で炭を焼くトリを山林法違反で捕らえ、スニを強姦しようとする。
「自然と人間」というテーマを追求するチョン・ジヌ監督の代表作。この後、彼の作品には鳥の名前を題名にした作品が続く。御伽噺のような民話的題材、森の自然の映像、チョン・ユニの美しさ、そしてイ・デグンの演技は必見。日本語字幕付きビデオは『カッコーの啼く夜 別離』という題名で発売されている。また、『郭公・夜中に鳴く』,『カッコーの呼ぶ夜』(テレビ放映時)といった題名でも紹介されている。
第19回(1980)大鐘賞優秀作品賞・男優主演賞(イ・デグン)・女優主演賞(チョン・ユニ)・撮影賞(チョン・ウンギョ)・女優助演賞(キム・シンジェ?)・音楽賞(ハン・サンギ)・美術賞(ト・ヨンウ)・録音賞(キム・ビョンス)・照明賞(イ・ミンブ)、第1回(1981)映画評論家協会賞音楽賞・審査委員特別賞受賞、第34回カンヌ国際映画祭出品作品。
初版:1999/8/20
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