二人の貧しく幼い兄弟が、隣人の助けを得ながらくじけず力強く成長していく様を描いた感動のドラマ。幼くして家父長を務めている少年・少女の手記を公募した韓国オリニ(子供)財団主催の第2回少年少女家父長手記公募で、大賞を受賞した江原道の小学6年生の作文をもとに映画化。韓国オリニ財団の後援で製作され、利益の半分は基金に寄付されたとか。
江原道の東海岸のある村に、15歳のナムドと11歳のナムシク兄弟が住んでいた。彼らは両親亡き後、祖母の手で育てられていたが、兄のナムドは小学校を卒業した後、町工場で働きながら夜学に通い、空軍技術下士官学校に入ることを夢見ている。しかし祖母と弟を見捨てて学校には行けず悩んでいた。兄弟の隣家には下半身不随の父親と幼い3人姉妹が住んでいる。母親は夫を見捨てて家出したまま帰ってこないのだ。ナムドは工場での労働と心の葛藤でろくに勉強ができず、下士官学校の入試に失敗。家出してソウルに行ってしまう。祖母はナムシクを養うために道路工事の現場で働くが過労で倒れてしまい、逆にナムシクが祖母を養わなければならなくなる。そして隣家では14歳の娘ジョンオクが一家を支えている。そんな時、ナムドがソウルから戻り、再び下士官学校の試験に挑戦する。
監督はハ・ギルチョンの弟ハ・ミョンジュン。彼は俳優としてデビューし『族譜』の日本人青年・谷役などで同じみ。兄が夭折した後、亡き兄の意志を継いで監督デビューした。この作品でも隣家の父役で特別出演している。
映画振興公社が選ぶ「1990年度良い映画」選定。第29回(1991)大鐘賞脚色賞・子役賞(コ・ジョンイル)受賞、第47回ベネティア国際映画祭、第17回モスクワ国際映画祭、第41回ベルリン国際映画祭出品作品。
初版:1999/3/20
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