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達磨はなぜ東へ行ったのか


題名
英題
原題
ハングル
達磨はなぜ東へ行ったのか
Why Has Bodhi-Dharma
  Left for the East?
達磨が東へ行った訳は
달마가 동쪽으로 간 까닭은?
製作年 1989
時間 175(韓国公開版)
137(日本公開版)
製作 「繼マプロダクション
監督 ペ・ヨンギュン
出演 イ・パニョン
シン・ウォンソプ
ファン・ヘジン
日本版
Video
DVD
字幕版Video

 山奥で暮らす三人の禅僧の生き方を通して、自然と人間の関係を問いかける内容。特に、静謐な自然美に満ちあふれた映像美は必見。韓国映画界とは全く関わり合いのない一人の大学教授が、製作・脚本・監督・撮影・照明・美術・編集と1人7役で作り上げた。台本が書き上げられたのが1981年で、本格的に撮影を始めたのがその5年後。8年もの歳月をかけてたった一人で製作された究極のインディペンデント映画。題名は達磨大師がインドから中国へやってきた意味を問う禅宗の公案。漢文で書けば「祖師西来意」。

 山奥の禅寺に、年老いた僧ヘゴク(イ・パニョン:李判傭)と孤児のヘジン(ファン・ヘジン:黄海進)が暮らしている。そこに、目の見えない母親と妹を残して仏門に入ったキボン(シン・ウォンソプ:申元燮)がやって来る。魂の自由を求めて出家したキボンだが、母親のことが気になり心が揺れ動く。キボンはヘゴクの言葉により厳しい修行に打ち込むようになるが、一方のヘゴクは自らの死を悟り始める。

 主演の三人はいずれも素人。

 日本のほか、スイスやフランスなどでも公開された。日本上映時を含めて国際バージョンは137分だが、韓国国内バージョンは175分。第4回(1999)釜山国際映画祭の特別企画プログラム「太平洋アジアの独立映画 1980〜2000」では韓国を代表するインディペンデント映画として紹介され、ワークショップも開催された。なお、ワークショップには普段マスコミの前に姿を現さないペ・ヨンギュン監督が出席し話題となった。

 第42回(1989)ロカルノ国際映画祭最優秀作品賞(金豹賞)・国際映画批評家連盟賞・キリスト教会審査委員賞・バークレー賞・ヤング批評家賞、第10回(1990)映画評論家協会賞審査委員特別賞(ペ・ヨンギュン)受賞、1989年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、第21回インド国際映画祭出品作品。

初版:2000/2/20



投稿者:後藤健介さん

 『タルマガ トンチョグロ カン カダルグン』という原題で、韓国の禅寺に出家した青年の話です(時代は現代)。

 「世俗の苦しみを正視し衆生を救うには世俗を超越しなければならない」というのと、「本当に世俗を救おうとおもうのなら、なぜ世俗に留まらないのか」という、仏教(宗教)永遠の葛藤と、そろそろ「理念闘争の時代」が終わり、消費社会に突入する当時の韓国の時代相が不思議と二重写しになって、非常に重いものを感じさせました。

 映像の美しさがまた特筆すべきもので、韓国の風光(華厳寺周辺?)と、儒教のそれとはまた違う韓国の精神性をよく表現しているとして、非常に評判になりました。私もいまでもエンディングの僧舞のシーンは鮮烈におもいだせます。

【評価:★★★★★】



投稿者:大西康雄さん 投稿日:2000年8月11日(金)15時15分36秒

 『達磨はなぜ東へ行ったのか』のDVDが発売されています。

タイトル:"Why has Bodhi-Dharma Left for the East?"
発売メーカー:Image Entertainment (U.S.A.)
カタログ番号:ID5937MLSDV
希望小売価格:$29.99
収録フォーマット:片面2層,4:3レターボックス(スクリーン1.75:1),137分,モノラル韓国語・英語字幕,リージョンコード ALL

 なおこの作品がアメリカでDVD化されて発売されている現在唯一の韓国映画と思われます。ご参考までに。

【評価:★★★★】


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