第11回釜山国際映画祭リポート
Reported by Kaoru
2006/12/19
≪第11回釜山国際映画祭 データ≫
- 開催期間:2006年10月12日〜10月20日
- 上映作:63ヶ国245作品を計669回上映(オープニングとクロージングは除く)
- 座席占有率:ヨット競技場特設会場の野外スクリーンと4つの劇場をあわせた31スクリーンのトータルで71.3%
- 観客動員数:162,835人
- ゲスト数:ゲスト+プレス+関係者の数は51ヶ国8,321人
- オフィシャルイベント:ゲストビジット(上映前後の観客との対話)119回、野外ステージでの舞台挨拶21回(海雲台14回+南浦洞7回)、オープントーク4回
※ 以上、映画祭オフィシャルサイト発表による。
アン・ソンギとムン・グニョンの司会で幕を明けた釜山国際映画祭(PIFF)は今年11年目を迎えました。比較的新しい映画祭ながらアジア最大にまで発展したPIFFは、世界の主要な映画祭の良いところを取り入れているといわれていて、新人映画製作者の支援などにも力を入れるなど、アジアのみならずヨーロッパの映画関係者からも注目を集めています。特に今年は「スペシャルプログラムinフォーカス」部門で韓国では公開されることの少ないフランス映画を14本上映、フランスからも多くのゲストが釜山を訪れていました。また、韓国映画の歴史の原点となる日本植民地時代の韓国映画(日本語字幕付)を7本上映して話題になりました。
映画祭という名の通り、PIFFには映画を観る以外にもお祭りのような楽しさがあります。参加するだけで楽しいPIFFの楽しみ方を紹介します。
■ 釜山国際映画祭・公式サイト http://www.biff.kr/
★ イベント
国内外から多くのゲスト(監督、俳優、プロデューサーなど)が集まり、様々なイベントが行われています。
≪オープントーク≫
青空の下で繰り広げるオープントーク。今年はアン・ソンギ&アンディ・ラウ、ポン・ジュノ監督&是枝裕和監督、キム・ジュヒョク、ムン・ソリらが登場。オープニングで司会を務めたアン・ソンギと「PIFF今年のアジア映画製作者賞」を受賞したアンディ・ラウは、映画『墨攻』の共演エピソードなど気の合ったトークを披露。アン・ソンギが話している途中、声援を送るファンにアンディ・ラウが「シッ!」と注意する場面もありました。日韓を代表する監督対談では「『グエムル』で怪物の姿をあんなに早く見せたのはなぜか?」という質問にも動じなかったポン・ジュノ監督も「ペ・ドゥナが見たくて映画を観た」という是枝監督の言葉には少し驚いた様子でした。
(左)ポン・ジュノ監督 (右)是枝裕和監督
(左)アンディ・ラウ (右)アン・ソンギ
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(左)蒼井優 (右)キム・ジュヒョク
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≪舞台挨拶≫
海雲台(ヘウンデ)の浜辺と南浦洞(ナンポドン)のデヨンシネマ前に設置された野外ステージでの舞台挨拶にはユ・ジテ、チョ・インソン、チョ・ハンソン、イ・ボムス、オム・テウン、ムン・ソリ、ポン・テギュら、人気スターが次々に登場。日本からも桃井かおりや松田龍平、安藤正信らがステージに登りました。連日晴天に恵まれ、特に海雲台会場は開放的なこともあり、『熱血男児』の舞台挨拶で壇上に立ったベテラン女優のナ・ムニが「歌いたい気分だわ!」と美声を披露する一幕も。オープントークや舞台挨拶は無料で、写真も自由に撮ることができます。
『熱血男児』 イ・ジョンボム監督、ナ・ムニ、チョ・ハンソン
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『相棒 −シティ・オブ・バイオレンス−』 リュ・スンワン監督、イ・ボムス、チョン・ドゥホン
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『家族の誕生』 キム・テヨン監督、ムン・ソリ、オム・テウン コン・ヒョジン、ポン・テギュ、チョン・ユミ
≪ゲストビジット(GV)≫
映画上映後、監督と俳優が観客からの質問に答えるゲストビジット(観客との対話)の時間は30〜40分。場内は少々暗いけれどカメラや携帯での写真撮影もO.K.です。『家族の誕生』のゲストビジットでは俳優たちが監督を真ん中に挟んで登場。監督の親しみやすい雰囲気さながら和やかな感じで進められ、俳優たちも時々なにやらおしゃべりするなど仲が良さそうです。チョン・ユミが緊張して言葉に詰まるたびに助け舟を出して代わりに答えるポン・テギュは、嫌味のないユーモアで舞台挨拶でも大人気でした。
『家族の誕生』
『潜入』 チェ・ホ監督、リュ・スンボム、ファン・ジョンミン
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『相棒 −シティ・オブ・バイオレンス−』
『ノートに眠った願いごと』 ユ・ジテ、キム・ジス、オム・ジウォン キム・デスン監督
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≪その他≫
PIFFではプレスや関係者のみ参加できるイベントが毎夜行われます。その中でも人気俳優が出演する話題の韓国映画お披露目イベントは、予告編やメイキングフィルムを初公開するので、毎年多くの関心を集めています。今年は「CJエンターテインメント主催の『中天』の夜」と「KMカルチャー主催のラインナップショーケース」が行われました。
CJエンターテインメント 『中天』の夜
監督と俳優7人が勢ぞろいした「『中天』の夜」では、写真撮影の前に汗を拭いていたキム・テヒさんの前にスッと出て、その姿を隠してあげたチョン・ウソンさんの紳士的な姿がとても印象的でした。
『カンナさん大成功です!』 キム・ヨンファ監督、キム・アジュン、チュ・ジンモ
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『ハーブ』 ホ・インム監督、チョン・ギョンホ、ペ・ジョンオク
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【KMカルチャー ラインナップショーケース】
『夏物語』 撮影:桑畑優香 チョ・グンシク監督、スエ、イ・ビョンホン
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「KMカルチャー主催のラインナップショーケース」では、2004年のシネマコリアで来日したチョ・グンシク監督の『夏物語』とキム・ヨンファ監督の『カンナさん大成功です!』など4作品を紹介。イ・ビョンホン主演で注目を集めている『夏物語』のチョ・グンシク監督は「このような場所に立ち、頭の中が真っ白になっています」と予想以上の大舞台に緊張した様子でした。
★ PIFFの楽しみ方1 無料で配布しているものを手に入れよう!
≪PIFFチケットカタログ≫
作品紹介と上映スケジュールが載っている公式カタログ。A5サイズなので持ち歩きにも便利。空港やチケット売り場付近のPIFF宣伝ブースで手に入ります。
宣伝グッズ
≪情報誌≫
映画雑誌『シネ21』が無料で配布する『シネ21 PIFF daily』は映画祭の話題を毎日発行していて、PIFF宣伝ブースに置いてあります。他にも下半期公開予定の韓国映画紹介や俳優インタビュー記事が載っているものがいくつかあり(ほとんどがオールカラー)、マリオットホテルや宣伝ブースで手に入ります。
情報誌など
≪宣伝ブース≫
南浦洞PIFF通り、海雲台PIFFパビリオン野外会場には宣伝ブースが設置され、公開を間近に控えた新作映画の紙袋(中に化粧品のサンプルなどが入っている)やクリアファイルなどを配っています。今年の人気グッズは『ノートに眠った願いごと』のクリアファイルと、映画の内容にちなんだ『愛するときに話すこと』の処方箋で、中には絆創膏とビタミンCタブレットが入っていました。また、『暴力サークル』ではパンチの強い人にはコーヒー、弱い人には紙袋を渡すゲーム型や、CGVの宣伝ブースでは入口でコーラ、出口でポップコーンを配るなど、楽しくて美味しい宣伝ブースもあり、お祭り気分を盛り上げていました。
海雲台の宣伝ブース
★ PIFFの楽しみ方2
海雲台PIFFパビリオン野外会場とヨット競技場特設会場には映画や俳優の写真パネルなどが展示されています。映画やイベントの合間に、好きな俳優と並んで記念撮影を楽しむ方も大勢いました。
★ 映画チケットの取り方
≪前売り券≫
インターネットで購入する場合、PIFF公式サイトのOnline TicketingであらかじめPIFF-CASHに会員登録しなければならず、少々面倒くさい。釜山銀行やソウルのメガボックスでも購入できるので、韓国に知り合いがいればお願いするとよいでしょう。
≪当日券≫
全作品(オープニング&クロージングを除く)、チケットの10%が当日券として確保されていて、オープニングセレモニーの翌日から劇場窓口で発売します。しかも、発売開始と共に最終日までの全作品のチケットを一度にまとめて購入できます。頑張って朝早く並べば人気のゲストビジット付きチケットを手に入れることができるかも。
なお、全ての上映スケジュールには通し番号が付いているので、作品名や日時を言わなくても番号と枚数を伝えるだけで簡単に購入でき、購入後のキャンセルも可能です(但しキャンセル手数料あり)。
今年からメイン会場がPIFF発祥の地、南浦洞から海雲台に移りました。南浦洞はPIFF広場でハンドプリントなどのイベントを行ってはいるものの、上映作品も少なくなり少し寂しい感じがしました。繁華街の賑わいと映画祭の活気が一つになって、そこにいるだけで楽しい気分になった小さい映画祭から、質量共にアジア一の映画祭へと発展したPIFFは毎年少しずつ形を変えて世界の映画祭へと成長しているようです。
海雲台の野外会場 写真はチャン・ドンゴンとイ・ジュンギの スクリーン・クォータ制死守の立て看板
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南浦洞会場
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ところで、オープニングセレモニーのレッドカーペットの舞台裏で、背の高い男性を囲んで女子高生たちが写真を撮っていたので、「誰?」と聞いたら「分かりません!」という答え。隣の子に聞くと「映画俳優!」とのこと。だから、それは分かるけど・・・誰?と思っていたら、『暴力サークル』のゲストビジットで彼を発見。主演のチョン・ギョンホの隣にいた彼の名はイ・テソン(『親知らず』や日韓合作『あなたを忘れない』に出演)でした。昨年のチョン・ジョンミョン、一昨年のジェヒも当時はまだあまり知られていなかったけれど、PIFFの舞台挨拶で女の子たちの注目を集め、その後ドラマで人気になりました。PIFFは人気俳優発掘の場でもあるようです。
『暴力サークル』のゲストビジット 左から2番目がイ・テソン
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