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コリアン・シネマ・ウィーク2006 リポート
『ファミリー』イ・ジョンチョル監督インタビュー

Reported by 小野郁子
2006/10/31



 コリアン・シネマ・ウィーク2006が2006年10月22日から25日まで、Bunkanura シアターコクーンにて開催されました。6回目をむかえた本年度のテーマは“様々な家族の絆”。日本未公開作の『お母さん』『散策』『みんな、大丈夫?』、そして劇場公開前のプレミア上映となる『家門の危機』『ファミリー』の5作品が上映されました。また、ゲストとして『家門の危機』のチョン・ヨンギ監督と、『ファミリー』のイ・ジョンチョル監督が来日され、上映後にはティーチインがおこなわれました。


<イ・ジョンチョル監督プロフィール>

 1969年生まれ。漢陽大学演劇映画科卒業後、短編映画『Bell』『Sometimes Somewhere』を監督。『敗者復活戦』の製作に演出スタッフとして参加。『アウトライブ −飛天舞−』で助監督をつとめ、同作品で助監督として参加した『家門の危機』のチョン・ヨンギ監督と知り合う。2004年、長編映画初監督作品『ファミリー』が韓国で公開。この作品でスクリーン・デビューを飾ったスエは、その年の映画賞新人女優賞を総なめにし、父親役のチュ・ヒョンも第50回アジア太平洋映画祭で主演男優賞を受賞した。




Q: 長編映画デビュー作としてこの作品を選んだ理由は?
A: この映画の脚本は私が書きました。悲しい親子の物語にしたのは私が脚本を書くのであれば、楽しいものより悲しいものの方が上手く書けると思ったからです。幸せな家族ではなく、うまく意志の疎通が出来ない不器用な親子を描こうと考えました。韓国では子供がある一定の時期になるとあまり親と会話をしなくなる傾向があります。それを普段から残念に感じていたことも理由の1つです。対話の必要性を伝えたいと思いました。

Q: キャスティングについて
A: 父親役のチュ・ヒョンさんは早い段階で出演が決まっていました。娘役ジョンウンはドラマ『ラブレター』のスエさんをみて彼女に是非演じて欲しいとお願いし出演が決まりました。あとの配役についてはオーディションを行いました。パク・ヒスンさんとオム・テウンさんは当初はパク・ヒスンさんがドンス役、オム・テウンさんがチャンウォン役でしたが、2人をみて役柄を交換してもらいました。結果的にとてもよかったと思っています。パク・チビン君もオーディションなのですが、ジョンファン役にぴったりだと思いました。スエさんには撮影前に「心の動き・気持ちを大切に演じて欲しい」とお願いしました。弟にとってはやさしい母親役、父親には反抗的な娘と、2面性のあるジョンウンを、私が思ったとおりに彼女は演じてくれました。

Q: 監督にとって“家族、家庭”とは?
A: 自分自身がリラックスできる居心地のいい空間です。私の父は家族のために一生懸命働く典型的な韓国の父親です。お互いに口数が多いほうではありませんが、大学進学先に演劇映画学科を選んだ時も何も言わずに許してくれました。理解ある父親です。この映画ももちろん観てくれました。

Q: この映画で伝えたいことは?
A: 家族は長い時間を共に過ごす中で、楽しいこと、嬉しいこと、時には悲しいこともあります。どんな時もお互いに理解しあって励ましあい、お互いに思っていることを話せる、そんな関係でありたいということです。最後の幼い弟が喪主を務める葬儀シーンは私自身もまったく手直しをしていません。娘が父の髭を剃るところも私自身思い入れが強い場面です。

『ファミリー』
 12月2日(土)よりシネマスクエアとうきゅう他ロードショー
 http://sonypictures.jp/movies/afamily/


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