HOME団体概要support シネマコリア!メルマガ登録サイトマッププライバシー・ポリシーお問合せ



サイト内検索 >> powered by Google

■日本で観る
-上映&放映情報
-日本公開作リスト
-DVDリリース予定
-日本発売DVDリスト
■韓国で観る
-上映情報
-週末興行成績
-韓国で映画鑑賞
■その他
-リンク集
-レビュー&リポート
■データベース
-映画の紹介
-監督などの紹介
-俳優の紹介
-興行成績
-大鐘賞
-青龍賞
-その他の映画賞


ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006 リポート
『三差路ムスタング少年の最後』

Reported by 月原万貴子
2005/3/15



『三差路ムスタング少年の最後』 2006年
 監督:ナム・ギウン
 主演:カン・ヒョンジュン、イェ・スアン、キム・ビョンチュン、キ・ジュボン

鑑賞ノオト

 ぷーたろーのゴンテ(カン・ヒョンジュン)は、些細なことが原因で町のチンピラ三兄弟に因縁をつけられ、指を折られてしまう。ゴンテのGFであるヒョンス(イェ・スアン)は、復讐すべきだというが、根っからのいじめられっこ体質のゴンテは「この指じゃ、銃を撃つこともできないから」、と逃げ腰だ。そんなゴンテをヒョンスは人間改造が趣味の天才(?)科学者ドクター・ヘルの元へ連れて行く。股間の大事なものと引き換えにマシンガンを装着したゴンテはムスタング男となって、チンピラたちへの復讐を始める。

 まずはこの映画、看板に偽りありです。少年なんて出てきません。主人公ゴンテを演じているのは『トンマッコルへようこそ』にも出ているカン・ヒョンジュンなので、どう見ても20代後半。間違っても少年じゃない(むしろおっさんくさい)。この疑問を監督に直接ぶつけてみたところ、「だってムスタング・アジョシじゃ、若い女の子が見に来てくれないでしょ」だそうだが、そういう問題かあー?(笑)

 それにしても、ナム・ギウン監督、前作『テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる』から更に“分けわかんない度”がぐーんと増したヘンテコ映画を作ったものだ。とにかく主人公ゴンテをはじめとして、出てくる人が全部ヘン! GFのヒョンスは実は一度死んで蘇ったサイボーグ売春婦だし、ゴンテの元カノの女教師は、男子生徒を誘惑して乱れまくってるし、ドクター・ヘルは何考えてるのかさっぱり分からないし・・・ しかし、一番ぶっ飛んでいるのがゴンテの母だ。なんたって娘時代に森に迷い込み、そこで出会った狼と間違いを犯して息子を産んだっていうんだもん。その半人半獣の異父兄弟が現れたことで、ただでさえややっこしいゴンテの周囲が、更にこんがらがっていく。ローテクSFがばんばん飛び交うこの超ヘンテコ映画、見る人によって好き嫌いがはっきり分かれてしまうと思う。ちなみに私は大好きです!(爆)


ナム・ギウン監督舞台挨拶

 2006年2月25日、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2006で、ヤング・ファンタスティック・グランプリ部門にエントリーされた『三差路ムスタング少年の最後』の上映前、ナム・ギウン監督の舞台挨拶が行われた。

Q: 映画祭、そして夕張の印象はいかがですか?
A: 実は私、外国旅行をするのはこれが初めてです。初めて韓国以外の地を踏んだのが日本、この夕張ということになります。夕張に来る途中で列車から見えたのですが、住民の方たちがとても暖かく迎えてくださり、ありがたく思いました。食べ物も美味しいし、とにかく今は楽しくって仕方ありません。まさにこれが祝祭なんだなあと思っています。

Q: 映画の上映に関してお客様にひとことお願いします。
A: 映画を作った本人でさえ、その映画についてよくわからなくなることがあります。作品を作る作家と作品の関係というのはそういうものなのかなと思いますので、私が自作について説明するというのは非常に難しいことで、肩の荷が重いのですが、皆様にはいくつか映画を見るうえで参考になることをお伝えしようと思います。その後で、どういう評価をしていただくかは、観客の皆さまの役割だと思っています。この映画はデジタル映画です。キャノンエクセルUというカメラを使って撮りました。これはHDではなくデジタルの6ミリ・カメラです。私は今までにフィルムで映画を撮ったことがなく、本作を含め、すべてデジタルで撮っています。本作は低予算作品で、1億7千万ウォン、約2千万円で撮りました。私は本作の前、2000年に2本の映画を撮っています。『鋼鉄』、『テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる』という作品で、本作はその延長線上にある作品です。本作のヒロインは実は一度死んでサイボーグとして蘇った少女です。彼女がBFを利用して復讐をしようとする、というのが表側のストーリーですが、この映画の底辺には神と人間の関係、そして父親との関係も描かれています。ドクター・ヘルという登場人物がいるのですが、すべての人たちがこのドクター・ヘルによって改造され生まれ変わります。ドクター・ヘルは父親の象徴です。また神の代弁者である神父も登場します。この映画の登場人物は一様に不安定な心理状態で、自分のアイデンティティを探したいと思っています。ところがなかなか見つけられず、自らの犯した何らかの事柄に対する処罰を受けることにもなります。悲劇的な最後に向かっていくわけですが、私が強調したかったのはそのことでなく、反対に現在に目を向けてほしいということです。私たちには与えられた人生がありますが、その人生というのは非常に大切なものだということを知っていただければと思いますし、自分の人生を享受して幸せに生きたいと思ってくれたらという気持ちをこめて、この映画を作りました。でも重苦しく考える必要はありませんので、どうか皆さん、軽い気持ちで、感じたままに楽しんで見ていただけたらうれしいです。


追記

 監督はイベント慣れしていないとのことで、テンションが高く、司会者の「一言お願いします」に対して、一気に話し続けてしまい、通訳の根本理恵さんが大変そうでした(笑)。なお、本作はヤング・ファンタスティック・グランプリ部門にて、審査員特別賞を受賞しました。ナム・ギウン監督、おめでとうございました。


Copyright © 1998- Cinema Korea, All rights reserved.