アジアフォーカス・福岡映画祭2005 リポート
『あぶない奴ら〜TWO GUYS〜』
Reported by 井上康子
2005/10/19
『あぶない奴ら〜TWO GUYS〜』 2004年
監督:パク・ホンス(『KUMIHO/千年愛』)
主演:パク・チュンフン(ジュンテ)、チャ・テヒョン(フン)
ストーリー&コメント
詐欺師まがいに、カードの借金を重ねるフンのところに、凶暴な取立て屋ジュンテがやって来るが、代行運転手のフンが、客のスーツ・ケースを偶然手にしたことで、二人は謎の組織から追われることになる。
冒頭はフンとジュンテが、単純に追われる者と追う者という関係だったのが、カード会社の職員・警察・中国マフィア等の第三者が彼らに関わることで、二人が協力したり、時に敵対したり、と微妙に関係性を変えながらドタバタが進行するところが面白い。
チャ・テヒョンはちょっと意地悪く、攻撃的になった時が最も活き活きしてくるし、パク・チュンフンは何と言っても「ヤバイ!」という時の困惑した表情がピカ一。ちょっとオールド・ファッションなスラップスティック・コメディだが、パク・チュンフンとチャ・テヒョンという芸達者の二人の掛け合いは、とにかく楽しめる。
舞台挨拶&ティーチ・イン
ゲスト:パク・チュンフン
2005年9月24日 エルガーラ・ホール
司会:八尋義幸
通訳:根本理恵
「パク・チュンフンさんに会いたくて」という女性客が客席前方に集まり、上映前から会場は華やいだ雰囲気だった。パク・チュンフンが舞台に登場するや、大スターのオーラに観客がひきつけられた状態になってしまったのだが、それに加えて、サービス精神から、さかんにギャグで客席を沸かせてくれるので、短い時間だったにもかかわらず、舞台と観客が一体になったように盛り上がった。また、韓国映画界の代表としてここにいるのだということを意識しての、真面目な発言も同時にあり、さすがの貫禄も感じさせられた。
(注)パクさんは、かなり日本語を話すことが出来るようで、なるべく日本語で話そうと意識されていたので、日本語で話をされた部分はカタカナ書きにして、区別できるように表記しています。
<舞台挨拶>
ペ・ヨンジュン デス(場内爆笑)。ワタシ、ベンキョウスルコトハ、4カゲツクライアリマスガ、マダ、ニホンゴハ。フクオカハ2カイメデス。5ネンマエニ、カンコクノエイガ・・・ 5年前も私の映画が上映されて福岡に来ましたが、今日はみなさん有難うございます。あまりにも有難いので、ぺ・ヨンジュンさんの電話番号を抽選でお知らせします(場内爆笑)。
非常に有難いことに、韓国の映画やドラマがみなさんに愛されていることをよく知っています。もちろん、韓国の良い作品が日本に紹介されて、みなさんと出会うということは良いことですが、あまり、おもしろくない作品が紹介されたりすると、少し残念だという気持ちもあります。実は、今日ご覧いただく作品は、それほど作品性が高いわけではありません。でも、今みなさんとお会いしているこういう楽しい雰囲気で、のけぞって笑うような感じで、気持ちを楽にしてご覧いただければいいと思います。
みなさんの大好きなチャ・テヒョンさんは慶尚南道のある島で撮影中です。私は1ヶ月に1回、アン・ソンギさん、チャ・テヒョンさん、ぺ・ヨンジュンさんとゴルフをしているので、みなさんのこともお伝えします。
では、みなさん、どうぞ、映画を楽しんでください。
<ティーチ・イン>
Q: |
アクション・シーンが多かったので、痩せられたんじゃないでしょうか? |
A: |
イイ シツモンデスネ。コトシ、ワタシハ39サイデスケド、コドモモ3ニンアリマス。20ネンカン、ハイユウ、スンデマス。アッ!シテイマス。コウコウ2ネンカラ、イママデ、(体重が)オナジデス。マイニチ、3ジカン、ユウサンソウンドウ、私の考えでは俳優というのは体力も必要なんですが、体型も必要だと思うんですね。私は映画に出ると、実際の体格よりも、大きく見えるとよく言われます。骨格が太い方なので、スクリーンもワイドだし、実際よりも大きく見えるんですね。実際、街中で私を見かけた人が、似ているけど、本人じゃないだろうと思っていることがよくあります。 |
Q: |
5年前に福岡においでになった時に上映された『NOWHERE 情け容赦無し』のウ刑事役がパクさんの作品で一番好きですが、『黄山ヶ原』のケべク将軍や、この作品など観ていると、全く違う役柄の人物を、それぞれ完璧に演じていらっしゃいますが、どうしてそんなふうに演じることができるのですか? |
A: |
良い評価をいただいて心から感謝します。私は20年の間に35本の映画に出まして、そのうちの約20本がコメディで、その他、アクションもスリラーもメロ・ドラマもあって、いろいろな映画に挑戦しました。俳優生活を送っていると、スランプに陥ることもありました。俳優を長くやっていると、どうしても、観る側の人からは、同じ役の繰り返し、前の演技を踏襲していると思われるので、私はなるべく新鮮な姿をお見せしたいと思いまして、いろいろな役に挑戦したり、他の国の映画にも挑戦したりしてきましたが、良い評価をいただいて本当に有難うございます。 |
Q: |
先日、シネマコリアで『黄山ヶ原』を観ましたが、威厳のあるケベク将軍が良かったです。これからも、いろいろな役をなさると思いますが、どんな役がやりたいですか? |
A: |
俳優というのは、実は受身の立場なんですね。実は自分が出演したいというよりも、相手に選択されて出演できるということになるので、ちょっと誠意のない答えになるかもしれませんが、与えられた役をうまくやるしかないと思っています。そして、最後になりますが、俳優というのは、観客のみなさんがいなくては、存在し得ないもので、みなさんに、この場にひざまずいても、ご挨拶したいくらいで、本当に有難うございます。 |
最後の発言でもわかるように、観客をとても大切にする方のようだ。この日は、ティーチ・インの質問は3つまでに制限して、サイン会実施という異例の措置が取られたが、サインを求める観客が多かったにもかかわらず、最後の希望者までサインに応じたそうだ。これからも、いろいろな役に挑戦したり、他の国の映画にも挑戦したり、そういう姿をずっと見せてくれるだろうと、彼なら、安心して信頼できる、そういう俳優だと思う。
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