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Review 『恋愛の目的』
to do or not to do : シェークスピアから『恋愛の目的』へ

鄭美恵(Dalnara)
2005/9/6受領



to do or not to do、するかしないか。
愛情がなくても一晩いっしょに過ごすことができるかどうか。

男はそれをコミュニケーションのひとつの手段と考えている、
親しくなるためには同僚の仲でもそんなことも必要だと...。
女にはそれは男が自分の衝動を満たすための詭弁にしか聞こえない、
ホン(カン・ヘジョン)も最初はひとつ年下の同僚教師ユリム(パク・ヘイル)を
相手にしなかったが...。

この映画を観てシェールとニコラス・ケイジの出演した『月の輝く夜に』という映画をちょっと思い出した。
『月の輝く夜に』は原題が"Moonstruck"。
Moonstruck romance と言えば、いったいどうして恋に落ちちゃったの?という
雷に打たれたような恋のことだが
『恋愛の目的』のふたりも、Moonstruck みたいな恋愛をはじめている。
恋心からプラトニック・ラブから徐々にはじまった恋愛ではなく
ホテルでふたりで過ごした時間からはじまった恋は
暴走のようにも見える。

お互いに交際相手、結婚しようとしている相手がいるのに
「結婚するまで恋愛しようよ」
とユリムは持ちかける。
寝室でだけの恋愛を結婚相手とは別に進行させようというのだ。
なんてこと!ホンは反発する。
しかし、以前の恋愛で傷ついたホンの心は
ユリムによって癒されてもいるようだ。
眠れない夜、不安な闇は
ユリムの匂いを嗅いで...安心な夜に変わった。

言葉でなく心でなく嗅覚と体と。
体だけで愛を交わすことはできない、と断じていたホンの心境の変化。
やがて嗅覚で存在を愛しはじめたホンの有機的な心の動きがおもしろい。
ふたりの恋愛は全然美しくないように見える。
やさしい愛のせりふのひとつもない。
純愛に貫かれた韓国映画やドラマを見慣れている目には
あまりにも地上的で、隠微で、狂気の沙汰で
彼らは恋愛をしているのでなく格闘技をしているのではないか、
と思ってしまうくらい違和感があるかもしれない。

でも Moonstruck のように
ある日突然打たれてしまう、嗅ぎ取って抗えない恋もあるのだろう。
この、肌で感じ、肌で育てる恋愛の話がおもしろい。

ただ、
ラテン語の謂い
Amoris vulnus idem sanat, qui facit.
(自分に恋の傷を負わせた相手でないと、その傷は癒すことはできない)
で言われているように
ホンの心の傷がほんとうにふさがったのかどうか
いつかまた疼くのではないかと少し心配になったけれど...

To be, or not to be: that is the question:
というシェークスピアの頃とは異なる自問 to do or not to do をぶつけてきたテーマはおもしろいし、
若気の至りを艶っぽく演じる主演ふたりの演技の応酬も見ごたえがある。
インターネット社会が孕む問題性の一端もうかがえて
なかなか地に足のついたリアルな作品だ。

韓国では特に若い女性からこの映画に対する支持の声を多く聞いた。
男と女の脳の違い、考え方の違い、行動の違いが率直によく描かれている、という点が支持され、
ちょっといやらしい表情になったパク・ヘイルの変身ぶり(前作『初恋のアルバム〜人魚姫のいた島〜』の
純情朴訥な青年とはギャップがある)がカワイイとうけているそうだ。

to do or not to do: that is the question!


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