「この世で俺以上に君を愛せる奴はいない。だから…戻ってきた」
 両親を早くに亡くし、いつも寄り添うように生きてきた兄ファン・ホジンと弟テジン。ホジンが、ハン・ウンスと結婚して3年目。3人は、一つ屋根の下で穏やかな日々を送っていた。ところがある日、カーレーサーの弟テジンはレース中に、兄はその会場に向かうタクシーで、同時刻に事故に遭遇。兄弟ともに昏睡状態のまま1年が過ぎた頃、奇跡的に弟テジンだけが意識を取り戻す。しかも、未だ目覚めぬ兄ホジンの魂を宿して…。

 今、日本中のお茶の間で一大ブームを巻き起こしている韓国純愛ドラマ。その20話分の興奮と感動が、114分に凝縮されてたっぷり堪能できる、本国韓国では100万人の観客の涙を誘った激情純愛ドラマの傑作が、ついに日本のスクリーンに登場する。
 満ち足りた幸せな毎日。思いがけない不幸な事故。失意と絶望。一筋の希望の光がもたらす禁断の愛。秘密。疑惑。そして呵責と寛容。どうしても捨てられない愛を貫くために起こる様々な事件が、時にミステリアスに時に官能的にたたみかけるように展開。
 火傷しそうなほど熱い愛を目の当りにして、とりわけ女性観客は、心の琴線を揺さぶられ鷲掴みにされて、『純愛中毒』の虜となってしまうこと必須だろう。

女性のハートを射貫く眼差しとキラー・スマイル。
愛に涙するアジアのスーパースター、イ・ビョンホン

 沸騰しそうな恋心を、言葉以上に雄弁に胸の内を語りかける憂い漂う表現力豊かな目と、蕩けそうな笑顔で演じきったのは、目下NHK-BSで放映中のTVドラマ「美しき日々」のミンチョル役で人気ブレイクのイ・ビョンホン。

 韓国男性憧れのマドンナ。
 全てを受け入れる包容力が観客の涙を喚起する、国民的女優“秋のモナリザ”イ・ミヨン

 映画『黒水仙』で、朝鮮半島分断の悲劇の犠牲になりながらも、50年という年月を一人の男への愛のためだけに生きたヒロインを演じ、強靱な女性像を浮き彫りにしたイ・ミヨン。
 その清らかな微笑みから“秋のモナリザ”という愛称で呼ばれる彼女は、『純愛中毒』の初めての台本読みの時からポロポロ涙を流すくらい、ハン・ウンス役に没頭。頭で計算するより感性や直感力を駆使する演技力を生かし、ウンスの内面から湧き出す感情の吐露を見ごとに体現し、本物の涙でスクリーンを凌駕した。

観客の気を逸らさない、
緻密にして叙情あふれる映画のクオリティを支えたスタッフ陣の絶妙なコラボレーション

 『純愛中毒』で監督デビューしたパク・ヨンフンは、韓国映画の正統派徒弟システムでキャリアを積んだ実力派。ディテールを重視したキメ細かな心理描写や、巧妙に伏線を張りめぐらしたしっかりとしたドラマ構成に、新人とはいえ熟練監督に匹敵する演出力を見せている。
 とくに雨に濡れた街並のしっとりとした情感が際立つ、秀逸な映像美を作り出したのは、撮影監督キム・ビョンイル。
 美術を担当したカン・スンヨンは、生活家具アーティスト、イ・ジョンミョンに特注した家具を、ホジンのアトリエばかりではなく、ウンスのベッドルームやリビングにも配置。登場人物たちの心情を微妙に反映した、オープンセットとは思えない、リアルな生活の温もりがにじむ田園住宅に仕上げた。
 さらに、「いい人がいたら紹介して」「毒」(歌/イ・ソラ)などのヒット作の作曲家でもあるチョン・ジェヒョンが手掛けた、フランス映画を彷彿とさせる繊細で哀切に満ちた音楽も、耳に優しく哀しく余韻し、登場人物たちの心の機微を切々と訴えて、より一層の感銘を呼び起こしてくれる。
 また、日本でも大ヒットを記録した『猟奇的な彼女』や2004年公開の期待作『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督が脚色に参加。『純愛中毒』が、いかに韓国の才能ある映画人のコラボレーションによるものかを語る一例である。
 また、ハリウッドのインターメディア社がリメイク権を取得し、『クィーン・オブ・ザ・ヴァンパイア』(脚本)、『記憶のはばたき』のマイケル・ペトローニ監督が製作準備を進めている。