今、韓国映画界に新しい風が吹いています。大衆的な大作ではなく、個人の視点で日常をとらえた小品を撮る作家が増えてきているのです。「真!韓国映画祭」では、そんな気鋭の映像作家を選りすぐった最新作を一挙公開いたします。「早期教育」「熟年離婚」「希薄化する家族関係」… 今、韓国が抱える様々な問題を痛烈に突き付けながら、そこから軽やかに自由になる主人公たちの姿を、斬新で作品性豊かに描く珠玉の映画たち。今回ご覧いただくのは、すべて“家族”をテーマにした意欲作です。古くて新しいテーマ“家族”。そこから垣間見えるリアルな“韓国の姿”と“新しい家族の形”を感じてください。





韓国/2009年/110分/カラー/1.85:1/Dolby Digital/35mm
原題 날아라 펭귄/英題 Fly Penguin
監督 イム・スルレ
出演 ムン・ソリ、パク・ウォンサン、ソン・ビョンホ、チェ・ギュファン、パク・イヌァン、チョン・ヘソン
字幕翻訳 根本理恵

<あらすじ>
 市役所に勤める人々とその家族の日常を描いた群像劇。教育熱心な母親は9歳の息子に英語教育を無理強いして夫をうんざりさせている。彼女が勤める市役所の上司は、早期教育のため妻子を海外留学させた寂しさで毎晩部下を飲みに誘い、すっかり煙たがられている。ベジタリアンの新入社員は酒席で同僚たちにいじめられ、上司の父親は妻にまったく理解がなく、熟年離婚の危機にさらされているのに気づかない…。韓国を代表する女性監督イム・スルレのユーモアあふれる逸品。

<映画祭出品歴>
 第10回全州国際映画祭
 第3回シネマデジタルソウル2009
 あいち国際女性映画祭2009
 第15回リヨン・アジア映画祭



イム・スルレ監督

 1961年生まれ。漢陽大学英文科、同大学院演劇映画科を経てフランスに留学。パリ第8大学で映画学を学び修士号を取得する。1996年に「三人友達」で長編デビュー。2008年の『私たちの生涯最高の瞬間』は観客動員300万人を超える大ヒットとなった。その他の作品に「ワイキキ・ブラザーズ」(2001年)、ドキュメンタリー「美しき生存−女性映画人が語る映画」(2001年)、オムニバス映画『もし、あなたなら〜6つの視線』の一編『彼女の重さ』(2003年)がある。







韓国/2008年/93分/カラー/1.85:1/Dolby SRD/DV Cam
原題 하늘을 걷는 소년/英題 Da Capo
監督 ノ・ジンス
出演 ホ・イジェ、カン・サン、ソヌ・ソン、チヒョン、イ・ソンホ
字幕翻訳 北村裕美

<あらすじ>
 ふとしたことで出会った少年と“娘”の心温まるロード・ムービー。母親の死と父親の再婚を受け入れられない“娘”は、配達のアルバイトをしていた。ある日、8歳になる男の子の配達を頼まれるが、受取人として指定されていたのは結婚式場の新郎だった。男に「自分の子供ではない」と拒否された少年は、自分を「ここではないどこか」へ配達して欲しいと娘に頼む。脚本家として注目されていたノ・ジンス監督の長編デビュー作。

<映画祭出品歴>
 第8回全州国際映画祭
 第4回釜山国際子供映画祭



ノ・ジンス監督

 1970年生まれ。1995年に嶺南大学を卒業後、『カル』(1999年)、『純愛譜−じゅんあいふ−』(2000年)などにスタッフとして参加。また、「海辺へ行く」(2000年)、「海賊、ディスコ王になる」(2002年)などの脚本を手がける。『空を歩く少年』は長編デビュー作。公開待機作として、様々な事情を抱えて山に登った人たちが予想外の事件に巻き込まれるコメディ風の残酷劇「ノルウェイノモリ」がある。








韓国/2008年/90分/カラー/2.35:1/Dolby Digital/35mm
原題 지금, 이대로가 좋아요/英題 Sisters on the Road
監督 プ・ジヨン
出演 シン・ミナ、コン・ヒョジン、チュ・グィジョン、ムン・ジェウォン、キム・サンヒョン、ペ・ウンジン
字幕翻訳 松岡葉子

<あらすじ>
 反目しあう姉と妹の和解と成長の物語。ソウルの会社で働く妹ミョンウンと、故郷・済州島で母の魚屋を継いだ姉ミョンジュは、異父姉妹。母が亡くなったという知らせを受け帰郷したミョンウンは、ミョンジュと一緒に、幼い頃に自分を捨てた父親を探す旅に出る。性格の違う2人はことごとく意見を異にし、ついには自動車事故を起こしてしまう。これが長編デビュー作となる気鋭の女性監督プ・ジヨンの巧みな脚本に注目!

<映画祭出品歴>
 第13回釜山国際映画祭
 第11回ソウル国際女性映画祭
 第44回カルロビバリ国際映画祭
 あいち国際女性映画祭2009
 第22回東京国際女性映画祭



プ・ジヨン監督

 1971年生まれ。梨花女子大学教育心理学科卒。韓国映画アカデミー17期修了。ぴあフィルムフェスティバルで上映された「透明でしょっぱい液体(原題:涙)」(2002年)など、短編作品を発表する一方、ホン・サンス監督の『秘花 〜スジョンの愛〜』(2000年)の演出部やイ・ジェヨン監督の『スキャンダル』(2003年)のスクリプターを経験。本作で長編デビューを果たす。実の姉との旅行からアイディアを得たという本作は、監督自身の出身地である済州島が主要な舞台となっている。







韓国/2008年/100分/カラー/1.85:1/Dolby SRD/DV Cam
原題 경축! 우리사랑(慶祝!私たちの愛)/英題 Viva! Love
監督 オ・ジョムギュン
出演 キム・ヘスク、キム・ヨンミン、キ・ジュボン、キム・ヘナ、パン・ウニ、ヤン・イクチュン
字幕翻訳 北村裕美

<あらすじ>
 21歳年下の男性との愛を貫こうとする中年女性をユニークな視点で描き、韓国の映画賞を総なめにした話題作。カラオケ屋と下宿を営みながら夫と娘と暮らすボンスンは50歳。女性としての自分は捨て、「妻」そして「母」としてだけ生きていた。そんなある日、下宿人のクサンと結婚宣言をしていた娘が、突然、家出。ヤケになり酒に酔って倒れていたクサンを介抱したボンスンは彼と一夜を共にする。遅咲きオ・ジョムギュン監督、会心のデビュー作。

<受賞歴>
 第45回百想芸術大賞映画作品賞
 第9回釜山映画評論家協会賞新人監督賞
 第45回大鐘賞映画祭シナリオ賞・新人監督賞



オ・ジョムギュン監督

 1959年生まれ。弘益大学西洋学科を卒業後、韓国芸術総合学校映像院映画科に入学。1995年以降、短編作品を数多く発表し国内外で高い評価を受ける。2002年の「生産的活動」でミジャンセン短編映画祭審査委員特別賞を受賞。2006年に発表した長編「生産的活動」はケーブルテレビで放映され、高い視聴率を記録した。本格的な長編デビュー作となる『ビバ!ラブ』ではセンセーショナルともいえる題材をユニークな人間ドラマとして完成させた。





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