短編映画『誇大妄想』(L.A.国際短編映画祭ベストベスト賞受賞作品)で好評を博したパク・キヒョン監督の長編デビュー作。とある女子高校で、「古狐」と呼ばれるパク先生(イ・ヨンニョ)と「狂犬」というあだ名のセクハラ教師オ先生(パク・ヨンス)が殺される。パク先生が殺される前に言い残した言葉は「死んだジンジュがここにいる」。ジンジュとは、9年前に教師から憎まれたあげく「いじめ」で命を失った女学生の名前。ジンジュ幽霊の正体は?
単なるおばけ映画ではなく、学校における教師の暴力・セクハラ・いじめという社会問題を扱っている点が特色。ジンジュが誰なのかを推理する面白さもある。主役キム・ギュリ(ジオ役)の恐怖演技、そしてパク・チニ(ソヨン役)の新人らしくない演技力が高評価。また、『幸せは成績順じゃないでしょう』の女子高生役でデビューしたイ・ミヨンが、この映画では女性教師ホ・ウニョン役で登場。ミステリー事件を解決していく。
脚本は監督のパク・キヒョン。撮影監督はソ・ジョンミン。撮影時には、「女子高校生の愛と友情を扱った映画で、題名は『アカシア』」と偽りの申告をして学校でのロケ許可を得たという逸話がある。
1998年上半期最高の観客動員を達成(「1998年韓国映画興行成績」)。余りの反響の大きさに「シンドローム」現象と呼ばれ、ビデオでも『廃校怪談』,『学校怪談』,『学院怪談』,『女中(女子中学校)怪談』,『女大(女子大)怪談』など類似品が多数製作された。ただし、あまりに教師を悪者扱いしすぎると教員団体総連合会が上映禁止仮処分申請を準備。この映画の教師描写が是か非かの論争にまで発展。
1999年には第2弾の『少女たちの遺言』が公開された。
NEO KOREA 韓国新世代映画祭'99では『囁く廊下〜女校怪談〜』という題名で上映された。また、一般公開に先立って発売されたビデオの題名も『囁く廊下〜女校怪談〜』となっている。
第17回(1998)バンクーバー国際映画祭、第3回(1998)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門、第2回(1998)富川国際ファンタスティック映画祭「ファンタスティク韓国映画特別展」部門、モントリオール・ファンタジア映画祭(1999)、エジンバラ映画祭(1999)、ロンドン汎アジアン映画祭(1999)、ストックホルム国際映画祭(1999)、サンフランシスコ・アジア−アメリカン映画祭、ウディネイ映画祭、パリの秋映画祭、第13回(2000)ヘルシンキ国際映画祭LOVE & ANARCHY部門、第21回(2001)Fantasporto国際映画祭公式コンペ部門招待、第7回(1999)春史映画芸術賞女子新しい顔演技賞(キム・ギュリ)、第22回(1999)黄金撮影賞新人演技賞(キム・ギュリ)、第36回(1999)大鐘賞助演女優賞(イ・ミヨン)受賞作品。
SFオンラインの添野知生氏の評論はこちら。
初版:1998/5
最新版:2001/2/25
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