チョ・ジェヒョン

　中三の時に、姉が連れて行ってくれた演劇『結婚』に惚れこみ、俳優になることを夢見る。そして、釜山の慶星大学演劇映画科を卒業した後、ソウルに戻り、1989年にKBSタレントとしてデビュー。翌1990年には劇団「鐘閣」を創立し、『ウムッペミの愛』など数多くの舞台をこなす。特に演劇『エクウス』の演技で注目を浴び、1991年の百想芸術大賞では演劇部門の新人賞を受賞する。1990年にはテレビ・ドラマ『野望の歳月』でドラマ・デビューも果たす。

　映画は1990年に『若き日の肖像』でデビューし、『胸に芽生えた刃で悲しみを切って』の演技で、第29回(1993)百想芸術大賞男子演技賞、第13回(1992)青龍賞新人賞を受賞。以後も興行作品より『鰐 〜ワニ〜』、『ワイルド・アニマル』、『私の中に響く風（三部作）』、『Interview』、『魚と寝る女』、『受取人不明』など芸術作品やインディペンデント系の作品に数多く出演する。

　日本公開作『永遠なる帝国』では、極秘文書を追う若きエリート、イ・インモンを演じた。また、1998年の話題作『ディナーの後に』では、チン・ヒギョンの恋人ヨンジャク役で出演し、第19回(1998)青龍賞で男優助演賞にノミネートされた。1999年の『顔』では巨悪と戦う警官を演じている。

　2000年の『魚と寝る女』は、『鰐 〜ワニ〜』、『ワイルド・アニマル』で縁のあるキム・ギドク監督作品。ちなみに『魚と寝る女』では助演にもかかわらず「義理出演：チョ・ジェヒョン」とクレジットされており、キム・ギドクとの深い関係を読み取ることが出来る。

　2001年には、奇想天外なサッカー映画『ミラクル・サッカー』でコミカルな演技をみせたかと思うと、盟友キム・ギドク監督の作家主義映画『受取人不明』にも出演と、様々な顔をみせてくれている。『受取人不明』では第2回(2001)釜山映画評論家協会賞助演男優賞を受賞。

　2001年に出演したテレビ・ドラマ『ピアノ』の演技が大好評で、2001年のSBS演技大賞では最優秀演技賞と人気賞をダブル受賞。ブラウン管でもその知名度は急上昇した。そして、翌2002年1月に公開され、彼の狂気に満ち満ちた演技が話題となった『悪い男』（キム・ギドク監督作）は低予算アート・ムービーにもかかわらず、スマッシュ・ヒットし、彼自身も第38回(2002)百想芸術大賞で最優秀男子演技賞を受賞。そのヒット要因の一つは、チョ・ジェヒョン人気と言われ、CMや映画への出演料も億ウォン単位まで高騰した。

　2002年には短編映画を監督し、これを大学院に提出する論文の替わりとする予定。

初版：1998
最新版：2002/3/14