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太白山脈


題名
英題
ハングル
太白山脈
The Taebaek Mountains
태백산맥
製作年 1994
時間 165
製作 泰興映画
監督 イム・グォンテク
出演 アン・ソンギ
キム・ミョンゴン
キム・ガプス
シン・ヒョンジュン
オ・ジョンヘ
チェ・ドンジュン
チョン・ギョンスン
パン・ウンジン
イ・ホジェ
アン・ソックァン
オ・ジヘ
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 第二次世界大戦終結後、日本の植民地支配から開放された朝鮮半島を舞台に、イデオロギー対立によって同じ民族・兄弟までが骨肉の争いをするに至った混乱期を描いたチョ・ジョンレ(趙廷來)の歴史大河小説『太白山脈』を映画化した長編大作。解放直後に発生した麗水順天反乱事件(1948年10月)から朝鮮戦争(1950〜1953年)までを背景に、当時の右翼左翼のイデオロギー対立に巻き込まれた人々の苦悩を、左翼=ヨム・サンジン、右翼=サンジンの弟ヨム・サング、中道民族主義者=キム・ボムを中心に描く。

麗水順天反乱事件(1948年10月)
 済州島4・3事件(1948年4月)を鎮圧するために派遣される予定だった麗水の第14連隊が反乱を起こし(中心人物はヨム・サンジン)、そのまま智異山にたてこもってパルチザンとなった事件。

 『風の丘を越えて〜西便制』のイム・グォンテク監督、キム・ミョンゴン(ヨム・サンジン役)、オ・ジョンヘ(ソファ役)、チョン・イルソン(撮影監督)、キム・スチョル(音楽)に加えて、ミスター韓国映画アン・ソンギ(キム・ボム役)、そしてキム・ガプス(ヨム・サング役)、シン・ヒョンジュン(チョン・ハソプ役)、チョン・ギョンスン(チュウク・サンテク役)、パン・ウンジン(ウェソテク役)らも参加した歴史長編大作。原作の脚色は後に『ナンバー・スリー』で監督デビューするソン・ヌンハン。当初『将軍の息子』シリーズを撮り終えたイム・グォンテク監督の次回作として1992年に製作される予定であったが、共産党のパルチザンを描いているため政府サイドからクレームが付き(当時は盧泰愚政権)、次期大統領選挙が終わる1993年3月以降に製作を延期したという逸話がある。ちなみに、その延期期間に製作されたのが名作『風の丘を越えて〜西便制』。

 原作小説の翻訳本(全10巻,監修:尹學準)が、集英社から出版されている。ちなみに、映画で描かれているのは小説全体の半分に過ぎない。

 総撮影回数132回、撮影日程10ヵ月、主要俳優150人、エキストラ7千人、エキストラの人件費3億5千万ウォン、オープン・セット製作費8億ウォンなど、製作費は当時としては破格の20億ウォンが投入された。また、韓国国内では、韓国映画としては初めて全国40館あまりで一斉公開された。

 1995年ベルリン映画祭コンペ部門本選進出、第33回(1995)大鐘賞審査委員特別賞・男優助演賞(キム・ガプス)・女優助演賞(チョン・ギョンスン)・音楽賞(キム・スチョル)、第31回(1995)百想芸術大賞男子演技賞(キム・ガプス)、第15回(1994)青龍賞作品賞・男優助演賞(キム・ガプス)・女優助演賞(チョン・ギョンスン)・技術賞(音楽:キム・スチョル)、第5回(1994)春史映画芸術賞作品賞・男子新しい顔演技賞(キム・ガプス)・女子優秀演技賞(チョン・ギョンスン)・照明賞(イ・ミンブ)・撮影賞(チョン・イルソン)・技術賞(音楽:キム・スチョル)受賞作品。1994年映画振興公社選定「上半期の良い映画」。

初版:1998/7/12
最新版:2000/11/16


【ソチョンの鑑賞ノート】

 大阪で見てきました。あまり期待していなかったせいか結構楽しめました。一番感じたのはチョ・ジョンレの原作小説はめちゃくちゃ面白いんだろうということ。映画自体は、小説の中で「これだけは絶対に外せない」という重要な台詞をピックアップ。そしてその台詞を役者に言わせるのに必要なシーンを一つまた一つと積み重ねていって、繋げていったら165分の長編映画になっちゃったって感じです。麗水順天反乱事件だけを扱っているのかと思ったら、その後の朝鮮戦争までカバーしていて驚き。朝鮮戦争前後の左右イデオロギー対立とそれが生み出す(今もって続いている)民族的悲劇というのは韓国の方々にとってあまりにも大きく、かつ深刻なテーマで、ついつい長くなってしまうのは分かるのですが、外人の私としてはもう少しコンパクトに的を絞って映画作りしたほうが見やすい映画になったろうとの感をぬぐえません。

 特に原作小説を映画化する時、常に問題になるのは、原作にどこまで忠実に映画化するか(しないか)。私見ですが、映画というオリジナルの作品を作り上げるためには、やはり原作とは違う何かがないと成功しないと思います。それは原作にはない人物を登場させるのでもいいし、原作の一部にのみ焦点をあてるのでもよい。とにかく原作にはない何かがないと、その映画は新しいものにはなり得ない。原作をそのまま映像にしても映画と小説では表現方法が異なるため概してうまくいかないようです。今回の場合ですと、映画『太白山脈』はイム・グォンテクの作品にはなっていなくて、チョ・ジョンレの『太白山脈』のままでした(原作は読んでないのですけれど)。この点、原作にはない卵売りとお手伝いさんを登場させ、独自の世界を展開したシン・サンオク監督の『離れの客とお母さん』とは好対照。

 とはいうものの、さすがに巨匠イム・グォンテクの作品。安心してみられます。女性(パン・ウンジン)が出るシーン出るシーン、レイプされ続けられるのにはちょっとウンザリしますけれどね。

1998年7月12日執筆


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