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純愛譜−じゅんあいふ−


題名
英題
原題
ハングル
純愛譜−じゅんあいふ−
Asako in Ruby Shoes
純愛譜
순애보
製作年 2000
時間 117(韓国版)
115(日本版)
製作
 
投資配給
 
共同投資
 
Koo & フィルム
松竹
シネマ・サービス
松竹
無限技術投資
サヌン・キャピタル
監督 イ・ジェヨン
出演 イ・ジョンジェ
橘実里
キム・ミニ
大杉漣
余貴美子
粟田麗
キム・ヨンチョル
キム・サンミ
ダンカン
柳ユーレイ
キ・ジュボン
イ・ウンジュ
イ・ウンシル
イ・ヨンジン(特別出演)
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 韓国のオタク青年と自殺願望を持つ日本人の少女が、インターネットの匿名サイトを通じて知り合うというキッチュな雰囲気が漂う不思議な恋の物語。松竹とシネマ・サービスという日韓メジャー映画会社が手を結んで製作した本格的な日韓共同製作作品。20億ウォンの製作費はシネマ・サービスと松竹が共同出資し、韓国&アラスカ・ロケ・パートは韓国人スタッフにより、日本ロケ・パートは主に日本人スタッフにより撮影された。

 家庭不和や祖母の死が原因で、死に憧れる18歳の予備校生、彩(橘実里)。彼女は、誕生日に日付変更線の上で死のうと決意する。理由は「昨日死んだのか、今日死んだのか分からない」から。そして、飛行機のチケットを購入するためにインターネットの美少女覗き見サイトで「靴を履いた朝子」という名前でバイトを始める。一方、ソウルで退屈な毎日を送っているウイン(イ・ジョンジェ)は町役場の職員。彼は、パン作りの講座で助手をしていたミア(キム・ミニ)に一目惚れするが、自分の気持ちをうまく伝えることができない。そして、インターネットでミアに似た「靴を履いた朝子」を見つけ、彼女にファン・レターを送る。

 イ・ジョンジェが、ひ弱でオタッキーな男ウイン役で主演。彼は中国ロケの大作『MUSA−武士−』への出演を断り、この映画への出演を決めたという。主人公の女の子に抜擢された橘実里の新人らしからぬ繊細な演技が好評で、韓国では「『純愛譜−じゅんあいふ−』を輝かせる宝石」という評を得る。日本ではCMやドラマで活躍する橘実里の非公式サイト "Standup flower" はこちら。韓国のファンが開設した橘実里のホームページ "Love Love MISATO" はこちら。CMモデルやTVドラマ『学校2』への出演で有名なキム・ミニ(1982年3月1日生まれ)は、この作品がスクリーン・デビュー作となる。『少女たちの遺言』のイ・ヨンジンがキム・ミニのレズの相手役で特別出演。日本人俳優では、大杉漣と余貴美子が彩の両親役で出演。また、ダンカンと柳ユーレイが覗き見サイトのカメラマン役で出演している。

 『情事』のイ・ジェヨン監督第ニ作。前作同様、登場人物の繊細な感情の揺れの描写、それに感覚的な映像が素晴らしい。原案はKoo & フィルムの代表ク・ボナン。脚本も監督のイ・ジェヨンが手がける。日韓両国の微妙な雰囲気の違いを描きたいという監督の意向に沿って、韓国での撮影はホン・ギョンピョが、日本での撮影は近森眞史が担当。音楽はチョ・ソンウ。美術監督は『情事』,『カル』を担当したチョン・グホ。

 イ・ジェヨンが好きな監督、ゴダールの『女と男のいる舗道(VIVRE SA VIE)』でアンナ・カリーナが着ていた衣装がそのまま登場したり(彩が2回目の撮影をするシーンで着ている服装)、ブニュエルの『昼顔(BELLE DE JOUR)』の題名が劇中のスタジオの看板にかけられているなど、映画の中には様々な遊びがある。キアロスタミの『友だちのうちはどこ?』を思わせるシーンも・・・ また飛行機のシーンは、監督の前作『情事』のラスト・シーンを思わせ、男性主人公の名前も『情事』と同じくウイン(演じるイ・ジョンジェも同じ)というのも面白い。なお、監督の言によれば、『純愛譜−じゅんあいふ−』は監督の出世作である短編の『ホモ・ビデオクス』の延長線上にある作品とのこと。『ホモ・ビデオクス』はビデオ中毒になった若者が映画と現実を区別できなくなる話だ。

 日本ではサントラがカルチュア・パブリッシャーズより発売されている。

 第6回(2001)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門招待作品。

初版:2000/12/10
最新版:2002/2/17



【鑑賞ノオト】 Text by 月原万貴子(月子) 2001/10/6

 オタクな韓国人青年と自殺願望の日本人少女。一見何のつながりもないように思える男女の不思議な「縁」を、それぞれの視線から描いた風変わりなラブ・ストーリー。

 『情事』で鮮烈な長編デビューを飾ったイ・ジェヨン監督が第二作に選んだのは、随所にちりばめたゴダールやブニュエルへのオマージュも楽しい、日韓共同製作による話題作だ。

 洞事務所(日本でいえば区民センターみたいな感じか?)で働く27歳のウインはやる気ゼロの公務員。恋人どころか友人もなく、趣味はネットでエロ・サイトを見ることだけというダメダメ男だ。そんなウインを演じているイ・ジョンジェがすごい!

 ジョンジェといえば『イルマーレ』でもおなじみのように「ハンサムじゃないけどかっこいい」キャラを得意としているわけだけど、どうやらそれは彼の演技力のなせるワザだったらしい。

だって、このウインってサイテーだもん(笑)!

 片思いの相手ミアの着替えを覗く、ミアが出た直後の女子トイレに忍び込み残り香を嗅ぐ、彼女の写真をアダルト映像と合成して、ひとりエッチのおかずにする。こんな奴が女の子に相手にされるわけがない! やがて現実から逃避するように「覗き部屋サイト」のネット・アイドル「靴を履いた朝子」にのめり込んでいくウイン・・・ そんな危ない男っぷりが妙にリアルなのだ。イ監督によれば「みんなの前じゃなく、ひとりでいる時の君を見せて」と言った結果なのだそうだが、これが地の姿なのだとしたら、ジョンジェくん、やば過ぎじゃない(笑)?

 そんな冴えない野郎と比べ、女の子ふたりはとても魅力的だ。

 ミアを演じるキム・ミニも、彩(「靴を履いた朝子」)を演じる橘実里も、これが映画初出演だというのが信じられないほど、堂々たる演技を見せている。髪を真っ赤に染めた挑発的な外見と、何事にも動じないクールな内面を持ったミアを印象深く演じたキム・ミニ。「昨日死んだのか今日死んだのか分らないように、日付変更線の上で死ぬ」ことを願い、そのための旅費稼ぎに、覗きサイトに「靴を履いた朝子」という名で出演。何事にも関心が持てないような寂しげな表情の裏に、一度こうと決めたら絶対にやり遂げようとする強い意志を秘めた彩を、自分の分身のように演じて見せた橘実里。

 二人の映画女優を誕生させたイ監督の手腕に脱帽です。

【評価:★★★★】



投稿者:SUMさん 投稿日:2002/1/4 19:57:03

 とにかく橘実里がいい。

 よくここまで日本の若い女の子を描けたのか、監督も素晴らしい。若者の空虚さみたいなものの日韓共通なところをうまく描いている。

 が、結果として前向きな面の見える朝子と、まったく救いようのないウインが結ばれるのは、ただただ謎である。

【評価:★★★★】



投稿者:大西康雄さん 投稿日:2002/1/13 12:07:11

 この映画を一言で要約すれば「韓国から日本への片思いの映画」である。

 まず既に指摘されていることだが、男性側から見て彩(だけでなく他の女性の登場人物も)は魅力的に描かれているが、女性にとってウイン=男性側はおよそ魅力があるように描かれていない。従ってウインが彩に惹かれる理由はともかく、彩がウインに惹かれる理由が見えてこない。

 また最後のシーンまで主人公達が出会わないという設定の映画として、本作以外にブラッド・アンダースン監督の『ワンダーランド駅で』(1998)、ノーラ・エフロン監督の『めぐり逢えたら』(1993)などが想起されるが、エフロン監督の場合、主人公同士はコミュニケーションの意志をもっていたし、アンダーソン監督の場合は主人公同士は実は直接のコミュニケーションを一切取っていないにもかかわらず、すれ違いの状況を巧みに配して奇跡的に「コミュニケーションなき恋愛映画」を成立させている。しかし本作の場合は、ニ人をつなぐ接点もウェッブ上の「覗き部屋」であって、ほとんどインターアクションがなく、彩側はそもそもコミュニケーションの意志すら持っていない。

 その意味では正に男性の女性に対する一方的な片思いの映画である。にもかかわらず最後に恋愛映画に仕立ててしまったところに無理がある。韓国ではイ・ジョンジェの女性観客に対するブランド効果によってこの無理を通してしまう部分があるのかも知れないが、彼のブランドイメージが日本の女性観客の中でまだ確立していない現在、かなり苦しいと思う。日本でのマーケティングを考えればその点を考慮すべきであった。

 最近の韓国映画を見て思うことは、男性側の論理で描かれている映画がとても多い。また、動員成績的にもそれが韓国社会の中で受け入れられていることを示している。しかし、日本では(とくに恋愛映画では)女性観客が映画市場の最大の動員力となっている。その意味で、本作で日本側から見て恋愛映画として成立していないと感じる部分は、このような韓国映画市場の特徴の反映であるように思われる。

 また本作に登場する魅力的な女性達は、ウインのもっとも身近にいるミアさえも「朝子」のイメージに重ねあわせられることを通じて、すべて「日本」というイメージに集約されている。つまり日本=女性、韓国=男性にシンボライズされているといえる。

 こう考えてくると、いろいろな意味で本作を冒頭に述べたように要約したくなる。さて、片思いされる側から見た本作は如何であろうか?

日本上映版で鑑賞。

【評価:★★★】



投稿者:iwakoさん 投稿日:2002/4/30 10:43:33

 おくればせながらビデオで家でみました。よかったですねえ、この映画。オタクは嫌い、サイコパスはイヤという私が。多分それは事件の原因にそういう設定が安易すぎるからで、こういうのはいいんです、別に。やっているのがイ・ジョンジェだということは差し引いても、ホント、いい映画でした。DVDを買ってコレクションに加えたい作品です。

 映画とはワンシーンごとの映像の積み重ねだと再認識させてくれる映像の良さでした。風景、人物、行為。丁寧に作られていると思いました。

 若い内気な(オタッキーなんていわない)男性がああいうふうにモンモンと過ごし、若い女性がああいうふうに死にたいと望む。そして、日付変更線を越えると二人は知り合う。もしかしてどこかで会ったかもしれないと思いながら。日付が戻って二人は過去と離れられたのでしょうか。

 最近韓国のラブロマンスをみていて思うのですが、出会う二人が既視感を持っている設定が多いですね。作中の人物がそれに気づいているケースと観客がほらあの二人あそこで会っていると気づく例とみうけられますが、この傾向は何でしょうか。『接続』『Interview』『イルマーレ』、みなデジャヴュ感覚が映画の中にながれていると感じます。神秘、それとも前世の因縁、出会いって不思議ってことかしら?

 イ・ジョンジェのスイカを抱いての入浴シーンはありがとうございました。

【評価:★★★★★】


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