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ソウル


題名
英題
ハングル
ソウル
Seoul
서울
製作年 2002
時間 109
製作








制作

配給
 
『ソウル』プロデューサーズ
・リレーションズ
 フジテレビ
 東宝
 電通
 ジャニーズ出版
 ポニーキャニオン
 デスティニー
 エンジンネットワーク
エンジンネットワーク
デスティニー
東宝(日本)
東亜エンターテイメント(韓国)
監督 長澤雅彦
出演 長瀬智也
チェ・ミンス
キム・ジヨン
イ・チャンヨン
チェ・ソンミン
チェ・ソン
チャン・フン
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD
Hi-Bit Edition DVD

 『ホワイトアウト』と『シュリ』のスタッフが生み出した日韓共同製作アクション映画。舞台は韓国の首都ソウル。日本からやってきた若手刑事と韓国のベテラン刑事、言葉の通じない二人が謎に満ちた凶悪犯罪に立ち向かう。主演は、TOKIOの長瀬智也と、『ユリョン』『リベラ・メ』などでの鬼気迫る演技が記憶に新しい韓国映画界のカリスマ=チェ・ミンス。

 若き熱血刑事、早瀬祐太郎(長瀬智也)は、逃亡犯を韓国へ護送した帰り、ソウルで現金輸送車強奪事件に遭遇する。正義感の強い早瀬は、異国の地であるにもかかわらず、本能的に犯人の車を追跡。もう少しのところまで追い詰めるが、一人を射殺し、残りの一人を逃してしまう。おかげで、成田行きの飛行機に乗り遅れてしまった早瀬だが、犯人の顔を目撃していたため、72時間の滞在許可が下り、ソウル市警でブラックリストの中から犯人を特定する作業を任せられる。しかし、刑事部長キム・ユンチョル(チェ・ミンス)は早瀬に会うやいなや、グーの拳骨でパンチ! 犯人を逃してしまった異国の刑事に怒り心頭の様子だ。早瀬は、外事課の通訳ユン・ギョンヒ(キム・ジヨン)を連れて捜査に協力しようとするが、キムは、そんな彼に度々グーのパンチをお見舞いする。言葉も習慣も異なる異国の地で苦労する早瀬にとって唯一の心のオアシスは、ホテルの近くで屋台を営む老人(チェ・ソン)とその孫ミンチョル(チャン・フン)との触れ合いだった。しかし、そんな時「民族の夜明け」と名乗る組織がアジア首脳会議でのテロを予告してくる。

 日本人俳優は長瀬一人で他は全員韓国人俳優+100%韓国ロケ。製作費は10億円。韓国側のパートナーはチャ・スンジェ率いるサイダス。韓国ロケにより可能となった(=日本では絶対不可能な)ド迫力の都心でのガン・アクション&カー・アクションに注目。

 長瀬智也は、これが映画初出演。チェ・ミンスは、ある事件がトラウマとなって笑みを失い、おまけにエリートコースからも外れてしまった刑事部長キムを演じたが、彼のキャスティングは、製作陣が日本公開作『ユリョン』を見たのがきっかけだったという。1997年度ミスコリア「真」出身でSBSドラマ『KAIST』などに出演していたキム・ジヨンがこの映画でスクリーン・デビュー。彼女は日本で生活した経験があるため日本語が得意。この映画でも日本語通訳担当刑事を演じた。屋台の老人を演じたチェ・ソンは『学生府君神位』の冒頭で死んでしまうパク老人を演じていたベテラン俳優。

 監督は、韓国でも大ヒットした日本映画『Love Letter』のプロデューサーで、『ココニイルコト』で監督デビューした長澤雅彦。脚本(長谷川康夫)・音楽(住友紀人)・撮影(山本英夫)・録音(小野寺修)などは『ホワイトアウト』の日本人スタッフが、特殊効果(チョン・ドアン)・アクション(チョン・ドゥホン)などは『シュリ』のスタッフが担当。イ・ガンサンも応援照明として撮影に協力している。

 グッズとしては、メイキング写真集『ソウル 長瀬智也』が光文社より、長谷川康夫の手による原作小説『ソウル SEOUL』が角川書店より、そしてサントラがユニバーサルミュージックより発売されている。

 韓国では2002年3月22日に「日本映画」扱いで公開されたが、興行成績的には惨敗。プリントも大幅に再編集されたようで、日本版にあって韓国版にはないシーンがいくつかあったという。

初版:2002/1/21
最新版:2002/3/22


【ソチョンの鑑賞ノート】

2002年2月15日執筆

 韓国の大手総合エンターテイメント会社サイダスの協力を得て、製作された日本映画。

 日韓合作ではあるものの、スクリーンから漂ってくる香りは日本映画のそれで、いわゆる韓国映画とはやはり異質な部分が多々ある。「日本では規制のため実現不能なカー・アクションとガン・アクション」が売りの一つだが、『シュリ』『ユリョン』『リベラ・メ』といったコリアン・アクション・ムービーから漂ってくる、この国特有の熱さと重苦しさが抜けてしまっているため、今ひとつ重量感を感じられず、「ものすごいアクション」というイメージからはほど遠い。

 他にも、黒幕の動機が「おいおいそんな理由で、こんな大事起こすかい?」という感じのものであったり、なぜ、あんな一般人の黒幕が国際的なテロ組織を牛耳ってるのか全く不明だったり、「いくらなんでもそりゃないだろう?」と思える描写(ラストシーン、なんで二人だけで突っ込むの?)があったりと脚本的にヌルい点も多々ある。

 また、見ていて一番カックンと来てしまったのが、早瀬がバスケット少年に向って、出し抜けに「日本と韓国、色々あるけど、自分の国に誇りを持って、尊敬しあって・・・」と説教くさいことを話し始めるシーン。あぁいうことは見終わった後に観客一人一人が考えればいいことであって、役者に台詞で言わせるのはいかがなものか? 製作スタッフとしてはこの映画に込めた最大のメッセージだったのかも知れないが、肩に力が入りすぎ。在日を描いた『GO』でも同じような感想をもったのだが、「過去のしがらみに囚われない」ことをメッセージにしつつ、結局一番囚われているのは作っている本人達であるような印象を持ってしまった。

 相容れない者同士が一つの目標に向ってまい進する過程で、お互いの偏見や誤解を解き、理解していくというハリウッド映画が得意とするバディ・ムービー(Buddy Movie)なのだが、肝心の早瀬とキムのキャラクター描写、そして二人の交わりあいが希薄なため、バディ・ムービー特有の感動が得られず、最初からゴール・ラインとして決まっている日韓友好に収斂してしまったのもその辺に理由があるような気がする。

 ちなみに、日本で日本主導型の日韓合作『ソウル』が公開されている今、この時、韓国では韓国主導型の日韓合作『ロスト・メモリーズ』が公開され大ヒットしているのだが、この映画もチャン・ドンゴンと仲村トオルを主役にしたバディ・ムービー的要素があるようだ。奇しくもW杯日韓共催の年に公開された、日本主導型の『ソウル』と韓国主導型の『ロスト・メモリーズ』、機会があったら見比べてみたいものです。

 ちなみに、辛口評をしている割に星取りでは四つ付けているのは、日本のアイドル映画として見た場合、十二分な合格点をあげられるから。長瀬智也はなかなかスクリーン映えする俳優で、驚きました。チェ・ミンスはちょっと生真面目に演じすぎたかな?



投稿者:さかなさん 投稿日:2003/3/8 07:29:08

 一言で言うなら、まごうことなき日本映画。せっかく韓国まで行ってロケした割に銃撃、カー・アクションに迫力がない。

 キム部長(チェ・ミンス)と早瀬(長瀬)の相互理解に至るまでの衝突や葛藤が描き切れていない。お互いに過去の繋がりや傷があるが言葉で説明するに留まっていて観る側はキャラクターに感情移入できないし、全体的に言葉での説明が多すぎ。事件の背景も犯人の描き方も、それはどうよ?と思わせる。流石に韓国映画で日本を蔑むように韓国を蔑む真似はしていないが、あれじゃ韓国警察はまるでバカのよう。

 だからと言って韓国映画のように「役者を見せるためには多少のご都合主義は可」というほど突き抜けてもいない。予告を観た時のイメージより、本編は大人しくできている。せっかくチェ・ミンスをキャスティングしているのだから、もっと彼をクローズアップして主役を押しのけるくらいに描けば、逆に長瀬の若さや実直さも生きたのにと思うと残念。チェ・ミンスと長瀬、キャラクターの魅力の方向性が違うのだから、遠慮しないで個性をぶつける描き方をして欲しかった。

 したがって長瀬ファンには★3.5、チェ・ミンス ファンには★2.5、しかし双方のファンだと急に★2まで急落の感あり。

【評価:★★★】


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