大金が入った鞄をめぐる騒動を描いた韓国型コミカル・マカロニ・ウェスタン。『イエローヘア』,『サミャン洞精肉店』,『愛人 もうひとりのわたし』とセックスを主題にしたB級低予算映画ばかりを製作してきたY2シネマ(元、フィクションバンク)のヨ・ハングがプロデュースした4番目の作品。B級低予算であることはこれまでと同じだが、今回はお色気なし。ばらばら殺人が行われるVシネマ風猟奇コメディに仕上げた。
タクシー運転手のアルバイトをしていたギフン(チョン・ソヨン)は、ある日、よそ見運転をしていて一人の男をひき殺してしまう。ところが、死んだその男の鞄の中からは何万ドルもの札束が出てきた! 死体を処分したギフンは大金をコンビニでバイトをするガールフレンドのヒョニ(イ・ジヒョン)に預ける。一方、刑事のギルス(イ・ナミ)とジェソン(アン・ホンジン)は仕事そっちのけで鞄を着服したギフンの行方を追い、大金が入っていた鞄の元々の持ち主であるチョン会長は仕事人の「ライト(ユン・ヨンヒョン)」と「パイプ(ソン・ドンイル)」に鞄を探させる。そして、始まった鞄を巡る一大争奪戦。夜明けのコンビに集まった無法者たち。最後に勝つのは誰?
トップ・クラスの俳優は起用せず、映画やテレビ・ドラマの助演で活躍する俳優をキャスティング。『寵愛』でデビューし、美しい肢体を惜しげもなく披露したイ・ジヒョンが、今回は銃を手に男達と張り合うコンビニの店員ヒョニを演じる。彼女は『LIES/嘘』の原作小説を演劇化した『私に嘘をついてみて』の主人公役、SBSドラマ『彼女を見ろ』への出演、芸術映画TVの『シネマ・トゥデイ』のメインMCなどの経験がある。チョン・ソヨンは『アタック・ザ・ガス・ステーション!』,『サイレン』に出演している他、テレビ・ドラマでも活躍している男優。KBS19期出身で、パク・チョンチョルやカン・ソンジンと同期のアン・ホンジンが刑事のジェソン役でスクリーン・デビュー。彼はKBSの『学校』で担任の先生を演じていた。
この作品で監督デビュー(シナリオも担当)したキム・ジュマンは、漢陽大学国文学科を中退し、日本のビジュアル・アート・スクールを卒業した人物で、日本では黒澤明の『八月の狂詩曲〈ラプソディー〉』(1991)と今井正の『戦争と青春』(1991)の演出部に参加。帰国後、『はさみの女』(1993)、『ムクゲの花が咲きました』(1995)で助監督を、『最後の試み』と『サミャン洞精肉店』でシナリオを担当している。また、戯曲の脚色や演出の経験もある。
B級映画を愛する一部のファンからは「タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』の韓国版だ!」などと熱狂的に支持されたが、評論家筋からは酷評を受けた。
初版:2001/2/12
|