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イ・チャンドン


名前
漢字
ハングル
イ・チャンドン
李滄東
이창동
性別
監督作品
1997グリーンフィッシュ
1999ペパーミント・キャンディー

 小説家出身の映画監督。1980年代は中堅小説家として活躍していたが、1990年代からは映画界に転身。監督作品は二本だが、今や韓国を代表する監督の一人に成長した。商業性を強める現在の韓国映画界にあって、作家性が強く、かつ商業的にも成立する作品を生み出すことが出来る数少ない監督の一人。1980年代、韓国では文学が民主化運動の手段として文化的・政治的に大きな役割を担っていた。しかし1990年代に入ると文学の危機が叫ばれ、入れ替わるように表現手段としての映画の地位が向上した。1980年代を文学作家として、1990年代を映像作家として生きるイ・チャンドンは、韓国映画史のみならず韓国文化史の中で極めて大きな意味を持っている作家と言える。

 1954年4月1日、大邱で生まれる。1980年に慶北大学師範学部国語教育学科を卒業。大邱で7年間演劇活動をし、10本余りの作品で演出や俳優を担当する。1981年から1987年までは教師として教壇に立つ。1983年に小説『戦利』で小説家としてデビューし、同作は東亜日報新春文芸中編部門に当選する。1987年に、南北分断下におけるタブーを題材にした小説『焼紙』(初出は1985年)のほか、『親忌』、『紐』などを発表。小説『運命に関して』はイ・サン(李箱)文学賞推薦優秀作に選定された。1992年に発表した『鹿川には糞が多い』は韓国日報文学賞を受賞する。

 『焼紙』は、三枝壽勝 他訳『現代韓国短篇選 下』(岩波書店、2002年)に収録されている。
 映画界に入ったのは、文学の限界を感じパリに行くことを検討していたとき、友人のパク・クァンス監督の誘いで、同監督の『あの島へ行きたい』で助監督と脚本を担当したのがきかっけ。同監督の『美しき青年 全泰壱』でも脚本を担当し、第32回(1996)百想芸術大賞シナリオ賞を受賞する。

 その並々ならぬ脚本力により監督としての力量も期待され、「イ・チャンドンの監督デビューを支援する会」が発足される。そして、1996年にミョン・ゲナムヨ・ギュンドンムン・ソングンと四人でイースト・フィルムを設立し、1997年に監督デビュー作『グリーンフィッシュ』を製作。『あの島へ行きたい』で端役出演した盟友ミョン・ゲナムは、イ・チャンドンが『グリーンフィッシュ』のシナリオを脱稿したという話を聞き、即座にイースト・フィルムを開設すべく事務所の契約をしたという。産業化と共に薄れていく家族の絆の意味を問おうとした『グリーンフィッシュ』は国内外で「新人監督とは思えない完成度をもつ作品」と高い評価を受け、輝かしい受賞歴を誇っている。

 1998年には、スクリーン・クォーター汎映画人非常対策委員会政策スポークスマンをつとめ、スクリーン・クォーター制死守の先頭に立ち、1999年には、アイチム・シナリオ創作基金責任作家と、映画投資会社であるユニコリア文芸投資理事に就任。シナリオ作家の育成や、韓国映画に対する投資などにも尽力する。

 監督・脚本を担当した第2作『ペパーミント・キャンディー』は、NHKとの共同製作作品で、1998年秋に韓国において日本映画が部分解禁されて以降最初の日韓合作となった。また、この作品は1999年の第4回釜山国際映画祭で韓国映画としては初めてオープニング作品に選定され、翌年には第53回カンヌ国際映画祭「監督週間」部門に招待されるなど国内外で高い評価を受けた。

 2000年、スクリーン・クォーター監視団が拡大・再編されたスクリーン・クォーター文化連帯の政策委員会委員長に就任。

 次回作は『オアシス』。

 監督のサイト(韓国語・英語)はこちら

 監督の夫人は、MBCベスト劇場公開採用作家2期出身で、『娘の選択』、『盲目の鳥の歌』、『告白』などのドラマ脚本を担当したイ・ラン。

 2003年2月には、ノ・ムヒョン(盧武鉉)新大統領の下、文化観光部長官(日本で言えば文化庁長官)に就任した。

初版:1998
最新版:2003/2/28


■ イ・チャンドン監督インタビュー

 『ペパーミント・キャンディー』に関するイ・チャンドン監督インタビューはこちら

資料提供:アップリンク

■ イ・チャンドン(監督)&ムン・ソリ(女優)インタビュー

 『ペパーミント・キャンディー』に関するイ・チャンドン監督と主演女優ムン・ソリのインタビューはこちら

資料提供:『電影城市』、『フィルム・ゴア』


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