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Review 『マイ・ファーザー』『同い年の家庭教師 レッスン2』『伝説の故郷』『オー!ハッピーデイ』

Text by カツヲうどん
2008/1/20


『マイ・ファーザー』

2007年執筆原稿

 幼い頃に養子としてアメリカ人一家に引き取られて育てられた元韓国人ジェイムズ・パーカー(ダニエル・ヘニー)。韓国に仕事でやって来たことから、生き別れた本当の両親を探そうとする。だが、実父ナムチョル(キム・ヨンチョル)は死刑囚、母も既にこの世の人ではなかった。パーカーは父の無実を信じようとするが、ナムチョルには息子に話せない秘密があった。

 この『マイ・ファーザー』も、ここ2年ばかり韓国映画界で流行中の「実録物」に位置する企画だ。しかし、製作者側はありがちなメロ・ドラマに終始してしまうことを明らかに避けていて、年配客を取り込みつつも一種の謎解きを加味して、しらけた若い層の取り込みを狙った内容になっている。だから韓国映画特有の「わざとらしさ」に嫌悪を感じる人であっても映画は楽しめるし、涙一徹の臭いドラマに偏らないよう、監督ファン・ドンヒョクは制御された語り口で映画を描いていく。それはまだまだ整理仕切れていないが、そこにはソン・ヘソン監督と共通するセンスを感じさせた。お話はひどく韓国的な内容だが、シナリオの作り方であるとか撮影のスタイルなど、極めてハリウッド的であり、そこに韓国映画としてのアンバランスさも感じられる。

 主役ジェイムズ・パーカー演じたダニエル・ヘニーは、CMなどでお馴染みの顔であっても、数年前まで誰もその素性をしらない人物だった。今では固定ファンを抱えた人気者だが、いくら韓国人の血が流れているからといって、韓国語があまり出来ないし演技もうまくない人間が、立て続けに韓国映画に主演してしまうことは、実は観る側にとっても作る側にとっても本当は釈然としないのではないか。これが「多様性へ向けた韓国映画界の変化」として堂々と語れることならまだいいが、「表向きの国際化」、実は「保守への後退化」にも見えなくないのが正直な感想だ。

 それはさておき、ダニエル・ヘニーはかなりがんばった演技をしているので、印象は悪くない。しかしパーカーの役柄が彼のスキルを超えていることは明白だし、監督もまたネイティブのアメリカ人ではないから、パーカーと家族の描き方は感動的というよりも、痛々しく空々しく見え、韓国側の人間模様との落差は映画のリアリズムを削いでいる。

 主演俳優が抱えたスキル不足の問題をサポートすべく、この映画に割り当てられた実力派がキム・ヨンチョルとキム・イングォンの二人なのだろう。キム・ヨンチョルは一生を他人に踏みつけられて生きてきた男の姿を好演しているが、役作りが行き過ぎて周辺の俳優たちとの違和感もかなりある。だが、映画『マイ・ファーザー』が「マイ・ファーザー自身」を描いた物語であることが明確になってくると、彼の存在は非常に意味のあるものになってくる。英語が堪能で、礼儀と親しみとユーモアをいつも忘れない韓国人青年ヨソプ役のキム・イングォンは、今の韓国で求められている理想の青年像なのかもしれず、兵役の匂いが抜けきらないキム・イングォンにとっても、なかなか似合う役だ。しかし彼の資質を思えばもっと活躍してもよかったのでは、という残念感もある。

 この作品で一番気になったのは撮影レベルの低さだ。ギラギラのベタ照明にカメラも安定感がなく、構図のとり方も上手くない。そういえば美術も凡庸以下で素人臭い仕上がりだ。これらは監督の問題なのか、スタッフの問題なのかは推測するしかないが、本作が妙に安っぽく共感できなかった一番の理由は、そうした映像的貧困さにあったのかもしれない。


『同い年の家庭教師 レッスン2』

2007年執筆原稿

 憧れのオッパ(ヤン・ジヌ)を追って、キタノ・ジュンコ(イ・チョンア)は念願の韓国留学を始める。受け入れ先の下宿が気に入らないジュンコだったが、経営が苦しい主人ホ・ハリョン(イ・ヨンハ)は彼女を引き止めるために、勝手に息子のジョンマン(パク・キウン)の部屋を貸してしまう。同じ大学に通う二人にジョンマンの友人たちが加わって、ジュンコの波乱にとんだ韓国生活が始まった。

 この作品はタイトルこそ『同い年の家庭教師』の第2弾になっていますが、200%関係ない全く別のお話。前作が韓国コメディの未来を占う指標であったとすれば、こちらはもっと社会派ともいえる内容であり、コメディではありますが、非常にしっかりした人間ドラマになっていることに是非注目してほしい作品です。個人的には2007年度公開韓国映画BEST10に是非入れたいくらい感心したコメディでした。

 私は当初、この映画を馬鹿にしていて、あまり乗り気で見る気持ちがなかったのですが、開けてびっくり。真面目な演出姿勢に、よく考えられたシナリオ。バランスのとれたドラマと、とても良質の作品に仕上がっていて驚いてしまいました。この映画では日本人が主人公の一人として活躍し、韓国で暮らす外国人たちの姿が取り上げられていることが、まず重要だといえます。かつて『英語完全征服』が、韓国で英語を教えながら生活する、英語圏の外国人たちを描いたことがありますが、その他外国、そして日本人留学生と韓国人の交流を正面から描いた作品としては、本作がおそらく初めてでしょう。もちろん、ここで描かれる日本人像はおかしなものかもしれません。何をしゃべっているのか全くわからない日本語に、偏見丸出しに見えかねないヒロインのルックス。ヒロインが在日であるなど、韓国嫌いからみれば国辱的にすら感じられるかもしれません。でも、ここで少し考えてほしいのは、今の韓国で一般の人にわかりやすい現代日本人のイメージ、日本のイメージとは何であり、なにゆえ在日でなければならなかったのか、ということであって、それらの違和を感じるだろう部分は、決して偏見というよりも、韓国のマーケットを考慮した上での譲歩だったように思えるのです。

 もし、同じような作品を日本で作ったならば、やはり同じような状況になったでしょうし、逆にここまで本質的なリアリティを感じさせる両国のキャラクター造詣は、残念ながらまだ無理かもしれません。キタノ・ジュンコは祖母が韓国人であり、留学先も語学研修ではなくて美術科です。つまり、ぎりぎり韓国一般における主人公設定ルールに受け入れられる設定であって、この際どさは製作者側の計算であり、これが日本には全く関心がなく、韓国国内のことしか思考が回らない古いクリエイターだったならば、それこそ良くも悪くもつまらないステレオ・タイプの日本人像にしかなり得ず、こういった巧妙な設定もまた不可能だったのではないでしょうか。

 映画の笑いは決してドタバタばかりではなく、一発ギャグに頼ったものばかりでもなく、コテコテのコメディやドロドロのメロを期待してはいけませんが、その代わり、韓国人の視点から描いた、韓国人の欠点であるとか美徳といったものが、外国人たちとの接点を通して描かれていきます。それはよくある自虐的な自己批判であるとか、万歳主義的なナショナリズムなどではなくて、きちんと若い世代から観た理知的な視点になっているところが、今までのこの手の作品と根本的に異なっているのです。

 俳優陣も皆、予想外の好演です。下宿の主人演じたイ・ヨンハは、この作品の真のテーマともいえそうな「韓国人の美徳」を体現した、本当に魅力的なおじさんを演じていますし、息子ジョンマンの友人たちも、そしてジョンマン自身も、韓国人が知らない間に陥る「悪意なき悪意」を持った幼く至らない若者としてきちんと描かれます。でも、いざとなったら男らしく頼もしくもあって、それを嫌味なくさらりと描いていたことにも、とても好感が持てました。私は本来、こういったワンパターンな韓国人男性像は嫌いなのですが、この作品ではとても自然であって、まったく気になりませんでした。

 ヒロイン、ジュンコのキャラに一番問題があったのかもしれませんが、イ・チョンアは今までとは全く異なるキャラ作りに成功していて、これはこれで評価するべきでしょう。しかし、本作で最大の驚きだったのは、ジョンマン演じたパク・キウンです。彼はCMのダンスで注目された程度であり、ほとんどノーマークの新人ですが、バタ臭いルックスとは全く違う、非常にしっかりした演技センスを持っていて驚きです。そこには浮ついたものが一切なくて、地に足が着いた確実な演技をみせます。彼はルックスその他の要素で、アイドルとして片付けられてしまう危険性がありますが、これだけ正統派としての素養を見せたわけですから、これからは、きちんと企画を選んでよい出会いがあれば、とても伸びそうな注目株です。

 映画で彼は最後の最後まで日本語をしゃべりません。それゆえ、初めて口に出す日本語が非常に感動的です。ですからエピローグにおける日本でのドタバタは余計、といったところで残念でした。でも、このオチもまた微笑ましく前向きであり、これはこれでO.K.としましょう。

 この『同い年の家庭教師 レッスン2』を多くの日本人は決して好意的には受け入れないかもしれないし、韓国留学経験のある人は、得意になって批判を繰り広げるかもしれません。しかし、うわべのトンチンカンさに惑わされないで、この映画が根底に持つ誠実さと冷静さを観て欲しいと思うし、韓国人の一視点として感じ取ってもらえればと願っています。


『伝説の故郷』

2007年執筆原稿

 李氏朝鮮時代を舞台に、呪われた運命に翻弄される双子姉妹とその母親の葛藤を描く、時代劇ホラー。

 本作の監督、キム・ジファンは韓国ではホラー映画の評論家として活動している人。そんな訳で忠武路スズメたちの間では、この作品をそのことに引っ掛けて論評していたりするのを見かけますが、それは一種のやっかみ。評論と現場が全く異なるのは業界人なら常識であり、それをあげつらうのも失礼な話です。それに映画評論から出発して堂々たる映画監督の地位を占めた人も何人もいますから、あとは個人の資質の問題でしょう。

 『伝説の故郷』は2006年度後半のラインナップに既に入っていた作品でしたが、ずれにずれて陽の目を観たのはだいぶ経ってから。それもそのはず、ノースターであることはいいとしても、とにかく退屈で全く怖くない作品です。

 お話は韓国ホラー『箪笥』や『アラン』のベースになったものと基本的には同じです。この話、オリジナルは中国の物らしいのですが、朝鮮半島では各地方で様々な変化を遂げて語られ続けて来ました。基本的には姉妹と母親を巡る因縁のお話であること以外、共通点はありませんが、新しさに欠けていたことも否めず、時代劇ホラーという設定も、お話を狭く退屈なものにしただけでした。

 バックの音楽も『箪笥』そっくり。これって過去の作品に対するリスペクトなのでしょうか? 人々に恐怖を振りまく亡霊も、また貞子。これは参考どころか、パクリそのままであって、韓国ホラーで一番うんざりさせられるところですが、今回も工夫もなにもあったものではありません。でも、高みから粘液を滴らせて襲いかかるその姿は、きっとキム・ジファン監督が『エイリアン』を好きだからなのでしょう。

 この作品で一番優れていたのは、その映像美です。韓国の初夏というものを瑞々しく鮮やかに切り取ってゆきます。ライティングもどこかヨーロッパ映画のようで、とても上品です。また、最初の犠牲者の遺体に、おたまじゃくしがびっしり群れている様子など、監督の映像センスの良さが光っていました。おそらく、キム・ジファン監督もまた、本当ならホラーを撮るべき資質の人ではないと思います。映像的にはところどころ光る作品であって、もっと面白い大人のシナリオだったら、意外と素敵な映画を撮りそうな可能性を感じさせた作品でもあったのです。ホラー映画としては、かなり「?」ですけど…。


『オー!ハッピーデイ』

2003年執筆原稿

 企画的には『猟奇的な彼女』路線を狙ったような「柳の下にドジョウが二匹」的な話だが、主演のチャン・ナラの個性が強力過ぎて、彼女に関心の無い観客にとっては、胃にもたれるコテコテ・豚骨系アイドル映画である。

 物語は徹底して明るく、人間関係の描写も堅実だ。が、ヒジ(チャン・ナラ)の行動がどう考えても異常な上、彼女の個性がそれに輪をかけてしまい、チャン・ナラではない、もう少し年齢が上の女優が演じていたら、明らかにサイコ・ホラー物になりかねなかったような話になっている。

 主人公ヒジを演じたチャン・ナラは、表現力豊かで歌も上手く、パフォーマーとしては優れている事が良く分かるが、劇中、あまりにも全ての行動において演技過剰なため、意図的にやっているのか、暴走しているのか、見極めるのは難しい。だから、女優としての将来性は、この作品ではさっぱり分からない。

 相手役のヒョンジュンを演じたパク・チョンチョルは、あまりにも凡庸で野暮ったいため、チャン・ナラと全くバランスが取れていない。彼がもっと個性的で演技が上手ければ、映画の楽しさも大分変わったものになっていただろう。『猟奇的な彼女』におけるチャ・テヒョンの存在が、いかに大きいものであったかが良くわかると思う。

 他のキャストは皆、チャン・ナラの、とばっちりを喰った感じだ。唯一、キム・スミが、出番は少ないものの豪快な個性を見せ、印象に残る。チャン・ナラに正面から立ち向かい、劣らなかったのは彼女だけだろう。

 この『オー!ハッピーデイ』は、コメディとしては、きちんとまとまっている方だし、出来も良く、愉快で楽しい作品だ。チャン・ナラも、生温いアイドル稼業には甘んじてはおらず、プロの仕事をしている。だが、良くも悪くも、チャン・ナラに寄り過ぎた映画であるため、観客の評価は真っ二つに分かれる作品だ。


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