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アジアフォーカス・福岡映画祭2006 リポート
『私の生涯で最も美しい一週間』

Reported by 井上康子
2006/11/12


コメント

 勝気な精神科医とタフだが女性にはうぶな刑事、アイドル歌手と彼に憧れる見習い修道女、初老の映画館主とオードリー・ヘプバーンの面影をもつ女性・・・ 6組のカップルたちのストーリーを描きつつ、ひとつの物語としてまとめあげたグランドホテル形式の作品。一週間という限定した時間の中で、登場人物を互いに交流させ、クライマックスを迎えるという構成の巧みさや、オム・ジョンファ、ファン・ジョンミン、イム・チャンジョン、キム・スロと主役級の俳優が一堂に会していることでも、韓国での公開時は話題を呼んでいました。

 登場人物が多い分、個々の人物の描写が物足りないと感じる人もいるかもしれませんが、10代から初老の人物までを、さまざまな職業、貧しい人からお金持ちまでの階層で登場させ、カップルたちの関係性もさまざまなら、抱える問題もさまざまで、現在、韓国で生活している人々の愛情関係をうまく代表させて描いています。見ている人も自分の抱えている問題によって、いつのまにか登場人物の誰かに感情移入しながら見てしまうのではないでしょうか。


『私の生涯で最も美しい一週間』

 私が一番興味を持った人物は、チョン・ホジン演じる芸能プロダクションを経営して成功し、息子と豪邸に住んでいながら、圧倒的な孤独感を抱えているチョ社長。彼の孤独感が何によるものかを、作品では後半でさりげなく表現しています。監督は、ティーチ・インで、「タブー視されたり、抑圧されたりしていて、閉じられた中で何らかの欲望がうずまいているようなものに対して興味が強い」と言っていました。長編デビュー作の『少女たちの遺言』もそうでしたが、チョ社長を見ていると、抑圧せざるを得ない人間の苦しみや孤独のひりひりした感覚が伝わってくるようなところもさすがと感じさせられた作品でした。


ティーチ・イン

ゲスト:ミン・ギュドン監督
2006年9月17日 西鉄ホール
司会:八尋義幸
通訳:根本理恵

Q: こういうグランドホテル形式の作品を撮ろうとされたのはどうしてですか?
A: ひとつの物語の中にいろいろな話が盛り込まれているグランドホテル形式で撮りたいと思ったのは、2000年に『マグノリア』を見たことがきっかけです。私もいつかこういう作品を撮りたいと思うようになりました。

Q: 地下鉄のホームで、チャンフは、線路に落ちたソンウォンを助けた後で、轢かれたと思ったのに、その後、元気で登場していましたし、ナ刑事も、交通事故に遭って、これは重症だと思っていたら、その直後に元気で登場していたので、アレ?と思いましたが。
A: すごく鋭い質問ですね。前者は私が意図的にそういう演出をしました。彼はあの時、気が弱くなっていて、このまま死んでしまおうかという衝動に駆られながら、妻の名を呼びました。その後、彼がどういう選択をしたのかをみなさんに考えていただきたくて、彼が線路上から脱出するといったシーンはあえて入れませんでした。後者はちょっと手違いがありました。この作品は出演する俳優さんの人数が多くて、スケジュールの調整がたいへんで、映画の最初から順番に撮るという撮り方はできなくて、ご指摘のシーンですが、ナ刑事が元気で登場するシーンを先に、事故のシーンを後で撮ったんですが、事故の規模をどの位にするか決めていなかったんですね。ただ、ナ刑事は1988年のソウル・オリンピックの柔道の選手で、特別採用で刑事になったといういきさつがあったんで、まあ、かなり強いということではちょっと納得しています(笑)。

司会: 「ランボーとコマンドーとどっちが強い?」と尋ねる刑事だから、その位強くても納得できるかもしれませんね(笑)。

Q: 芸能プロのチョ社長は同性愛の人物なのですか?
A: 私のデビュー作は『少女たちの遺言』で、二人の女子高生が愛し合って心の痛みを感じるというような内容だったんですが、ご指摘のようにチョ社長も同性愛ということで描いています。同性愛というのは、いまだにタブー視されたり、抑圧されたりしていて、限られた中で何らかの欲望がうずまいているような気がしまして、私はそういうものに対して興味が強いんですね。それで、この作品でも取り上げてみました。


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