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福岡アジア映画祭2005 リポート
『風の伝説』

Reported by 井上康子
2005/9/7



『風の伝説』 2004年 英題:Dance with the Wind
 監督:パク・チョンウ ※ 本作が監督デビュー作だが、『ラスト・プレゼント』『ジェイル・ブレーカー』など数々のヒット作の脚本を手がけた実績を持つ脚本家でもある。
 主演:イ・ソンジェ(パク・プンシク)、パク・ソルミ(ソン・ヨヌァ刑事)、キム・スロ(マンス)


ストーリー

 生きがいのない毎日を過ごしているプンシクは、ある日、屋台で、高校の同級生で社交ダンスを教えているというマンスに再会する。彼の勧めでダンスを始めたプンシクはダンスの魅力にすっかりはまり、自らもマンスのダンス教室で教えるまでになる。ダンスが彼に風を呼び起こし、活力を得た彼は充実した時間を過ごして行く。そんな時に、実はマンスがダンス教室を舞台に、教室に通う有閑マダムたちにお金を貢がせる詐欺師のジゴロだったことが発覚して大騒動になってしまい、プンシクはダンスをする場も失ってしまう。

 一時は意気消沈したものの、真のダンサーになることを決意したプンシクは修行の旅に出、真のダンサーへと成長して戻ってくる。そして、ある日、ダンスのパートナーの裕福な女性に、ふと自分の窮状を伝えたところ、思いがけない大金を渡され、彼は受け取ってしまう。さて、警察署では、ダンスにはまった所長の夫人が詐欺師に大金を貢がされたという事件の捜査のために、犯人とめぼしをつけたプンシクのもとへ、刑事のヨヌァを潜入させる。そして、プンシクに接近したヨヌァは…。


コメント

 詐欺師まがいの行為をしながらも、純真さを保つプンシクをイ・ソンジェが好演。イ・ソンジェの持つ清潔感が、観客がプンシクに好感を抱くよう、うまく働いています。キム・スロ演じるお調子者の詐欺師マンスとのキャラクターの対比も鮮やかで、二人のやりとりは本当に楽しめます。ちなみに福岡での上映時は、キム・スロが初めて画面に登場した瞬間、それだけで客席の一部で爆笑が起き、笑わせてくれるキム・スロへの期待の高さが実感できました。

 この作品で映画デビューを果たしたパク・ソルミは、警察署の中で、ただ一人、プンシクの純粋さを信じる刑事のヨヌァを熱演していて、彼を守ろうとするけなげな姿は印象に残ります。

 韓国語では、女性にお金を貢がせる男のことを「ツバメ(韓国語でチェビ)」と言います。福岡アジア映画祭では字幕もすべて実行委員会で作っているそうで、本作の原語のせりふで何度も出てくる「チェビ」も、話し合いの結果「ジゴロ」と訳すことに決めたそうです。ただ、そのため、キム・スロ演じるマンスがイ・ソンジェ演じるプンシクに対して「お前がツバメじゃないなら、カモメか? カラスか?」と鳥の名前を列挙してからかうせりふは、意味が通じなくなるので字幕上は省略せざるを得なかったという字幕制作上の苦労話も実行委員長の前田さんから披露されました。


ティーチ・イン

ゲスト:パク・チョンウ監督
2005年7月9日 NTT夢天神ホールにて

Q: 日本映画の『Shall We ダンス?』は意識されたのでしょうか?
A: この作品を映画化しようと思った時にちょうど日本映画の『Shall We ダンス?』の公開と重なってしまいました。それで、何年か待ったのですが、今度は米国でリメイクされるというのを聞いて、急いで撮りました(笑)。それで、ダンスの練習が2〜3ヶ月しかできませんでした。

Q: イ・ソンジェさんのダンスがあまりうまくなかったので、急いで短期間で撮ったというのは納得しました(笑)。イ・ソンジェさんはあまり運動が得意な方じゃないと聞いていますが、どうして、彼をこのダンスの映画に主演させたのですか?
A: 彼とは、私が脚本を書いている時から仲が良くて、監督デビューする時は主演してもらう約束になっていました。彼にとっては運悪くダンスの映画になってしまって、体がついていかなくて苦労しました。私は「ダンス、あんまりできなくても良いよ」とフォローしていました。

Q: 香港の夜景をバックに踊るという幻想的な場面は良かったですが、あそこで上がっていた花火は、この作品の予算で打ち上げたものだったのですか?
A: 香港は旧正月に花火を打ち上げるのがわかっていたので、事前に入念にリハーサルして、1〜2分の打ち上げの時間に合わせて撮影しました。「C.G.でしょう」と言われると悔しいです。

Q: パク・ソルミさんのファンですが、彼女を起用した理由を教えてください。
A: 他にも候補者がいて、私は誰を起用するか迷っていたのですが、彼女はシナリオを気に入ってくれて、毎日「この役をやらせてください」と来てくれて、熱心でかわいい人だなあと思って起用しました。

Q: キム・スロさんもどうして起用したのか教えてください。
A: 私は人間関係でキャスティングを決めているようで、私が脚本を書いた作品に出演してくれて仲良くなり、私の監督デビュー作には出演してもらうということになっていました。この作品の脚本を書いている時から、この役は彼しかいないと思っていましたが、本当に彼にぴったりの役で、うれしく起用できました。

Q: プンシクがダンスの修行をした時のダンスの師匠が、日本で修行をしたという設定であることと、時々「バカヤロー」言うのが、印象に残っていますが?
A: 社交ダンスは日本の方が進んでいて、日本から来た文化だそうです。この作品のダンス監督も日本で勉強した人です。ダンスの師匠には作品中、日本語で何度も「バカヤロー」と言わせていますが、私が個人的に好きな日本語なので入れました。


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