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福岡アジア映画祭2005 リポート
『最後のオオカミ』

Reported by 井上康子
2005/9/7



『最後のオオカミ』 2004年 英題:The Wolf Returns
 監督・脚本:ク・ジャホン ※ 本作が監督デビュー作
 主演:ヤン・ドングン(チェ・チョルクォン刑事)、ファン・ジョンミン(コ・ジョンシク巡査)


ストーリー

 チェ・チョルクォン刑事は大都会ソウルの街中で、犯罪捜査の最前線にいる。あまりに多忙で、無感覚になっていて、食事のおにぎりを、殺人死体のそばで平気で食べるほどだ。ある日、彼は犯人を追跡中にたまたま乗った古いビルのエレベーターに閉じ込められてしまうが、疲れきっていた彼にとっては、閉じ込められていた数日は久々に訪れた休息の時間でもあった。そのエレベーターの中には江原道の自然豊かなムウィ村の写真が張ってあり、都会での多忙な生活に疲れていた彼は、そこへの転属を願う。

 そして、やって来たムウィ村は彼の期待通り、何の事件も起きない平和な農村だった。実直な部下のコ・ジョンシク巡査は何もすることがなく、怪力を発揮して、牛代わりに農作業を手伝っていた。しかし、合理化の波が押し寄せ、犯罪が少ない地域の警察署は閉鎖するとの通達が届く。やっと手に入れたのどかな生活を失いたくないチェ刑事は、それなら自ら事件が起きる様に仕向けようと画策を始めるのだったが、事の成り行きは次第に彼の思惑を外れていくのだった…


コメント

 『受取人不明』や『風のファイター』で硬派なイメージのあるヤン・ドングンと、『浮気な家族』や『甘い人生』で癖のある役をこなして来たファン・ジョンミンがコミカルな演技に挑戦しています。

 ヤン・ドングンは全般的にどこかヤケクソで演技をしているように見えて、残念ながら、ちょっと笑えませんでした。例えば、自ら事件を起こそうとしたチェ刑事は手始めに水飲み場に薬をまいて、病人が出ることを期待するものの、水を飲もうとする女学生たちを見ると、申し訳なくなり、自分がそこに飛び込んで水浴びし、飲めなくするのですが、飛び込んで「気持ち良い」と言っている彼の顔は実は全然笑ってないとか…。ちょっとベタなネタだけど、コメディに挑戦するからには徹底してやってほしかったと思います。

 それにひきかえ、ファン・ジョンミンは江原道方言もマスターして、実に楽しそうにコミカルな演技をしていて、彼が画面に出てくるとホッとして笑えました。『チャーミング・ガール』ではチョンヘが好意を感じる、不器用で人の良さそうな作家志望の青年を好演していたし、『甘い人生』では、粋がっているヤクザの演技で大鐘賞の男優助演賞も獲ったし、ファン・ジョンミンはきっとあらゆる役がこなせる役者なのだと確信しました。

 ムウィ村は架空の名前だそうですが、江原道に実在する村だそうで、作品中の渓谷や川の美しさ、素人っぽい演技の俳優たちが演じる村人達の純朴さが、この作品の魅力になっています。


ティーチ・イン

ゲスト:ク・ジャホン監督
2005年7月8日 NTT夢天神ホールにて

Q: 主演のヤン・ドングンさんとファン・ジョンミンさんの二人はコメディをしない人たちと言われていたので、監督はこの作品にキャスティングすることには抵抗があったそうですが、それでも、あえて、この二人を起用したのはどうしてですか?
A: 二人がやりたいって言うので、「どうかな」と心配したのですが、やってもらいました。ファン・ジョンミンさんはこの作品の後もコメディ作品に起用されて良い評価を受けています。

Q: チェ刑事が、事件が起きる様に仕向けたことで、本当に村に窃盗団が来て、彼が撃たれんとしたその時に、以前彼が助けたオオカミ達が身代わりに撃たれて彼を守りましたが、オオカミの誇り高さが表れていて印象に残る場面でした。最後に撃たれたオオカミがタイトルになっている『最後のオオカミ』だと思いましたが、作品全体の中でどういう意味があったのでしょうか?
A: 実はオオカミについてはあんまり真剣に考えないで頂きたいのです。この作品の中にはふたつのナンセンスを含めています。ひとつがオオカミはすでに絶滅しているのに登場させていることで、もうひとつは江原道には高句麗の遺物はないのですが、高句麗の遺物を発見させたこと(作品では、チェ刑事が山中で高句麗の遺物とは知らずに耳飾りを拾い、コ巡査に「恋人にやれ」と渡すが後で高句麗の遺物とわかって大騒ぎになる)です。


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