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春香伝


題名
英題
原題
ハングル
春香伝
Chunhyang
春香傳
춘향뎐
製作年 2000
時間 136(韓国公開版)
120(日本公開版)
製作
提供
泰興映画
未来アセット・キャピタル
監督 イム・グォンテク
出演 イ・ヒョジョン
チョ・スンウ
キム・ソンニョ
イ・ジョンホン
イ・ヘウン
キム・ハギョン
日本版
Video
DVD
字幕版Video
DVD

 古典の名作ラブ・ストーリー『春香伝』を巨匠イム・グォンテクが映画化。『春香伝』は、身分制度を超えた愛を扱っているという意味で「韓国の『ロミオとジュリエット』」とも言える作品で、韓国では中等教育以上を受けている人なら知らない者はいないと言われているほど有名。映画化・テレビドラマ化もこれまで何度となく行われているため、「誰でも知っている」「過去の作品と比較されやすい」という意味で最も映画化しにくい作品とも言われている。『春香伝』の映画化は今回で14回目となるが、既存の作品は小説『春香伝』をもとに製作されていた。それに対し今回の作品は、国唱人間文化財でもある名唱チョ・サンヒョンのパンソリ『春香歌』が土台となっている点が決定的に異なる(元々『春香伝』はパンソリによる口伝説話だった)。『春香伝』のミュージック・ビデオ+ミュージカルといった趣で、チョ・サンヒョンのパンソリに合せて話が進行し、俳優の動きも編集もパンソリのリズムを乗って流れる。監督の弁によれば「『風の丘を越えて〜西便制』を準備中、チョ・サンヒョンのパンソリを聞いて大感激し、いつかパンソリを素材とした『春香伝』を製作しようと考えていた」とのこと。

 李氏朝鮮時代、南原(地名)の長官の息子イ・モンニョン(李夢龍,チョ・スンウ)は、ある日、美しい娘ソン・チュニャン(成春香,イ・ヒョジョン)と出会い、二人は恋に落ちる。チュニャンは退妓ウォルメ(月梅,キム・ソンニョ)の娘だったのだが、二人の愛は身分の違いも突き崩し、二人は結婚を許される。しかし、モンニョンの父が都に移ることになり、モンニョンは科挙に合格してチュニャンを迎えに来ると約束して南原を去る。ところが、モンニョンの父と入れ替わりに赴任してきた新長官ピョン(卞)学徒(イ・ジョンホン)は酒と女を好む暴君。チュニャンが絶世の美女と聞いたピョンは彼女を我が物にしようとするのだった。

 主役のチュニャンとモンニョン役は新人俳優を公募し、2,037名の応募者の中から現役高校生のイ・ヒョジョンと壇国大学演劇映画学科に在学中のチョ・スンウを選抜。2人の写実的でエロティックなベッドシーンが話題となったが、青少年保護委員会が、イ・ヒョジョン(16)が未成年でありながらベッドシーンを演技したのは青少年保護法違反にあたるのではとクレームを付ける一幕もあった。チュニャンの小間使いヒャンダン(香丹)は『コルセット』のイ・ヘウンが、モンニョンの部下パンジャ(房子)はキム・ハギョンが演じる。

 製作者は泰興映画のイ・テウォン、撮影はチョン・イルソン、そして4時間35分の「パンソリ完唱春香歌」を2時間あまりのシナリオに脚色したのはキム・ミョンゴン。監督のイム・グォンテクを含めると『風の丘を越えて〜西便制』の黄金カルテット揃い踏み作品で、『風の丘を越えて〜西便制』ファンの方は必見。

 韓国語の題名が「チュニャンデョン」となっているが、「伝」を表す「デョン」は「ジョン」の古い(元々の)発音。そこで原題の漢字は「春香傳」と表記している。撮影に6ヶ月かけ、撮影回数115回、衣装12,000着、エキストラ5,000人など数々の記録を樹立。30億ウォン余りの製作費を投入し、綿密に時代考証されたセットや衣装、伝統料理なども見所。美術他を担当したのはMBC美術センター。メーキング・フィルム形式の劇場予告編が話題になった。

 岩波文庫から『春香伝』が発売されている。

 第53回(2000)カンヌ国際映画祭コンペ部門進出作品。カンヌ映画祭のコンペ部門に進出した最初の韓国映画となった。なお、カンヌでは国内版から16分程度短縮したバージョンで上映された。2000年ブリュッセル国際映画祭オープニング作品。第10回アジアフォーカス・福岡映画祭2000オープニング作品。第25回(2000)トロント国際映画祭「巨匠の映画」部門、2000年米国テリュライド映画祭、第38回(2000)ニューヨーク映画祭、2000年エジンバラ国際映画祭、第5回(2000)釜山国際映画祭韓国映画パノラマ部門・特別企画プログラム「永遠なる古典の香り:春香伝特別展」、第30回(2001)ロッテルダム国際映画祭、第36回(2000)シカゴ国際映画祭コンペ部門、第25回(2001)香港国際映画祭、2001年シンガポール国際映画祭、第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」、第7回(2002)ロシア国際愛映画祭コンペ部門出品作品。釜山国際映画祭では、最優秀韓国映画に与えられるアジア映画振興機構賞(NETPAC Award)を受賞。また、第20回(2000)ハワイ国際映画祭では映画部門の最優秀作品賞を受賞し、第14回(2000)アジア太平洋映画祭審査委員特別賞も受賞。

 アジアフォーカスで日本初上映されたバージョン、並びに日本公開版は、カンヌで上映されたものと同じ短縮版。

 2000年映像物等級委員会選定「今年の良い映像物」。第37回(2000)大鐘賞審査委員特別賞・美術賞(ミン・オノク)、第36回(2000)百想芸術大賞大賞(イム・グォンテク)・監督賞(イム・グォンテク)、第20回(2000)映画評論家協会賞撮影賞(チョン・イルソン)、第8回(2000)春史映画芸術賞企画賞(イ・テウォン)・女優助演賞(キム・ソンニョ)・撮影賞(チョン・イルソン)・照明賞(イ・ミンブ)受賞作品。

初版:2000/1
最新版:2001/7/3



投稿者:ムクゲとヒマワリさん 投稿日:2000年9月18日(月)14時20分12秒

 私はアジアフォーカス福岡映画祭で観ましたが、私が観た日は日曜日で人の出入りも多く、この日はすぐ満席になりました。

 この作品では古典の『春香伝』を原作にしてあるだけあってかなりパンソリによる語りが多かったです。しかし、この映画はすごく堅苦しくないので、十分どころかすごく気楽に観られるのがいいです。春香の家の周りの様子や、人々の動きが『春香伝』のパンソリ通りだったのにはびっくりしました。本当に林権澤監督の作品は、格調高い雰囲気を持ちながら大衆に親しまれやすいから不思議ですよね。

 ところで、この映画のモンニョンはかいかにも知的な韓国の貴公子って感じだったけど、別の角度から見るとムッツリスケベに見えたのは私だけでしょうか? 特に最初の春香を見初めるシーンの時が特にそう見えたんですけど。

【評価:★★★★】


【ソチョンの鑑賞ノート】

 第10回アジアフォーカス・福岡映画祭2000で日本語字幕付を鑑賞。

 会場に着くと既に立ち見の満席。立ってまで見るのは疲れるので、さわりの部分だけちょっと見てすぐ出ようと思っていたら、引き込まれて最後まで見てしまいました。

 それにしても、久しぶりに映画を見ていて魂が震えました。

 美しいんです。韓国語が。
 美しいんです。パンソリ『春香歌』に使われている漢字が。
 そして、美しいんです。字幕の日本語が。

 これまで『春香伝』の映画や関連書籍はいくつも見たり読んだりしてきましたが、今までは『春香伝』の本当の良さの半分も理解していなかったと断言できます。美しい韻をふんだ詩や歌、そして漢字の持つ付加的な意味。『春香伝』が文学的にいかにすぐれているかを音で、そして映像で見せてくれます。小説では解説されないと理解しづらいような個所、例えば、モンニョンとチュニャンが愛し合っている場面で流れる歌の中に「さくらんぼ(だったかな?)」という単語が出てきますが、これが何を意味するのかは映像を見れば一目瞭然(もちろん乳首のことです)。

 漢字圏に生まれたことをこれほど幸せと思わせてくれる映画もないでしょう。あの詩や歌の持つ本当の意味を漢字を使わずに表現するのは不可能。この映画の素晴らしさは日本・韓国・中国など漢字圏でのみ真に理解され得る作品でしょう。気になるのは、日常生活で漢字を使わなくなった現代韓国人が「音」だけ聞いて漢字を思い浮かべることができるか?ということ。ソウルで韓国国内公開版をご覧になった方にうかがったところ、韓国公開時、この映画には漢字字幕がついていて、一緒に見に行った中国人留学生が大喜びしたとのこと。さもありなん。それほどまでに韓国では漢字が使われなくなっていますから。

 韓国内では新人俳優の演技に難ありといった評もありましたが、そんなことは全然問題になりません。というより、この映画の主人公はパンソリですから、著名な俳優が出演して自己主張するより、若々しくぎこちない演技をする新人俳優のほうが適任です。

 歌と映像の見事なまでの融合。ミュージカル映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と並んで2001年の正月映画、イチオシです。

2000年12月2日執筆



投稿者:SUM さん 投稿日:2000年12月18日(月)00時23分38秒

 美しくて、深い。

【評価:★★★★】


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