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秘花 〜スジョンの愛〜


題名
英題

原題
ハングル
秘花 〜スジョンの愛〜
Virgin Stripped Bare by Her Bachelors
Oh! Soojung
オー! スジョン
오! 수정
製作年 2000
時間 126
製作
共同製作
提供
配給
ミラシン・コリア
ユニコリア文芸投資
ドリーム・ベンチャー・キャピタル
ブエナ・ビスタ・インターナショナル・コリア
監督 ホン・サンス
出演 チョン・ボソク
イ・ウンジュ
ムン・ソングン
イ・ファンイ
キム・ヨンデ
パク・ミヒョン
チェ・ヨンビョン
パク・クンピョ
チェ・ビョンス
チョン・チョン
チョ・ウォニ
チョン・ホブン
チョ・リョン
ソン・ミジョン
ク・ギョンウン
イ・エウォン
イ・エリン
日本版
Video
DVD
DVD

 バージンの女性がある男性と出会い、愛し合うようになり、初めての夜を過ごすまでになる過程を男女二人の視点と記憶を通じて描く五部構成の作品。第一部「一日中待つ」と第二部「ひょっとして偶然」は男性ジェフンの記憶を、第三部「ぶら下がったケーブルカー」と第四部「ひょっとして意図」は女性スジョンの記憶を元に描かれ、第五部「相手さえ見つかれば万事オーケー」が完結編になっている。恋が実るまでの過程を通して、人間の偽善性や男性像・女性像が描かれている。

 婚期を逃したキム・ジェフン(チョン・ボソク)は、美大を卒業して画廊を経営する30代中盤の男性だが、運命の女性と出会うまでは結婚をするまいと考えている純粋な人物。20代半ばで未だ処女のヤン・スジョン(イ・ウンジュ)はケーブルテレビの構成作家。彼女は同僚で密かに好意を寄せている妻子持ちのプロデューサー、クォン・ヨンス(ムン・ソングン)の誘いで彼の後輩ジェフンの個展を見に行く。ジェフンはスジョンとの出会いを運命だと思うが、スジョンは意図的な出会いだと感じる。そして、二人はその後の出来事も全く違った形で記憶していく。人間は自分の記憶を自己中心的に形成するものなのだろうか?

 『虹鱒』カン・スヨンの妹役を演じていたイ・ウンジュが主役のスジョンを演じる。ムン・ソングンは、『豚が井戸に落ちた日』を一目で気に入り、いつかホン・サンス作品へ出演することを監督と約束していたが、本作品でやっとそれが実現した。チョン・ボソクは1989年の『その後も長い間』で映画デビューし、1995年の『灼熱の屋上』まで10本余りの映画に出演している男優で、ドラマ『もう一度逢いたい(原題:会って、また会って)』やSBSの『約束』にも出演している。

 皮肉の利いた台詞の数々が面白い脚本は監督のホン・サンスが担当。登場人物のキャラクターを生かすために白黒映画として製作されたが、従来の御伽噺のように美しいラブ・ストーリーとは一線を画したその映像は、主人公たちの恋愛を盗み撮りしたかのようにリアルなものとなった。ちなみに、韓国映画が白黒フィルムで撮影されるのは1970年の『無作定上京』(キム・ギドク監督)以来30年振り。撮影監督は、長い間キム・ヒョングの撮影助手をつとめ、この映画で撮影監督としてデビューしたチェ・ヨンテク。音楽は『豚が井戸に落ちた日』のオク・キルソンが担当。

 第53回(2000)カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、第25回(2000)トロント国際映画祭「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門、2000年エジンバラ映画祭、2000年ハンブルグ映画祭、ニューヨーク国際映画祭、シカゴ国際映画祭、第44回(2000)ロンドン国際映画祭、第9回(2000)豪州ブリスベーン映画祭、第5回(2000)釜山国際映画祭韓国映画パノラマ部門、第13回(2000)東京国際映画祭コンペティション部門、第19回(2000)バンクーバー国際映画祭、第30回(2001)ロッテルダム国際映画祭、第3回(2001)ブエノスアイレス国際独立映画祭、第21回(2001)Fantasporto国際映画祭「パノラマ&プレミア/世界の映画」部門、第25回(2001)香港国際映画祭、2001年シンガポール国際映画祭、第24回(2001)シアトル国際映画祭「アジアン・ビート」部門招待、第1回(2000)全州国際映画祭オープニング作品。第35回(2000)Karlovy Vary国際映画祭では、ホン・サンス監督特別展が開催され、『秘花 〜スジョンの愛〜』を含む監督3作品が上映された。

 第13回(2000)東京国際映画祭審査員特別賞・アジア映画賞 Special Mention、第14回(2000)アジア太平洋映画祭脚本賞(ホン・サンス)、第1回(2000)釜山映画評論家協会賞最優秀作品賞・脚本賞(ホン・サンス)、第38回(2001)大鐘賞新人女優賞(イ・ウンジュ)受賞作品。

 「辛韓国映画祭2003」上映作品。

初版:2000/5
最新版:2001/4/30


【ソチョンの鑑賞ノート】

 第5回(2000)釜山国際映画祭で英語字幕付を鑑賞後、第13回(2000)東京国際映画祭で日本語字幕付を鑑賞。

 英語の題名 "Virgin Stripped Bare by Her Bachelors" が、まさしくこの映画のすべてを言い表しています。ふとした偶然/作為によって出会う男女。男は女に一目ぼれし、猛アタックをかけるが、彼女はバージンであるため、なかなか体を許そうとはしない。誰もがいつかは経験する童貞 or 処女喪失までの過程をモノクロ画面で丹念に描いた佳作。

 「誰もがいつかは」と書きましたが、当然人によって「喪失」までの過程・経験は違う訳で、劇中の二人の経験と自らの経験がシンクロする観客ほど、この映画で「笑う」ことになります。ちなみに、東京国際映画祭で鑑賞した時、一番うけたのは、ジェフンが行為中にスジョンの名前を他の女性の名前と呼び間違えるというシーン。ははは、皆さん経験がおありなのですね。(^^; ホン・サンス監督の高笑いが聞こえてきそうです。

 この作品に関しては、ほぼ同じ時期に韓国と日本で鑑賞したわけですが、女性観客の反応が対照的でした。韓国の若い女性はこの映画のスジョンに笑う笑う。対して、日本の女性はクスリともしませんでした。日本人は感情を表に出さない・・・という言い古された理由もあるでしょう。しかし、この日韓女性の反応の違いには、「バージン」に対する両国民の意識の違いがあるように感じます。

 韓国人女性と付き合った、または付き合おうとした日本人男性諸氏によれば、「韓国の女の子はなかなかやらせてくれない」とのこと。韓国では、とにかくバージンにこだわります。いや、こだわるそうです。映画の中のスジョンもそうなのですが、Aもオーケー、Bもオーケー、フェラチオもオーケー、でもバージンだけは譲れない。言うまでもなく、(薄れつつあるとはいえ)男性が処女信仰をもっており、処女であることが商品価値を持っているからこそ、女性がこういった行動を取ることになるわけですが、実の兄のマスターベーションを手伝っておきながら、バージンにこだわるというのは、日本人女性には理解不能な行動なのかもしれません。従って、スジョンの行動に自らの行動をダブらせることができる韓国人女性は笑い、そうでない日本人女性は笑えないと。

 私は女性ではないし、韓国人の処女観も他人から聞いた話ばかりなので、どこまであたっているか分かりませんが、以上のような推論をしてみました。ただ、韓国では「物理的、肉体的な処女性」が重視されるのに対し、日本では「精神的な処女性」が重視される。つまり、韓国では何はともあれとにかく処女であることが尊ばれ、日本では処女であることよりも精神的な清らかさが尊ばれるというのは、これはまず間違いないだろうと思います。

 いつかは皆経験する童貞 or 処女喪失という普遍的なテーマを扱っていながら、処女性に関する日韓の温度差を感じることができる。これが、この映画の最大の魅力でしょう。

【追記】

 この映画、まったく同じ状況でも、人物・視点が変わると違って見えてくるというのは黒澤明の『羅生門』のようでもありますね。

2000年12月4日執筆


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