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気まぐれな唇


画像提供:ビターズ・エンド(以下、同じ)


題名
英題
 
原題
ハングル
気まぐれな唇
On the occasion of
 remembering the Turning Gate
生活の発見
생활의 발견
製作年 2002
時間 115
製作
提供
 
共同提供
 
 
 
配給
ミラシン・コリア
ユニコリア文芸投資
ドリーム・ベンチャー・キャピタル
MBCプロダクション
シネマ・サービス
エンタスダック
アイビジョン・エンターテイメント
シネマ・サービス
監督 ホン・サンス
出演 キム・サンギョン
チュ・サンミ
イェ・ジウォン
キム・ハッソン
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD

 演劇俳優が一週間の旅行の中で経験する、女性二人との乾いた愛の物語。焼酎とセックスで、男女の本性が露わになる。『豚が井戸に落ちた日』『カンウォンドの恋』『秘花 〜スジョンの愛〜』のホン・サンス監督第四作。『秘花 〜スジョンの愛〜』では「記憶」がテーマだったが、今回のモチーフは「模倣」。

 演劇界ではそれなりに名前を知られた俳優ギョンス(キム・サンギョン)は、知り合いの監督を信じて映画に出演するものの興行的に失敗。約束していた次回作の話もダメになってしまう。やることのなくなったギョンスはソウルを発ち、春川にいる先輩の家に向う。春川では舞踊家でギョンスのファンだという女性ミョンスク(イェ・ジウォン)と出会い、酒に酔った二人は一晩を共にする。ところがミョンスクは先輩が密かに好意を寄せていた女性だった。短い恋を終わらせたギョンスは、故郷である釜山へ向う列車に乗る。そして、車内で大学教授の妻ソニョン(チュ・サンミ)と出会い一目惚れ。今度は慶州の彼女の家を訪れる。

 身長182cmのキム・サンギョンは、1972年6月1日生まれで、中央大学演劇学科卒。舞台を経験したあと、テレビ・ドラマ『Advocate』、『招待』などに出演した男優で、映画は本作が初出演となる(本作の後に大ヒット作『殺人の追憶』に出演し、一躍ブレイク)。『アナーキスト』のイェ・ジウォン(1976年2月6日生まれ、ソウル芸術専門大学放送演芸科卒)がミョンスク役を演じているが、彼女はSBSドラマ『ジュリエットの男』や『女子高時代』などにも出演している。『接続』『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』のチュ・サンミは人妻のソニョン役で出演。

 イェ・ジウォンとチュ・サンミがベッド・シーンを披露するが、フィクス・カメラによるそのシーンは、あたかも眼前で繰り広げられているかのような生々しさ。偶然出会った男女がベッドを共にするわけだが、そのきっかけは酒。そのため、飲酒シーンが非常に多く、ホン・サンスは俳優に本当に酒を飲むことを要求。焼酎が体質に合わないチュ・サンミは他の酒で代用して演技をしたという。

 総製作費は15億〜17億ウォン。シナリオはなく、長めのシノプシス(「トリートメント」と呼ばれるト書き状のもの)があるだけで撮影を開始。撮影現場で即興的に作った台詞を俳優に与え、かつ全体を時間順に順撮りしていったため、俳優はシナリオの空白を自らの想像力で埋め、自然と映画の中の人物になりきっていったという。そして、こういった撮影法が作品に独特のライブ感を生み出している。韓国人の恥部をチクチク付くような笑えないシチュエーションの数々、そしてユーモア感覚あふれる台詞の数々も好評。

 製作はアン・ビョンジュ。脚本は監督のホン・サンスが執筆。撮影はチェ・ヨンテク。照明はチェ・ソッチェ。選曲はウォン・イル。編集はハム・ソンウォン。

 作品を見ればたちどころにその作り手が誰であるか分かるような、そんな強烈な個性をもつ作家主義映画を生み出す若手監督としては、キム・ギドクと双璧をなすホン・サンスだが、この『気まぐれな唇』はこれまでの作品と比べた場合、大幅に大衆性がアップし分かりやすくなっているのが特徴。キム・ギドクは2002年に作家性に加えて大衆性もプラスした『悪い男』を発表し興行的にも大成功をおさめたが、本作もホン監督作品としては過去最高のヒットとなった。

 韓国では、本作の公開と同時に2002年3月22日から4月9日まで、アート・ソンジェ・センターで「生活の発見−再見ホン・サンス」と題されたホン・サンス監督の特別展が開催され、監督の全作品が上映された。

 第55回(2002)カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門から招待されていたが、監督が『カンウォンドの恋』、『秘花 〜スジョンの愛〜』に続いて三回目の同部門への出品は意味がないと判断。招待を断ったという。

 第27回(2002)トロント国際映画祭ナショナル・シネマ・プログラム部門、第40回(2002)ニューヨーク映画祭、第38回(2002)シカゴ映画祭ワールドシネマ部門、第21回(2002)バンクーバー国際映画祭龍虎賞(Dragons and Tigers)部門、第46回(2002)ロンドン映画祭ワールドシネマ部門、第51回(2002)マンハイム−ハイデルベルク国際映画祭コンペ部門、第7回(2002)釜山国際映画祭韓国映画パノマラ部門、第32回(2003)ロッテルダム国際映画祭、第5回(2003)ブエノスアイレス国際独立映画祭、第29回(2003)シアトル国際映画祭"Emerging Masters"部門、第12回(2003)ブリスベーン国際映画祭招待作品。

 日本では「辛韓国映画祭2003」にて『TURNING GATE』という英題でプレミア上映された。

 第47回(2002)アジア太平洋映画祭監督賞(ホン・サンス)、第12回(2003)ブリスベーン国際映画祭国際批評家連盟賞、第10回(2002)春史羅雲奎映画芸術祭女子助演賞(イェ・ジウォン)・男子新人俳優賞(キム・サンギョン)受賞作品。

 日本版公式サイトはこちら

初版:2002/3/25
最新版:2002/10/8



【Review】 Text by 鄭美恵(Dalnara) 2004/1/16

 恋愛は何度しても学習できないもの。でも、連鎖や繰り返し、模倣はある。恋愛中の人も、ひとつの恋が終わった人も、他人事(ひとごと)だと思って見るとおもしろい。

 「そんなこと言う?」と、自分だったら絶対、彼/彼女にそんなこと言わない/しない、というツッコミどころ満載の気になる登場人物たち。

 映画は一週間の恋愛スケッチ。主人公ギョンス(キム・サンギョン)は、旅先でふたりの女性、ミョンスク(イェ・ジウォン)、ソニョン(チュ・サンミ)と恋に落ちる。

 ギョンスは女がみせる執着にちょっとうんざりもしていたのに、自分から惚れた時は女に執着心を見せたりもする。追いかけられ、次には追いかける連鎖反応なのか、そこで恋愛のしかたを無意識に模倣してしまっているのか(男の二面性なのかもしれないけれど)。そんなふうに追いかけたら、うんざりされるって、と思いつつ恋の行方が気になった。

 映画の最初と最後で雨の中を歩いていくギョンスの背中の場面が繰り返され、その背中はなにも変わりがないように見える。間違った相手、惚れるべきでない相手との恋愛について、なにも悟らなかったし学習できなかった背中のようだから。また同じ恋愛を繰り返しそうに見えるから。それもしょうがない・・・ 恋愛は学習できるものではないのだから。

 ギョンスが聞いた「回転門の伝説」は、映画の中でギョンス自身によって模倣されているように思える。可哀相だけれど、伝説よろしく捨てられてひとつの恋が終わるから。

 邦題は『気まぐれな唇』だが、韓国語の原題を直訳すると『生活の発見』となる。英題は"Turning Gate(=回転門)"。

 この映画による「生活の発見」は、恋愛のモティーフには思ったほどオリジナリティがなく模倣があるのでは? ということ。ふたりの女は手紙に同じような言葉を書いて主人公によこす。時間も場所も違うふたりの女の思いが同じで、同じ表現になってしまう普遍性と平凡性。

 映画のようにスペシャルでドラマチックな恋愛の動機は現実にはなさそうだ。もっと普通で平凡だという「生活の発見」。あるいはホン・サンス監督自身が新しい恋の物語創造には限界があると、皮肉っているようにも思える。現実のふつうの人の恋愛はこんな平凡な思いに収束しているって。

 もうひとつの模倣が先輩の映画監督の言葉「人間は怪物になってはいけない」をギョンスが出会った誰彼に言うこと。言える立場ではない(?!)生活態度のギョンスがまるで権威ある者のようにこの言葉を発して笑いを誘う。

 こういった繰り返しや模倣、連鎖からにやりと笑える映画。他人事だと思えればしょうがないね、と笑える他人の恋愛話。

【評価:★★★】



『気まぐれな唇』感想集
プレス・プレゼントより
  • チュ・サンミのファンなので作品は韓国で一度、ビデオで買って2度ほどみました。もちろん劇場にも見に行くつもりです。私の韓国語が未熟なのではっきりした訳がわからないので。作品はチュ・サンミだけあって、いい作品になっています。内容ははっきりとは把握しきれてないですけど、お勧めです。
  • 辛韓国映画祭2003で見ました。なんとも、うだつがあがらない男の物語で、「こういう男ばっかり出てくるんだなー、ホン・サンスの映画って」と思ったものでした。
  • 初めて『TURNING GATE』のタイトルでみた時より2度目の方が楽しめました。キム・サンギョンが『殺人の追憶』とは別人のようで笑っちゃいました。
  • 映画を降ろされたギョンスであるが、僕に言わせれば彼は成功(性交)者だ。2人の美女を抱いたのだから。全体的に、どこまでが台詞で、どこからがアドリブか分からないような映画だった。特にギョンスとソニョンの酔っ払い同士の会話は演技とは思えないほど自然で、ある意味イッちゃってて楽しかった。この映画のテーマの一つは恋愛における「模倣」。二人の女がそれぞれギョンスに宛てたメッセージが酷似してることに人間の「平凡性」を発見し、人間なんて所詮こんなものかとがっかりした。かたやクァク・ジェヨン監督の『ラブストーリー』にも、時代が違う二人の男が同じような言葉を手紙に書いていた場面があったが、こちらの映画では、これが「運命の奇跡」であることを強烈に印象づけていて感動する。このように状況によって観る側のとらえ方が変わることも興味深く感じた。ギョンスが釜山へ向かう列車に乗っているときから最後まで着ていた赤色のTシャツが印象的でした。
  • この映画は私スゴイ好きです。多分面白いなあと思う人とそうでもないという人がわかれると思います。ストーリーとしてこれといった話は無いから書くのは難しいのだと思うけど、観て思ったのは私がみた作品と観る前に見たポスターや宣伝広告文との印象はまったく違ったものだったという事です。そして、『気まぐれな唇』という題名がどうもあまりあっていないような気がしました。『回転門』が一番ぴったりだとは思いますが、やはり『生活の発見』というのが一番好きな題名です。春川であった先輩とのギクシャクした感じや、女性との関係がよく描かれていたと思います。その後、この関係がどこかに出てくるのかと思っていたら出てこず、全く関係ない話になったかと思えばそうでもない関連があるという流れの感じがドキュメンタリーチックでとても面白いとおもいました。この映画はなんか変に人間くさくていいですね。観ている最中より、観た後によさがくる映画だとおもいます。
  • ホン・サンスの映画は、やな奴ばっかりしか出てこない映画。そんな印象を持っていた。そして、見終わった後、いつだってすっきりしないのだ。だけど、いやそれゆえなのか、いつだってもう一度見たくなる。今回の『気まぐれな唇』を見てもその印象は変わらなかったのだけど、やな奴ばっかりというのは、少し訂正してもいいと思った。ここには、身近にいるような人達がいるだけなのだ。スクリーンの中にスクリーンの中にいるべき登場人物を想定していたせいで、(それはいわゆるドラマティックな立場にあったり、恋愛をしたり、経験をしたり、わかりやすく善人と悪人が別れていたりという展開)そのはっきりしない人々にやな奴らという称号を与えてしまっていた。だけど我々は所詮そのはっきりしない人々なのだ。すべての自分の行動に説明がつけられるわけではなく、利己的でありながら、気まずさも感じたり、時には残酷になって、その一方で傷つけられたり。それはある意味、人が他人に知られたくない部分だったり、認めたくない部分だったりするのだけれど、ホン・サンス ワールドにはまり込むと、人間ってそんなものさ、それでもいいのさという気分になり、不完全な人間達をとてもいとおしく感じてしまったりするのである。
  • 全編を通して、監督の人間の怠惰さとかに対する皮肉がこめられてるような作品でした。章分けされているところが『秘花 〜スジョンの愛〜』を思い出させました。ひとによると思いますが、私はこういう結末のボンヤリした、見る人に任せるみたいなのはあまり好きではないです。
  • 『ハッピーエンド』より過激。386世代の凄さ。
  • 来週見に行く予定ですので感想はまだわかりませんが、キム・サンギョンという俳優さんがどんな演技をするのか楽しみです。韓国の俳優は皆、演技が上手ですよね。韓国映画は、最近見始めましたが、とてもおもしろいですね。『ラブストーリー』が特に良かったです。『MUSA−武士−』『ハッピーエンド』も見ています。これからも、たくさん上映されるようなので、とても楽しみにしています。
  • 東京国際映画祭で『殺人の追憶』のキム・サンギョンに一目ぼれです。あの映画で彼が少女の死に泣くとき、私にもその思いが伝わってきて一緒に泣いてしまいました。そんな熱血漢を演じた彼が、この映画ではダメ男を演じているとか……見るのがめちゃくちゃ楽しみです。
  • 韓国版DVDの英語字幕で見ました。どこかの評のように「動物園のサルを見るような」感覚に陥って楽しかったです。先に見た『殺人の追憶』やドラマの中のキム・サンギョンとは違う印象にびっくりしました。でもこのちょっと太めで情けなさが漂う彼も母性本能をくすぐられてとてもいいです。また、元々イェ・ジウォンは好きな女優の一人で、チュ・サンミ共々彼女達の味がよく出た役でこれまたおもしろかったです。いつも思うことですが、韓国の女優はたとえ激しいベッドシーンでも吹き替えなしでこなしてしまうところにびっくりさせられます。二人とも胸が豊満ですよね。

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