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LIES/嘘


題名
英題
原題
ハングル
LIES/嘘
Lies

거짓말
製作年 1999
時間 113(釜山映画祭版)
95(韓国公開版)
108(日本公開版)
製作
提供

製作投資
配給
シンシネ
シンシネ
コリア・ピクチャーズ
未来アセット・キャピタル
韓脈映画
監督 チャン・ソヌ
出演 イ・サンヒョン
キム・テヨン
チョン・ヘジン
チェ・ヒョンジュ
ハン・グァンテク
クォン・ヒョップン
チョン・ヨングム
シン・ミンス
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD

 中年男と女子高生のアブノーマルな恋を通じて、性に対する社会の偏見や抑圧を打ち破ろうとするポルノグラフィー的実験作。チャン・ジョンイル(蒋正一)の小説『私に嘘をついてみて』を映画化。この小説は1996年10月に出版された後、法廷で猥褻文書との判決を受けたため、発売一週間で店頭から撤去されたあげく出版差し止めになった問題作。作者のチャン・ジョンイルは「淫乱猥褻物配布」嫌疑で在宅起訴され有罪判決を受けた(控訴審、上告審も行われたが、映画公開後の2000年10月に最高裁で猥褻物として有罪判決が確定)。監督は『私からあなたへ 』『バッドムービー』など、タブーに挑戦する問題作を次々と生み出すチャン・ソヌ。脚本も彼が手掛けている。

 38歳のJ(イ・サンヒョン)は一時注目を受けた彫刻家だが、今は妻とも別居し何をするでもなく遊んでいる。一方、女子高校生のY(キム・テヨン)は、ロスト・バージンの相手は自分で決めたい女の子。ある日、YはJの彫刻のファンである友人ウリ(チョン・ヘジン)をJに紹介するため電話をするが、Yは彼のやさしい声に魅了されてしまい、思わず「あなたとやりたい」と口走ってしまう。そして、テレフォン・セックスを続けた後、約束をして実際に会った二人はお互いの体を激しく求めあう。やがて、二人のセックスはオーラル・セックス、アナル・セックス、サド・マゾとエスカレート。当初はJ=サド、Y=マゾの関係だったが、それもいつしか逆転。恋によって成熟し美しく成長していくYに対し、幼少時代に専制的な父を持ったJは屈折した自らの精神構造に気付くことになる。

 韓国版『カリギュラ』との噂が立つ程のヘア・ヌードと性器露出が登場しており、国内での上映レイティング審査の行方が注目される中、1999年8月に国内上映のため映像物等級委員会(以前の公倫。1997年に公振協に変わり、1999年6月に映像物等級委員会となった。委員長はキム・スヨン)に申請したが、「等級保留判定」を下され上映不能に。10月に一部修正して再審議を申請したが、ここでも再度「等級保留判定」となり、2ヶ月の等級保留措置を受けたため公開延期となった。最終的には、3回目の審査で当初のバージョンから問題の箇所を15分ほど削除し2000年1月の公開にこぎつけた。ただし、淫乱暴力性助長媒体対策委員会市民協議会が公開に先立って、チャン・ソヌ監督と製作社であるシンシネのシン・チョル氏、そして『LIES/嘘』を上映する全国の映画館主を「淫乱物製作配布容疑」でソウル地検に告発。公開初日には、上映反対グループがテロを行うとの噂が流れ、厳戒体制の中での国内公開となった。話題性抜群で封切り後には順調に観客を動員したが、ソウル地検が「淫乱物」容疑で捜査を始めるや、メイン上映館のソウル劇場などは一週間で上映を打ち切った。映画館での上映が終了した後も捜査は継続されたが、そんなさなかの3月9日に、ビデオを発売したところ、淫乱暴力性助長媒体対策委員会市民協議会が今度はビデオ会社を淫乱物配布嫌疑で検察に告発。一部にビデオ不買運動の動きが出たが、ビデオレンタル順位では(瞬間的に)トップを記録した。猥褻物かどうかで、様々な騒動を引き起こしたこの映画だが、最終的にはソウル地検は無嫌疑の決定を下した。

 韓国国内公開に先立って、1999年の第56回(1999)ヴェネチア映画祭コンペ部門、第24回(1999)トロント国際映画祭、第18回(1999)バンクーバー国際映画祭、第4回(1999)釜山国際映画祭「韓国映画パノラマ」部門、第43回(1999)ロンドン映画祭など著名な国際映画祭で上映された。特に、世界三大映画祭の一つであるヴェネチア映画祭のコンペ部門に韓国映画が進出したのは『シバジ』以来12年ぶりの快挙。ヴェネチアではノーカット版で上映され、その過激な内容に途中席を立つ観客も。プレスでは「芸術か猥褻か?」と話題になった。また、再審中に開催され、ノーカット版が上映された釜山国際映画祭では、『LIES/嘘』の前売券はあっという間に売り切れ、上映会当日はノーカット版を何がなんでも見たいプレスと満席のため入場を断る映画祭スタッフとの間に一悶着が起こり話題となった。そして、公開の目処がたたない1999年冬、国内ではノーカット版の不法コピー・ビデオが出回り問題となった。

 海外には、日本をはじめ、フランス、ドイツなどヨーロッパ7ヶ国の他、メキシコ、ブラジル、台湾、香港などに輸出されている。他に、2000年のブリュッセル映画祭、第2回(2000)ブエノスアイレス独立映画祭、香港国際映画祭、イスタンブール映画祭、ブラジル映画祭、第43回サンフランシスコ映画祭、第7回ロシア・ソーチ映画祭、第5回(2000)モントリオール・ファンタジア国際映画祭、第13回(2000)ヘルシンキ国際映画祭Asia Meets Europe部門、第22回(2000)モスクワ国際映画祭National Hits部門、第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」、第20回(2000)ハワイ国際映画祭などに招待された。東京国際ファンタスティック映画祭2000では『Lies/嘘』という題名で上映。

 主演の男優と女優は新人。1955年、ソウル生まれのイ・サンヒョンは、ベルリン国立造形美術大学(Hdk)彫塑科・同大学院彫塑科を卒業し、現在フランスの J&J DONGUY 画廊に所属している彫刻家。伝説の舞姫「崔承喜(チェ・スンヒ)」を題材にした製作をライフワークとしており、日本では1995年に開催された「日中韓ニューアート/炎のイメージ展」で作品を発表している。また、彼は映画『LIES/嘘』の撮影日記を『映画の中の女を愛した話 嘘』(シゴン社)という書籍で出版している。1976年1月3日、ソウル生まれのキム・テヨンは、仁荷専門大航空運航科を卒業し、1996年にモデルとしてデビューしている。『LIES/嘘』撮影後にはSBSのTV映画『ラブ・ストーリー』ローズ編に出演。

 撮影は『バッドムービー』で16mm撮影を担当したキム・ウヒョン。

 チャン・ジョンイルの原作小説『私に嘘をついてみて』は、『LIES/嘘』(講談社,2001年,訳:大北章二)という邦題で出版されている。なお、この原作は韓国で出版差し止めにあったため版元にも著者の手元にもオリジナルが残っておらず、翻訳は私家版で行われたという。

 日本では、オリジナル・サウンドトラック『タルパランによるイ・パクサ・リミックス』が、Pヴァイン・レコードより発売されている。

 『おとなぴあ』(2001年7月号)の特集「韓国のパワフルアート」では、この映画の主演女優キム・テヨンが韓国の現代アートシーンを代表する三人、チェ・ジョンファ、イ・サンヒョン、キム・ヒョンテと出会う、という企画記事が掲載されている。特にイ・サンヒョンは『LIES/嘘』での共演によりキム・テヨンを本当に愛するようになったというが、取材を通して二人の再会が実現したのが興味深い。

初版:2000/1
最新版:2001/11/12


【ソチョンの鑑賞ノート】

 韓国で公開されたときは、エログロ・サドマゾの変な映画という評価があったように記憶しているのですが、大変面白かったです。それぞれの「愛」とでもいいましょうか。この映画はサドマゾまで行くから意味がある映画です。本能的で究極な「愛」。誰でもこういう風になる可能性はあると思います。実際には理性が邪魔して行動にまで移す人は少数派ですが。

 韓国の映画館でご覧になった方から、「SMのシーンでは嘲笑という感じの笑いが起こった」と聞きましたが、これってテレ笑いなのかな? どうも韓国では異質なる物に対する排他的な行動がめだって(それは『バッドムービー』でも同じ事がいえると思うのですが)よくないです。SMなんて大なり小なり皆その気はあるのであって、例えば今日も「汗疹を掻くと後で酷くなるから、掻いちゃいけない、でも痒いから掻いちゃえっ!」とぼりぼり引っかいて、爛れてしまって後で後悔してたりするんですが、そんな私は、角材でSMやった後に風呂場で傷を洗って治療している『LIES/嘘』の主人公2人の気持ちはよく分かります。

 社会的少数派や弱者に対する温かい視線というのはチャン・ソヌ作品の一貫して変わらぬ視点で大好きなんですが、その点は音楽の使い方にも通じるものがあって、チャン・ソヌから直接聞いた話では「忘れ去られてしまった音楽や、社会的にあまり認められていない音楽を積極的に使っている」とか。『つぼみ』は前者に、『LIES/嘘』のポンチャックは後者に該当するという訳です。

 『LIES/嘘』のエンディングに流れるポンチャックは一時日本でも活動していたイ・バクサ(李博士)の声をサンプリングして音楽担当のダルパランがリミックスしたものです(ダルパランはカン・ギヨンという名前で『バッドムービー』の音楽も担当)。2000年の春先、つまり『LIES/嘘』公開後から韓国ではイ・バクサが再評価されているのですが、監督曰く「韓国で100万人以上の人が『LIES/嘘』を見た。公開前に出回った海賊版の違法ビデオで見た人の数も含めると更に多くの人が彼のポンチャックを聞いているから、映画の影響はあるんじゃないか?」とのこと。映画の影響でポンチャックが認められるなんて面白いですね。

2000年9月1日執筆


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