九老アリラン

豆知識

　1990年にアメリカへ留学し、ハリウッドのエレガンス・アカデミーでメーキャップを専攻し、1992年帰国。韓国映画界に復帰した後は、特殊メークの担当者として活躍。『帰天図』，『actress アクトレス〜官能のリハーサル』，『地上満歌』，『銀杏のベッド』，『ソウル・ガーディアンズ　退魔録』，『ドクターＫ』，『シュリ』，『イ・ジェスの乱』，『リング』，『愛のゴースト』，『アタック・ザ・ガス・ステーション！』，『燃ゆる月』，『受取人不明』，『新羅の月夜』などを手掛ける。1998年には『ソウル・ガーディアンズ　退魔録』で第19回(1998)青龍賞技術賞を受賞。韓国映画界にはなくてはならない存在になっている。

　ある講演で、この作品と次作となった『われらの歪んだ英雄』について韓国の歴史と絡めて質問されたとき、「『韓国』の状況でなく、一般にどこの世界でも権力によって悪が作られる、そんな社会の構造があるはずだ。そして、その社会の中で一人一人が何をするかだ」ということを強調していた。

　ややくどい感じはあっても、生き生きとした人間模様を丁寧に描きながらゆっくりラストへ向かう流れに一つの説得力を感じる。暗すぎるという意見も多いが、役者が光っていて、あまりテーマに拘らなくてもその人間の光っている姿を追ってみれば案外明るい映画なのではないだろうか？

　監督の視点はデビュー作であるこの映画からずっと一貫していた。

【評価：★★★★】

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