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反則王


画像提供:メディアボックス


題名
英題
ハングル
反則王
The Foul King
반칙왕
製作年 2000
時間 112
製作
提供
共同提供

配給
映画社春
国民技術金融
シネマ・サービス
Hardee's
シネマ・サービス
監督 キム・ジウン
出演 ソン・ガンホ
チャン・ジニョン
チャン・ハンソン
パク・サンミョン
ソン・ヨンチャン
チョン・ウンイン
イ・ギヨン
シン・ハギュン(友情出演)
コ・ホギョン(友情出演)
イ・ウォンジョン
シン・グ
キム・スロ
キム・ガヨン
ミョン・ゲナム
日本版
Video
DVD
字幕版Video
吹替版Video
DVD
Blu-ray

 平凡な銀行員が夜は反則を得意技とするプロレスラーに変身するという抱腹絶倒のコミカル・スポーツ・サラリーマン映画。暖かいコメディと過激なレスリングを通じて現代社会に生きる男性のペーソスを描く。『クワイエット・ファミリー』のキム・ジウン監督第2作で、キム・デウの原案を監督自らが脚本化した。ソン・ガンホの巧すぎるコメディー演技とリアルなプロレスが見所。ちなみに、監督は当初ソン・ガンホのキャスティングをイメージしていなかったが、脚本執筆時に別件でソン・ガンホからしきりに電話がかかってきたため、脚本を書き上げる頃には、すっかり主演=ソン・ガンホの気分になっていたという。

 イム・デホ(ソン・ガンホ)は、遅刻の常習犯で営業成績もビリの銀行員。同じ行員のチョ・ウニ(キム・ガヨン)に片思いをしているが、告白すらできず未だに彼女もいない。そんな彼には、何かにつけてヘッドロックをかけてくる天敵のような上司(ソン・ヨンチャン)がいた。ある日、デホは、寂れたプロレス・ジムの「会員募集」の張り紙を見つけ、上司のヘッドロックをかわしたい一心で、チャン館長(チャン・ハンソン)に入門を申し込む。しかし、ジムの中で往年の反則レスラー、ウルトラ・タイガー・マスクの写真を見つけたデホは急に興奮してまくしたて始める。実は、彼は幼い時にウルトラ・タイガー・マスクに憧れていたのだ。一方、チャン館長はデホを入門させるか躊躇していたが、人気レスラー、ユ・ビホ(キム・スロ)のプロモーター(ミョン・ゲナム)から当て馬として反則レスラーを仕立てあげてくれと頼まれ、ジムの経営難を解消するためにデホの入門を許す。そして、チャン館長の娘ミニョン(チャン・ジニョン)から特訓を受けたデホは、ついに反則レスラーとしてデビュー。駄目サラリーマンだった彼は意外にもリングの上で悪役としてのパフォーマンスを発揮する。

 『シュリ』『JSA』でお馴染みのソン・ガンホが覆面レスラー「阿修羅X」となる銀行員のイム・デホを、また彼と『ナンバー・スリー』で共演したパク・サンミョンがレスラー、テ・ベクサン(「太白山」という有名な山と同じ名前、最後の試合ではリングネーム「キラー・コング」)を演じる。イム・デホのデビュー戦で間違って本物のフォークを刺される相手レスラー、オ・デサン(「五台山」という有名な山と同じ名前)を演じるイ・ウォンジョンは『NOWHERE 情け容赦無し』の刑事役、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』の警官役などで活躍している俳優。プロレス・ジムの館長を演じるのは、『カル』『魚と寝る女』でもおなじみのチャン・ハンソン。デホにレスリングを教えるミニョンを演じるチャン・ジニョンは、1992年にミスコリアの忠南「真」で芸能界デビュー。SKテレコムの011携帯電話のCMではハン・ソッキュと共演しており、映画は『愛のゴースト』でデビューしている。ソン・ガンホの職場の同僚でやはり成績不振のドゥシクを演じるチョン・ウンインは、映画『actress アクトレス〜官能のリハーサル』『クワイエット・ファミリー』『北京飯店』の他、TVドラマ『ウンシリ』,『波濤』,『クッキ』,『俺達3人組』などにも出演している俳優。デホが最後に戦う長身でロンゲのレスラー、ユ・ビホを演じるのは『シュリ』にも出演しているキム・スロ。また、『八月のクリスマス』でハン・ソッキュのお父さん役を演じたシン・グが、この映画ではソン・ガンホのお父さん役を演じ、『JSA』のシン・ハギュンと『クワイエット・ファミリー』のコ・ホギョンが不良役でちょい役出演している。

 ダンカンがデホのデビュー戦で血を浴びる観客役で撮影に参加していたが、劇場公開版ではカットされた。

 製作の映画社春(春フィルム)は『情事』のプロデューサー、オ・ジョンワンが新たに設立した会社。本作は創立作品となる。撮影監督は『ユリョン』の特殊撮影で名をあげたホン・ギョンピョ。超高速撮影のために特殊カメラを使用したレスリング場面は必見。アートディレクターも『ユリョン』の美術監督ファン・インジュン。アングラ・バンドのオオブ・プロジェクトが音楽監督となり、タイトル曲を作曲。オオブは、1996年に『損益分岐点』でデビューし、ウォン・イルと共に国楽のリズムを活かした音楽を目指したバンド。

 キム・ジウンの演出力とソン・ガンホのコミック演技がうまくマッチしたのに加え、平凡な日常から脱出したいという観客の願い(?)を実現したのが功を奏したか、2000年の旧正月プログラムとして封切られ大ヒット。あまりの好評に、韓国のプロレス界では、現役のイ・ガンサン選手のリング・ネームをウルトラ・タイガー・マスクに変えて、本物のウルトラ・タイガー・マスクとしてデビューさせ、しかも劇中ソン・ガンホが使用したユニフォームやマスクと全く同じデザインのものを着用するという案が検討された。

 実はこの映画にはモデルがいるということがテレビで報道され話題に。銀行マンのその人物は、韓国の「力道山」ことキム・イル(「大木金太郎」の韓国でのリングネーム、冒頭のレスリング映像も彼の試合模様)のジムに仕事で行ったのがきっかけで、レスリングに魅せられ、以来プロ・レスラー生活28年。映画の公開当時は51歳の銀行支店長兼現役レスラーで、マスクもやはり「虎」だったとか。

 韓国では、ソン・ガンホのサインが入ったウルトラ・タイガー・マスクのマスク風水泳帽が付録で入っている特別DVDが発売された。

 第51回(2001)ベルリン国際映画祭フォーラム部門、第3回(2001)ドーヴィル・アジア映画祭、第24回(2000)香港国際映画祭、第19回(2000)バンクーバー国際映画祭、第21回(2001)Fantasporto国際映画祭監督週間部門、第4回(2000)富川国際ファンタスティック映画祭メイド・イン・コリア部門、第25回(2000)トロント国際映画祭Midnight Madness部門、第44回(2000)ロンドン国際映画祭、TOKYO FILMeX 2000特別招待作品、2001年ニューヨークNDNF(New Directors, New Films)映画祭、第3回(2001)ブエノスアイレス国際独立映画祭、2001年シンガポール国際映画祭、第24回(2001)シアトル国際映画祭「アジアン・ビート」部門、第36回(2001)Karlovy Vary国際映画祭回顧展「ニュー・コリアン・シネマ」出品作品。イタリアの第15回(2001)Far East映画祭では最優秀観客賞を受賞。

 2001年3月には香港で公開され、ボックス・オフィス・トップの成績をたたき出した。ちなみに、ソン・ガンホ演じるイム・デホの吹き替えは香港喜劇王チャウ・シンチーが担当。

初版:2000/2/24
最新版:2001/8/6



投稿者:SUMさん 投稿日:2001/2/21 00:42:27

 映像とせりふのテンポで見せる腕前は一流。

 仕事はぱっとしないで、アフターファイブで光ってみたいといった小市民の夢が少しずつかなっていくのが、すっきりする。その小市民ぶりが、端から見るとクスクスッとおかしかったりもするそのクスクス感が見ていて楽しいし、でも身につまされているようで、いやその身につまされているような感じの自分をポジティブに笑ってしまう。

 主人公の情けないんだけど、等身大から一歩抜け出したような感じが、自分を振り返らせてしまってちょっとほろっと来る、でも夢があって、コミカルで、見終わってまぁこんなにすっきりする映画、そうはない。

【評価:★★★★】


【ソチョンの鑑賞ノート】

2001年8月16日執筆

 2001年8月6日に、名古屋の試写で字幕付きを鑑賞。

 主人公デホがあこがれていた往年の反則レスラーを、「ウルトラ・タイガー・マスク」という。単なる偶然だろうが、ウルトラマンとタイガーマスクをくっ付けたようなこのリング・ネームに心惹かれない日本人はまずいないだろう。特に、リアルタイムでウルトラマンとタイガーマスクを見た三十代、四十代の男性は、この名前を聞いただけで映画館に足を運びたくなるはず。

 もう一つ、書いておきたいことがある。いうまでもなく、1981年4月23日に、新日本プロレスの蔵前国技館大会で、ダイナマイト・キッドを原爆固めで破り、衝撃的なデビューを飾った初代タイガーマスクのことだ。今では想像もつかないことだが、当時は空前の新日本プロレス・ブームのさなか。金曜夜8時のゴールデン・タイムには、常にタイガーマスクの姿があり、人間業とは思えない華麗な「四次元殺法」に観客は酔いしれた。そして、翌日の土曜ともなると中学校・高校ではタイガーの技を見よう見まねで再現する男子学生が後をたたなかった。

 特撮、アニメ、プロレス・・・ 当時のテレビは夢と希望であふれかえっていたのだ。

 あれから、20年。少年達は大人になりその多くはサラリーマンとして働いている。日常のルーチンワークの中で夢を語ることもなくなり、テレビは閉塞感漂うニュースを繰り返すばかり。

 日本と韓国とでは微妙な事情は異なるものの、大方のバックグラウンドは似ているのだろう。『反則王』のオープニングで、往年のプロレス中継が旧式のテレビ画面の中に映し出されるという演出が、全てを物語っている。

 主人公のデホは、人生のヘッドロックをはずすべく反則レスラーになる。しかし、その先に待ち構えていたのは滑稽なまでのエンディング。現実の世界に目を向けてみると、初代タイガーマスクの佐山サトル(本名:聡)は、先日の参議院選挙で自由連合から出馬し、あえなく落選。

 なかなか思うようにはならない人生。それでも頑張らないといけないんだよなぁ・・・


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