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『Mirror 鏡の中』
キム・ソンホ監督インタビュー



Text by 金珪顕 Photo by Young Mi Angela Pak

日時:2003年11月23日(日)
場所:有楽町朝日ホール
聞き手:金珪顕

 2003年11月23日(日)・11月25日(火)の両日、第4回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2003にて、『Mirror 鏡の中』が日本初公開され、監督のキム・ソンホ氏が来日した。

 以下、キム・ソンホ監督の独占インタビューをお届けする。


Interviewer's Profile 金珪顕(キム・ギュヒョン)

 ソウル生まれ。大学二年生のとき渡米し、日本近代史を専攻。現在カリフォルニア大学助教授。著書に"The Age of Visions and Arguments: Parliamentarianism and the National Public Sphere in Early Meiji Japan"(Harvard University Press,2004)<注>がある。その他、日本と韓国の大衆文化に関する論文も発表。英語による韓国映画紹介サイト"Koreanfilm.org"でも数多くのレビューを投稿。"Koreanfilm.org"には『狐怪談』のユン・ジェヨン監督に対して行ったインタビューが掲載されている。

<注>日本語に直訳すると、『議論と構想の時代:明治初期日本の国会開設論と国民公共圏の形成』(ハーバード大学出版社)。2004年刊行予定。



 ユ・ジテさんのファンの皆さんお待ちかねのミステリー・ホラー『Mirror 鏡の中』が2003年11月23日、第4回東京フィルメックスで上映されました。ティーチインでは観客の方々の質問に実に丁寧に返答されていた『Mirror 鏡の中』のキム・ソンホ監督でしたが、その日の夜8時近く、有楽町朝日ホールの待機室にて単独インタビューへと突入しました。

 すらりとした長身、肩までたれた長髪、人なつこく優しい笑顔、青色のジャージと、勉強が出来て、しかもバスケットボールも上手そうな大学生、というのが私の最初の印象でしたが、互いに着席して対面したとき、そのきらりとした眼光の中に理知的で学究的な面影を覗かせていました。キム監督は、2002年当時日本で留学していたユ・ジテさんに『Mirror 鏡の中』への出演を交渉するために一度来日したことがあり、それ以来非常に日本を好きになった、とのことでした。


『Mirror 鏡の中』(画像提供:東京フィルメックス事務局)

 なお、このインタビューは通訳なしに韓国語で行われました。私は日本語を外国語として習いましたので、韓国語を日本語に翻訳する際に、どうしてもネイティブ・スピーカーの方々は使わない、ぎごちない表現を使ってしまう場合があるかもしれません。また、録音された会話の内容を出来るだけそのまま掲載していますが、同じ内容の反復になる部分、映画の内容のネタばれになる部分、私の研究者としての個人的な関心が中心となっていて、日本の映画ファンの皆さんには大して意味を持たないと思われる部分などは、一部省略しています。読者の皆様のご理解をお願い致します。


● 建築学徒から『Mirror 鏡の中』

Q: 『Mirror 鏡の中』、大変面白く拝見しました。
A: ありがとうございます。

Q: 映画監督になった動機やきっかけについてお聞きしたいのですが。
A: 本来の専攻は建築学です。大学の建築学科を卒業してから事務所で一年ばかり働いていましたが、三次元的なイメージとかデザインを二次元的に表現する事に対して、窮屈さを感じるようになりました。映画を勉強するようになったのは、私が「語り手」として関心がある色々な事柄が、映画という媒体を通して、もっと自由に積極的に表現できるのではないか、その結果この窮屈さから解放されるのではないかと思ったからです。しかし、最初は映画のことは全く知りませんでしたので、ニューヨークに留学して基礎から勉強しました。大学(ニューヨーク市立大学(Brooklyn College of CUNY)映画演出専攻)で二年、そして大学院(ニューヨーク・ニュースクール大学(New School for Social Research)映画学)で修士号をもらうまで都合六年間アメリカにいました。


左:筆者 右:キム・ソンホ監督

Q: かなりの数の短編映画を製作されたと聞きましたが、『Mirror 鏡の中』の原型となった作品はありますか?
A: 『I The Eye』(1999)という16mm短編を撮りましたが、多分それが『Mirror 鏡の中』の原型といえるでしょう。七分位の長さですが、ワンカットでカメラの視点と話者の視点が分離されたまま話が展開するという、かなり実験的な短編ですね。結局は話者とカメラの視点が同化されて終わるのですが、「凝視する」ということ、そして現実のシミュレーションとしての映画に対する私の当時の考えが反映されています。まあ一種のファンタジーですね。「凝視すること」に対するこだわりといいましょうか、錯視効果とか、「視点」に関する問題意識など、この短編から『Mirror 鏡の中』へと伝承された部分がかなりあると思います。

● 『鏡』の内側 その1

Q: プロローグからして、かなり高難度の技術が必要だったと思われるシーンが沢山出てきますが、例えば冒頭の・・・ あれは確か『少女たちの遺言』に出演したイ・ヨンジンさんですよね?
A: そうです。

Q: イ・ヨンジンさんがコンパクト鏡を開けた途端、鏡の中にカメラが「入ってしまう」あのシーンのことなんですが、あれはCG(コンピュータ・グラフィックスによる特殊効果)だったのですか?
A: そうです。CGも使われていますが、普通、鏡の反射を撮影するときはカメラの角度という側面が重要になります。今まで鏡の反射を描写した映画のほとんどがその「角度の問題」に束縛されて、斜めのアングルからしか撮影できず真正面から人物を撮ることができなかった、といった難点がありました。『Mirror 鏡の中』では、そういう問題点を私たちなりに解決してみたいという野心がありましたので、あるショットではダブル・セットを使ったり、CGで鏡に映ったカメラを消したり、またあるショットではモーション・コントロール・カメラを使ってみたり、ありとあらゆる方法を試しました。

Q: 『Mirror 鏡の中』には韓国映画に「日常的な生活」の描写として必ずといっていいほど頻繁に登場する「お約束」の場面が見当たらない、という事がかなり興味深かったのですが。例えば、家族ぐるみの食事シーンとか、お酒を飲んでみんなで歌うシーンとか(笑)。登場人物たちが皆自意識が強く、自分たちの世界に没入しているようにも見えました。
A: 実は、釜山国際映画祭で公募して選抜された段階のシナリオでは、主人公の父親も登場していましたし、妻もいました(笑)。でもシナリオを修正していく過程において、親族に関する部分はほとんど消されました。やはり主人公の「鏡」との関係、そして彼の心の内面に焦点を置きたかったからです。

※ 『Mirror 鏡の中』は、第6回(2001)釜山国際映画祭PPP部門のNDIF(New Directors in Focus)という韓国の新人監督を対象にしたシナリオ公募・製作投資コンペで選抜された作品。NDIFは、韓国の新しい才能を発掘するために、新人監督の手による優秀な脚本を選抜し、賞金を授与するという制度。『Mirror 鏡の中』はNDIFでMovie Zemiro賞を受賞したことがきっかけとなり、韓国の大手映画製作・配給会社シネマ・サービスのバックアップを受けて映画化されることとなった。

Q: 最近、韓国映画は「私は誰なのだ」という問いも含めて、内面的な問題を重視するようになったという見方がありますが、『Mirror 鏡の中』もこういう傾向を反映しているといえるでしょうか?
A: 確かに内面的な自我という主題は韓国映画ではあまり取り上げられなかったと思います。むしろ外国映画において、そういう問題意識が数多く見出されていたことは事実です。『Mirror 鏡の中』の場合においては、そうですね・・・ キャラクターの描写よりはむしろイメージという側面において他の韓国映画との差別性がみえてくると思いますね。傾向というよりは、最近の韓国映画が色々な意味で豊かになってきているということなのでしょう。多様なアプローチを通して進化していく途中、と表現すべきでしょうか。『Mirror 鏡の中』も、そういう多様性に貢献するところはあると思います。

Q: 監督本人は、韓国映画からどういう影響を受けたとお考えになっていますか?
A: 私はニューヨークで映画人としての「形成期」を過ごしたせいもあって、韓国映画の影響はあまり受けていないですね。これはある程度は意識的なことでもありまして、映画を勉強するようになってからは、特に最近の作品からは一定の距離を置きたい、という思いもありますね。むしろ映画以外の芸術分野、例えば、美術、音楽、グラフィック・デザイン等から示唆を受け、新しい何かを見つけ出す場合が多いですね。映画を作り始めてからの私にとって、主な関心事は、たとえ作品の内容や物語の語り方は「保守的」であっても、その視覚的「形式」は今まで見られなかった斬新なものであってほしい、ということです。あ、でも『地球を守れ!』はよかったです(笑)。

Q: 『地球を守れ!』のチャン・ジュヌァン監督とは親しいですか?
A: いえ、何度か挨拶を交わした程度です。

Q: 個人的には「鏡の中の世界」の描写が神秘的で、大変素晴らしかったです。
A: ただの「反射されたイメージ」だけではなく、登場人物たちの「心の中」を投影した世界が「鏡の中」である、というのが基本コンセプトでした。つまり彼らの内面世界の相違に従って、彼らがイメージする「鏡の中の世界」も違ってくるわけです。例えばあるキャラクターの場合、彼は「見えないものは存在しない」という主義の持ち主で、結局「鏡の中」に自分の心の裏面をみるわけですから、恐らく暗黒の世界をみるだろうと、そういう演出意図がありました。

※ 「あるキャラクター」について、もちろんキム監督は具体的に登場人物の名前と俳優の名前を挙げていましたが、そのまま載せるとネタばれになってしまうので、「あるキャラクター」と表現をぼかしました。ご了承ください。

● 陰の主役? キ・ジュボン ブラザース

Q: もう一つ非常に印象深かったシーンは、キ・ジュボンさんが演じるデパートのチョン社長が屋上で紙幣をばらまくシーンでした。キ・ジュボンさん、すごい熱演でしたね。
A: そのとおりです。

※ 韓国映画界の脇役の大御所とも言えるミョン・ゲナムが主にプロデューサーとして活躍するようになったこの数年間、韓国映画界において名脇役中の名脇役として君臨しているのがキ・ジュボン。日本でも『JSA』の韓国軍将軍役をはじめとして、『友へ/チング』『アウトライブ −飛天舞−』『ダイ・バッド 〜死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか〜』『復讐者に憐れみを』『公共の敵』『クワイエット・ファミリー』、『地球を守れ!』などでお馴染み。とにかく最近の韓国映画の話題作・ヒット作・問題作の多くに出演しています。個人的には『鳥肌』の小説家が最高のはまり役だと思いますが、このフィルム・ノワールの名作、日本ではあまりにも知名度が低く、もったいない。

Q: 「キ・ジュボンが出演しない韓国映画はホントの韓国映画じゃない、模造品だ」ともいわれますけど(爆笑)、とにかくこのシーンからは一面鋭い批判精神を感じました。
A: このシークエンスでは群集心理を描きたかったのですね。実は『ジョーズ』から影響を受けています。特にサメが恐くて、海に入れずもじもじしている海水浴場の群衆、あれに似た状況を演出したかったんですね。キ・ジュボンさんが演じるチョン社長は、物語の中では自分のデパートと自分を同一視しているキャラクターですので、直接紙幣をばらまくという極端な手段を使ってでも、どうしてもデパートに客を入れたかったのでしょう。チョン社長のキャラクターに相応しい行動様式を考えたところ、ああいう設定になりました。社会批判を直接意図したわけではありません。

Q: キャストについてお伺いしたいのですが、ユ・ジテさんは日本で会ってキャスティングなさったんですね。
A: そうです。ユ・ジテさんが演じるヨンミンという主人公は脚本上では実はもっと中年に近い歳の設定でしたが、私が希望していた、その年代の役者たちが皆忙しくてちょっと難航しました。そこでユ・ジテさんに脚本が渡り、興味を示してくれました。それでさっそく会うことになったわけです。キム・ミョンミンさん(ハ刑事役)とキム・ヘナさん(謎の女性ジョンヒョン役)は有名ではありませんが、前の出演作品で演技力を認められていたので・・・

Q: キム・ミョンミンさんは以前どの映画に出演なさったんでしょう? 『イエスタデイ 沈黙の刻印』かな?
A: いえ、ええと、どの映画だったかな?

Q: (どうしても思いだせない二人) あ、そうだ! 『鳥肌』ですね。
A: そうです、そうです、『鳥肌』です。キム・ヘナさんは『フラワー・アイランド』に出演していましたね。キ・ジュボンさんとキム・ミョンスさん(ヨンミンの上司チェ・サンギ役、『JSA』ではソン・ガンホ演じるオ・ギョンピル中士(軍曹)に撃ち殺される北朝鮮の上官役を好演)も効果的な配役だったと思います。あ、それに特記すべき配役といえば、ヨンミンが警備責任者として勤めるデパートのガードマン役なんですけど、演じている方はキ・ジュボンさんの実の兄です。

Q: えーっ!?(マジでびっくり)
A: キ・グッソという名前で、演劇演出家として有名な方なんです。デパートという組織のヒエラルキーの中で一番トップにいるチョン社長と、一番下のガードマンとの間に存在する、いわば「上下対称」の「鏡効果」を狙ったものでした。

Q: 全然知らなかったです。どおりで、すごく似ていると思った(爆笑)。
A: シナリオ上ではチョン社長とガードマンが見詰め合うシーンもありました(笑)。

Q: 映画の設定ではもちろん兄弟ではなくて・・・
A: もちろん血のつながりはないのですが、二人共同じ会社で長年働いてきたので、ある程度は心を許す、親しい関係といいましょうか、そういう設定だったんです。

● 『鏡』の内側 その2

Q: 映画のどの部分までがセット撮影ですか?
A: だいたい40%位でしょうか。鏡が登場する重要なシーンは、ほとんどセットで撮影しました。エレベーターとか、トイレとか・・・ 実在のデパートでのロケ撮影はソウルのデパートでは許可がでなかったので、大田(テジョン)と昌原(チャンウォン)にあるデパートで旧正月の連休の主に夜の時間帯に撮影しました。

※ 韓国では「新暦」の正月休みは、元旦の1月1日だけだが、「旧暦」の旧正月休みは、長期の連休となる。年末年始の韓国旅行は全く問題ないが、旧正月期に韓国に旅行に行くのは(お店が全く開いていないので)推奨できない。

Q: あの両面鏡のエレベーターなど、すごいセットですけど、実際にそういうエレベータ―があったら誰も乗らないんじゃないでしょうか? 恐くて(笑)。照明も大変だったでしょう。
A: はい、大変難しかったですね。その他、カメラの角度、役者のみなさんの目線、すべて細かい部分まで神経を使わなければならなかったんですが、スタッフのみなさんも鏡に映ってしまってはいけないので、姿を隠して撮影したり、またカメラにも黒い布を被せて鏡に映らないようにしたり、それでもだめな時はCGでカメラだけ消したり、とにかく苦労しました。

Q: 精神分析学的にも面白い映画だと思いますが、実際精神分析の専門家の方から助言を受けたのでは?
A: いえ、書籍とか知人たちの意見を参考にしただけです。でも編集段階の映画をご覧になった精神医学専門の方々から「いろんな精神分析や精神異常に関する諸問題を実にうまく表現している」といわれました。私は専門家の立場から見ていただいて、おかしな部分を修正するつもりでお願いしたんですが、すっかり気に入っていただいて、「おかしなところなど、まったくない」と太鼓判を押してくださったんです(笑)。

Q: 封切りの後の韓国人観客の反応のうち、印象深いものとか、お聞きかせください。
A: 映画の公式サイトにおびただしい数の感想が寄せられまして、あまりにも数が多いので会員制にしましたが、結局三万人位の会員が登録しました。私が全然予想しなかった解釈も含めて、実に多様な『Mirror 鏡の中』の見方が存在している事を教えられました。

Q: 韓国で映画監督としてデビューする場合、良い脚本を自ら書いて投資者や製作者にアピールする、というアプローチと、独特で面白い短編映画をまず作る、というアプローチがあるようで、キム監督は両方とも当てはまるケースなんですけれども、どちらの方がより効果的ですか。
A: 私の場合は圧倒的に「良い脚本」だったと思います。短編映画はデジタル作品も含めて五本程製作しましたが、私はアメリカで作業していましたし、韓国の映画界には縁故も知人もいなかったので、帰国しても、いきなり長編作品の監督、ということは正直期待できなかったですね。釜山国際映画祭のNDIFプログラムで私の自作脚本が支援を受けたことが絶対的な助けとなりました。まあ、時期的にも幸運だったと思います。

Q: 日本やアメリカ、または他の外国での『Mirror 鏡の中』に対する評価は韓国内でのそれとかなり違うとお考えになっていますか?
A: 英語字幕には誤訳が目立ったりして少し気になりましたが(笑)、いままでの映画祭での反応は、悪くなかったと思います。題材としては特に目新しい映画ではありませんので、韓国という国から新しい映画を発見する事を期待していた方々は、この映画にちょっと失望されるかもしれません。

Q: 『Mirror 鏡の中』はジャンル映画的な側面と、実験映画的な側面が共存していたと思いますが、キム監督ご自身の見解はいかがですか?
A: (きっぱりと)私にとっては実験映画だったですね。こういうジャンル的な慣習に忠実であると同時に、新しい視覚的表現を開拓する映画は韓国には今まであまりなかったと思います。欧米の洗練された商業映画に見受けられる緻密なミステリー・プロットを韓国映画という枠組みの中で実現させる、という作業も実験的意義が大きい、と感じました。だからストーリー自体はかなり正統的なジャンルの規範をなぞっているという感じはありますけれど、私にとっては十分意義のある実験だったと思います。まず基本的なストーリテリングの実力を備えた後、もっと破格的な実験をやっていきたい、と思っています。

Q: これからの計画は?
A: シナリオ作業をいま進めていますが、まず「記憶」に関するプロジェクトがあります。「偽の記憶」という現象に対して興味を持っています。『Mirror 鏡の中』でも本当の自分は誰か、という問いが出てきますので、その延長線上で考えついたものですね。もう一つのプロジェクトは、ドキュメンタリー映画の手法を真似て、映画を見ていたらまったく現実と区別ができないけれど、内容はまったく現実性のない、そういうリアリティと虚構の境目に着目する映画です。それも是非作ってみたいです。

Q: 最後の質問になりますが、好きな映画とか映画作家がありましたら、教えてください。
A: 韓国映画では、先ほどお話しした『地球を守れ!』ですね。あと『ほえる犬は噛まない』も大好きです。監督の力量が伝わってきますね。外国映画では・・・数が多すぎて(笑)。一般的にはデビュー作品が好きです。コーエン兄弟も好きだし、三池崇史も好きです。

Q: 長い時間ありがとうございました。第二作で、またお会いできるといいですね。
A: こちらこそ、ありがとうございました。



好感度<花丸>の好青年監督

Text by 金珪顕

 本当に礼儀正しく穏やかな口調で、終始明瞭かつ詳細な受け答えをしてくださったキム監督。皆さんもお会いする機会があれば、好感度がぐぐーっとアップすること請け合いの「好青年」監督でした。事実、インタビューの翌日に都内で韓国映画ファン主催による「キム・ソンホ監督を囲むお食事会」が催されたのですが、そこでも参加された皆さんは一様に監督に好印象を持たれていたようです。

 『キャンディ・キャンディ』のステアに似ている・・・と誰かが言っていましたが、それは写真をご覧いただいて直接ご判断いただくとして、監督についてもう一つ面白いエピソードが。監督の名刺をもらったところ、なんと裏面に仮面ライダーの肖像が印刷されていたのです。それも最近の新シリーズのではなく、仮面ライダー1号の。この名刺のいきさつについては、残念ながら質問し忘れましたが、もしかしたらキム監督って、日本のテレビおたくじゃないかな?という気もする愉快な発見でした。

 また、アメリカに住んでいる私からすると、キム監督のきっぱりとした自己主張、理知的で分析的なアプローチ、特に精神分析に対する強い関心など、ニューヨークで六年間滞在されていたということにも納得がいきました。私にとってはそれも好感度アップの一つの要因です。




<注>

 映画祭では『鏡の中へ』という題名で上映されましたが、その後、『Mirror 鏡の中』という邦題でVideo&DVDがリリースされましたので、題名はすべてVideo&DVDのものに統一しました。


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