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『春夏秋冬そして春』
キム・ギドク監督合同インタビュー



資料提供:グアパ・グアポ

日時:2004年8月21日(土)
場所:銀座東武ホテル
通訳:大塚毅彦

 いまや韓国映画界の「至宝」とまで言われるキム・ギドク監督が、『春夏秋冬そして春』のプロモーションで来日した。本作品は、10月下旬から渋谷Bunkamuraル・シネマを皮切りに全国順次公開される。

 『受取人不明』『コースト・ガード』『サマリア』の公開も待ち望まれる監督にお話を伺った。



Q: 蛇は、生と死と再生のシンボルとして使われていますが、なぜ蛇を選んだのでしょうか?
A: 蛇は韓国では嫌われていると同時に、清潔感があると言われています。それは霊的で、神秘的な意味をもっているので老僧を象徴するものとして使いました。小動物は人間と同じく登場人物であると思っています。木や水、動物全てが出てくるので、動物だけを特別視しているわけではありません。

Q: 今回舞台となる水上の寺のセットを、国立公園に作るに至った経緯を教えてください。監督ご自身も説得にあたったのでしょうか?
A: 環境庁と文化観光部、自然保護団体等の市民団体に交渉しました。許可が下りるまでに8ヶ月かかり、一年間セットを使い撮影しました。作ったセットを撤去するのは悲しかったのですが、当局との約束ですので全て撤去しました。その後、映画を観た多くの観光客が訪れていますが、皆さん「お寺がない」とおっしゃるようです。現在別の場所で再建しようという動きがあるそうです。

Q: 撮影期間はどれくらいだったのですか。
A: 各季節約5日間、全部で23日間撮影しました。

Q: この作品は東洋独特の美しさを描いていますが、特に力を入れたシーンは?
A: 一番手間をかけたのは般若心経を彫るシーンです。

Q: 般若心経を彫って心を落ち着かせることは実際にあることですか?
A: 仏教については勉強したりせず、私の頭のイメージから出てきたことです。人によっては生きていること自体が一つの修行なのかもしれません。

Q: 冬のパートでご自身が出演した理由は?
A: 出演して欲しい俳優がいたのですが、スケジュールの都合がつきませんでした。氷や雪、そして冬という季節自体を逃がすことはできないので、スタッフの賛同も得て私自身が出演しました。「冬」は役者が演ずるというよりも、季節や風景が主人公であるからです。

Q: 僧侶を主人公としたのは何故ですか。
A: 僧侶を主人公として描こうとした訳ではありません。僧侶は汚れを落として綺麗になりたい象徴として描きました。この映画は山の中の映画というよりも、都市の映画であると思います。山中の何もないところで生活している人よりも、都会で色々なものに触れている人にこそ観てもらいたい映画です。目に見えない部分を見て欲しい、裏側の別の部分を想像して欲しいと思っています。この映画を美しいと思う人は、都会の生活に疲れた人だと思います。

Q: 僧侶が子供にかける言葉は監督自身の経験からでた言葉ですか?
A: 人生で今まで学んできたことや頭にあった言葉です。

Q: 『アリラン』を使用した理由は?
A: 『アリラン』は辛い時に唄う歌というよりも、辛さに伴って出る声なのです。人生の辛さを表現するには『アリラン』が一番合っていると思いました。実際アメリカやヨーロッパで公開された時、『アリラン』のシーンで多くの人が泣いていました。

Q: 水の上の寺、ボートの往来は、何かを象徴しているのですか。
A: 水の上の寺というのは世界中のどこにもありません。この寺は自分自身であり、観る人々であります。ボートは人生の長さ、時間を象徴しています。水は方向が変わる象徴として、自由になりたいという気持ち、しかし、湖から出られないという矛盾を表しました。

Q: 寺の中には庵がないが扉(門)はある。扉(門)を使わずに通ったりする。あれにはどのような意味がありますか?
A: 門は、横を通っても回ってもいいが、あえてルールを守るのか守らないのか、ひとつの葛藤を表すための礼儀の門です。「夏」の場面で少女とセックスをしたあと彼は門を通らなくなる。人間の心の中にある物事に対する判断を表すために使いました。守らないのは楽ですが、守るということは大変でも安心感があるのです。



取材後記

 春・夏・秋・冬と四つの季節を人の成長と共に描き、それを自然が優しくそして厳しく包み込む。普段我々が忘れかけている事を、この作品は優しい眼差しで教えてくれる。

 『悪い男』とは、明らかにテイストの違うこの作品。今後、どの様な作品を撮っていくのか目が離せない監督だ。


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