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第37回(2000)大鐘賞


概要

 韓国のアカデミー賞といわれる大鐘賞。第37回は、予選(3月6日〜18日)、本選(3月26日〜4月3日)の日程で進め、4月18日(火)に世宗文化会館大講堂で授賞式を開催。主催は社団法人韓国映画人協会(理事長:イ・ドゥヨン)とSBS、主管は大鐘賞映画祭執行委員会とSBSプロダクション、後援は文化観光部・映画振興委員会(委員長:ユ・ギルチョン)・韓国映画製作家協会・全国劇場連合会・ソウル特別市劇場連合会・韓国映画製作協同組合。パソコン通信で人気投票も実施。ホームページはこちら


本選進出作

【賞名】 【作品名/人物】 括弧内は対象作品名
最優秀作品賞候補作
(審査委員特別賞)
『我が心のオルガン』
『ペパーミント・キャンディー』
『ユリョン』
『NOWHERE 情け容赦無し』
『春香伝』
監督賞候補 キム・サンジン(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
イ・ミョンセ(『NOWHERE 情け容赦無し』)
イ・ヨンジェ(『我が心のオルガン』)
イ・チャンドン(『ペパーミント・キャンディー』)
イム・グォンテク(『春香伝』)
男優主演賞候補 パク・チュンフン(『NOWHERE 情け容赦無し』)
ソル・ギョング(『ペパーミント・キャンディー』)
アン・ソンギ(『真実ゲーム』)
イ・ビョンホン(『我が心のオルガン』)
チェ・ミンス(『ユリョン』)
女優主演賞候補 カン・スヨン(『虹鱒』)
シム・ウナ(『カル』)
チョン・ドヨン(『我が心のオルガン』,『ハッピーエンド』)
ハ・ジウォン(『真実ゲーム』)
助演男優賞候補 パク・ヨンギュ(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
パク・チョル(『ラブ 最愛の人』)
イ・ムジョン(『真実ゲーム』)
チャン・ドンゴン(『NOWHERE 情け容赦無し』)
チュ・ジンモ(『ハッピーエンド』)
助演女優賞候補 キム・ソンニョ(『春香伝』)
キム・ヨジン(『ペパーミント・キャンディー』)
ヨム・ジョンア(『カル』)
イ・ミヨン(『チュ・ノミョンのベーカリー』)
チェ・ジウ(『NOWHERE 情け容赦無し』)
新人監督賞候補 キム・ギヨン(『真実ゲーム』)
キム・ジウン(『反則王』)
ミン・ビョンチョン(『ユリョン』)
イ・ヨンジェ(『我が心のオルガン』)
チョン・ジウ(『ハッピーエンド』)
新人男優賞候補 キム・サンジュン(『散策』)
ソル・ギョング(『ペパーミント・キャンディー』)
チュ・ジンモ(『ハッピーエンド』)
チョ・スンウ(『春香伝』)
チャ・スンウォン(『世紀末』)
新人女優賞候補 ペ・ドゥナ(『ほえる犬は噛まない』)
イ・ジェウン(『イエローヘア』,『世紀末』)
イ・ヒョジョン(『春香伝』)
ハ・ジウォン(『真実ゲーム』)
脚本賞候補 ソン・ヌンハン(『世紀末』)
イ・チャンドン(『ペパーミント・キャンディー』)
イ・ピリョク(『真実ゲーム』)
チャン・ジュナァン,ポン・ジュノ(『ユリョン』)
チョン・ジウ(『ハッピーエンド』)
脚色賞候補 キム・ミョンゴン(『春香伝』)
イ・ヨンジェ(『我が心のオルガン』)
撮影賞候補 キム・ソンボク(『カル』)
チョン・ジョミョン(『我が心のオルガン』)
チョン・グァンソク,ソン・ヘンギ(『NOWHERE 情け容赦無し』)
チョン・イルソン(『春香伝』)
チェ・ジョンウ(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
照明賞候補 キム・イルジュン(『NOWHERE 情け容赦無し』)
ソ・ジョンダル(『ユリョン』)
シン・ジュナ(『我が心のオルガン』)
イ・ミンブ(『春香伝』)
イム・ジェヨン(『カル』)
編集賞候補 キム・サンボム(『カル』)
キム・ヒョン(『ペパーミント・キャンディー』)
コ・イムピョ(『ユリョン』,『NOWHERE 情け容赦無し』)
パク・スンドク(『春香伝』)
音楽賞候補 ソン・ムヒョン(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
オ・ボンジュン(『チュ・ノミョンのベーカリー』)
ウォン・イル(『イ・ジェスの乱』)
チョ・ドンイク(『我が心のオルガン』)
チョ・ソンウ(『NOWHERE 情け容赦無し』)
美術賞候補 ミン・オノク(『我が心のオルガン』,『春香伝』)
オ・サンマン(『NOWHERE 情け容赦無し』)
チョン・グホ(『カル』)
ファン・インジュン(『ユリョン』)
音響技術賞候補 カン・デソン(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
キム・ドンイ(『カル』)
キム・ソグォン(『ユリョン』)
ソ・ウォンジョン,イ・ビョンハ(『春香伝』)
オ・ウォンチョル,チェ・テヨン(『NOWHERE 情け容赦無し』)
映像技術賞候補 パク・クァヌ(『愛のゴースト』,『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
ユ・ドンニョル(『ユリョン』)
?(『NOWHERE 情け容赦無し』)
?(『カル』)
企画賞候補 ソ・ヒョンソク(『我が心のオルガン』)
ミョン・ゲナム(『ペパーミント・キャンディー』)
イ・グァンス(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』)
イ・テウォン(『春香伝』)
チャ・スンジェ(『ユリョン』)
衣装賞候補 カン・ヒョンジュ(『我が心のオルガン』)
ポン・ヒョンスク(『イ・ジェスの乱』)
イ・ヒョンジュ(『反則王』)
チョン・ウッチュン,チェ・セミ(『ユリョン』)
ホ・ヨン,ポン・ヒョンスク(『春香伝』)
新人技術賞候補 ムン・ヨンシク(『北京飯店』)
?(『世紀末』)
?(『ユリョン』)
予選審査委員
委員長イム・ヨン(評論家)
委員シン・オッキョン(撮影監督)
キム・イル(俳優)
ソ・インスク(サンミョン大学教授)など7名
 本選に進出したのは下記の20作品。

  1. 『我が心のオルガン』
  2. 『イエローヘア』
  3. 『ラブ 最愛の人』
  4. 『ペパーミント・キャンディー』
  5. 『反則王』
  6. 『北京飯店』
  7. 『散策』
  8. 『虹鱒』
  9. 『世紀末』
  10. 『ユリョン』
  11. 『イ・ジェスの乱』
  12. 『NOWHERE 情け容赦無し』
  13. 『愛のゴースト』
  14. 『チュ・ノミョンのベーカリー』
  15. 『アタック・ザ・ガス・ステーション!』
  16. 『真実ゲーム』
  17. 『春香伝』
  18. 『カル』
  19. 『ほえる犬は噛まない』
  20. 『ハッピーエンド』
 『春香伝』が最多の13ヶ部門でノミネートされたほか、『我が心のオルガン』,『NOWHERE 情け容赦無し』,『ユリョン』がそれぞれ12ヶ部門で、『ペパーミント・キャンディー』が8部門でノミネートされました。

 今年の最大の特徴は重複候補が非常に多いこと。例えば、チョン・ドヨンが『我が心のオルガン』と『ハッピーエンド』の2本で女優主演賞候補に、イ・ジェウンが『イエローヘア』と『世紀末』の2本で新人女優賞候補に、コ・イムピョが『ユリョン』と『NOWHERE 情け容赦無し』の2本で編集賞候補に、ミン・オノクが『我が心のオルガン』と『春香伝』の2本で美術賞候補に、パク・クァヌが『愛のゴースト』と『アタック・ザ・ガス・ステーション!』の2本で映像技術賞候補に、『真実ゲーム』のハ・ジウォンが女優主演賞候補と新人女優賞候補に、『ペパーミント・キャンディー』のソル・ギョングが男優主演賞候補と新人男優賞候補にノミネートされています。

 また、映画評壇では好評だった『少女たちの遺言』が全くノミネートされなかった一方で、公開時には大した話題にならず興行的にも失敗だった『真実ゲーム』が男優主演賞候補や女優主演賞候補などの主要部門を含む6部門でノミネートされているのが目をひきます。

 なお、映像技術賞は今年から新設された賞で、CGや特殊映像技術を対象にした賞です。



受賞作品/人物

【賞名】 【作品名/人物】 括弧内は対象作品名
最優秀作品賞 『ペパーミント・キャンディー』
審査委員特別賞 『春香伝』
監督賞 イ・チャンドン(『ペパーミント・キャンディー』)
男優主演賞 チェ・ミンス『ユリョン』
女優主演賞 チョン・ドヨン『我が心のオルガン』
助演男優賞 チュ・ジンモ『ハッピーエンド』
助演女優賞 キム・ヨジン(『ペパーミント・キャンディー』)
新人監督賞 ミン・ビョンチョン(『ユリョン』)
新人男優賞 ソル・ギョング(『ペパーミント・キャンディー』)
新人女優賞 ハ・ジウォン『真実ゲーム』
イ・ジェウン『イエローヘア』
脚本賞 イ・チャンドン(『ペパーミント・キャンディー』)
脚色賞 イ・ヨンジェ(『我が心のオルガン』)
撮影賞 チョン・グァンソク,ソン・ヘンギ(『NOWHERE 情け容赦無し』
照明賞 ソ・ジョンダル(『ユリョン』)
編集賞 コ・イムピョ(『ユリョン』)
音楽賞 ウォン・イル『イ・ジェスの乱』
美術賞 ミン・オノク(『春香伝』)
音響技術賞 キム・ソグォン(『ユリョン』)
映像技術賞 ユ・ドンニョル(『ユリョン』)
企画賞 イ・グァンス(『アタック・ザ・ガス・ステーション!』
衣装賞 ポン・ヒョンスク(『イ・ジェスの乱』)
新人技術賞 ムン・ヨンシク(撮影,『北京飯店』
短編映画賞 『遠足』,『1979年10月28日、晴れ』
映画発展功労賞 キム・ジミ
功労監督賞 パク・サンホ
特別技術賞 キム・ビョンオク
特別演技賞 チェ・ソン,キム・シンミョン
男子人気賞 ハン・ソッキュ
女子人気賞 シム・ウナ
本選審査委員
委員長キム・ギドク
勝手な講評

 2000年4月18日、ソウルの世宗文化会館大講堂にて「韓国のアカデミー賞」と呼ばれる大鐘賞の授賞式が、SBSのユ・ジョンヒョン,チョン・ジヨン両アナウンサーの司会のもと執り行われました。

 最優秀作品賞を受賞したのは、1997年に『グリーンフィッシュ』でデビューしたイ・チャンドン監督の第2作『ペパーミント・キャンディー』。韓国現代史を体現する一人の男の人生を時間を溯って描いていくこの作品は、NHKが出資しており、韓国における日本映画解禁以降初の日韓合作映画です。1999年の釜山国際映画祭で、韓国映画として初めてオープニング作品に選定された他、第53回(2000)カンヌ国際映画祭にも「監督週間」部門で招待されるなど国内外で高く評価されているこの作品の受賞は極めて順当と言えます。なお、『ペパーミント・キャンディー』は最優秀作品賞の他、監督賞・助演女優賞・新人男優賞・脚本賞など主要5ヶ部門を独占しました。

 最多の13ヶ部門でノミネートされ、話題となったベテラン監督イム・グォンテクの『春香伝』は、審査委員特別賞と美術賞の受賞にとどまりました。韓国の古典『春香伝』を映画化したこの作品の特徴は、(小説ではなく)パンソリ『春香伝』を元にしており、あたかも『春香伝』のミュージック・ビデオ&ミュージカルといった趣である事。製作者は泰興映画のイ・テウォン、撮影はチョン・イルソン、そしてシナリオの脚色を担当したのはキム・ミョンゴン。監督のイム・グォンテクを含めると『風の丘を越えて〜西便制』の黄金カルテット揃い踏みのこの作品は、第53回(2000)カンヌ映画祭のコンペ部門に出品されます。なお、カンヌ映画祭のコンペ部門に韓国映画が進出するのは、これが初めてです。

 男優主演賞を受賞したのは、特撮を駆使した韓国初の潜水艦映画『ユリョン』で反乱を起す潜水艦副艦長役を熱演したチェ・ミンス。彼は1980年代後半から活躍している中堅男優ですが、チェ・ミンシク『シュリ』でブレイクしたように、チェ・ミンスも『ユリョン』の演技で再評価されました。なお、特撮技術や秀でた映像感覚が高く評価された『ユリョン』は、男優主演賞と新人監督賞の他、照明賞・編集賞・音響技術賞・映像技術賞の技術系四部門を独占しています。

 女優主演賞は、『接続』で純情可憐な女性を演じていたチョン・ドヨンが受賞。受賞対象作品となった『我が心のオルガン』で17歳の小学生役を違和感なく演じるという離れ業を演じた彼女は、次の作品『ハッピーエンド』では浮気に走る経済力ある妻を演じ、濃厚なベッド・シーンも披露。今回の大鐘賞では『我が心のオルガン』と『ハッピーエンド』の2作品で女優主演賞にノミネートされました。そして、『ハッピーエンド』でチョン・ドヨンの浮気相手役を演じた新人男優チュ・ジンモは助演男優賞を受賞。なお、『ハッピーエンド』は第53回(2000)カンヌ映画祭「批評家週間」部門に招待が決定しています。

 『ペパーミント・キャンディー』の主演を演じ、新人男優賞を受賞したソル・ギョングは1999年の東京国際映画祭で上映された『虹鱒』にも主演していた実力派男優。実は『つぼみ』『ディナーの後に』、そして『ユリョン』にも出演しています。現在撮影中のカン・ジェギュ監督プロデュース作品『燃ゆる月』にも主演しており、日本でもブレークする可能性大。女性ファンはチェックされたし。

 同じく『ペパーミント・キャンディー』で助演女優賞を受賞したキム・ヨジンは、『ディナーの後に』の3人娘のうちの1人、最後に妊娠してしまう女性を演じていた女優です。ソル・ギョングも彼女も演劇畑の出身ですが、その安定した演技力には目をみはるものがあります。

 日本では全く無名ですが『イエローヘア』で新人女優賞を受賞したイ・ジェウンも映画女優としての雰囲気を持った有望株。近い将来韓国映画界で頭角を現すこと間違いなし。オススメ女優の一人です。

 撮影賞は、奇抜な撮影テクニックを駆使したポリス・アクション『NOWHERE 情け容赦無し』の撮影監督チョン・グァンソクとソン・ヘンギが受賞。また、韓国国楽と西洋音楽を融合させた独特な音楽を生み出す逸材、ウォン・イルが昨年の『スプリング・イン・ホームタウン』に続いて今年は『イ・ジェスの乱』で音楽賞を受賞しました。ウォン・イルは『つぼみ』、『カンウォンドの恋』、韓国版『リング』の音楽も担当しています。

 一方、選定対象期間中に大ヒットした『アタック・ザ・ガス・ステーション!』『反則王』『カル』などは、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』が企画賞を受賞するにとどまりました。商業性の強い作品は賞取りレースでは不利なのでしょうか?

 さて、現在、韓国映画界には深刻な新旧映画人の対立があり、一時、若手映画人を中心に構成された「映画人会議」が、守旧派の韓国映画人協会が主催する大鐘賞には出席しないと宣言するなど、その開催意義が危ぶまれる局面もありましたが、授賞式前に両陣営が妥協。映画人のお祭りとして華やかに執り行われたという経緯がありました。また、長らく韓国映画人協会の理事長をつとめてきた守旧派のキム・ジミ(元女優)が引退し、映画発展功労賞を受賞したというのも、時代の変化を象徴する出来事なのかも知れません。

文責:ソチョン 2000/4/20



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