HOME団体概要support シネマコリア!メルマガ登録サイトマッププライバシー・ポリシーお問合せ



サイト内検索 >> powered by Google

■日本で観る
-上映&放映情報
-日本公開作リスト
-DVDリリース予定
-日本発売DVDリスト
■韓国で観る
-上映情報
-週末興行成績
-韓国で映画鑑賞
■その他
-リンク集
-レビュー&リポート
■データベース
-映画の紹介
-監督などの紹介
-俳優の紹介
-興行成績
-大鐘賞
-青龍賞
-その他の映画賞


真!韓国映画祭 『飛べ、ペンギン』特別試写会
チェ・ギュファン舞台挨拶

Reported by Kaoru
2010/8/27


 2010年2月18日(木)、東京の韓国文化院ハンマダンホールにて、真!韓国映画祭上映作『飛べ、ペンギン』の特別試写会が行われ、主演男優のチェ・ギュファンさんが来場されました。笑いに包まれた舞台挨拶とQ&Aの模様をお届けします。

2010年2月18日
韓国文化院ハンマダンホール
ゲスト:チェ・ギュファン
司会:西村嘉夫(シネマコリア)
通訳:金純姫

舞台挨拶

── 観客の皆さまにご挨拶をお願いいたします。

 (すべて日本語で) 皆さん、お会いできて嬉しいです。『飛べ、ペンギン』に出演しているチェ・ギュファンです。実は今、僕は大阪に住んでいて日本語を勉強しているので、まだ上手ではないですが、日本語でお話しします。今からご覧いただく『飛べ、ペンギン』はたくさんの俳優が出ているのですが、僕たち出演者は誰もまさか日本で上映されるとは思ってもみませんでした。日本の方々がこんなに関心をもってくれていると知ったら、今日ここに来られなかった他の俳優たちも大変喜ぶと思います。今日、僕が出演者を代表して皆さまに感謝の気持ちをお伝えしたいです。今日ご覧いただく皆さまには『飛べ、ペンギン』というタイトルを聞いて、ペンギンが出てくるアニメだと思った方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらペンギンは一度も出てきません。だったらなぜ、映画のタイトルを『飛べ、ペンギン』としたのでしょうか? その答えを考えながら映画を見たら、もっと面白いと思います。この映画はとても素朴で地味な映画です。有名な韓流スターが出ているわけでも、派手なアクションやストーリー展開があるわけでもないですが、地味でも素朴で心温まる面白さと感動があると思います。普段、私たちが生きている姿のようにです。この映画は、現代の韓国人の生活をリアルに描いた作品です。日本と似ているところと、そうじゃないところもあると思いますが、きっと共感していただけると思います。なぜなら、人間なら誰でももっている権利、人権の話だからです。自分の人権が大事なら、他の人の人権も大事ではないでしょうか? 私、そしてあなた、すなわち皆が一緒に生きていくということを考えてみませんか? と、この映画は言っています。面白いかも、つまらないかもしれませんが、最後まで楽にご覧になってください。下手な日本語でしたが大丈夫でしたか? 最後まで聞いてくださって、ありがとうございます。

── 今回、私が直接チェ・ギュファンさんとメールでやりとりして連絡を取り合っていました。メールはすべて韓国語で行っていましたので、日本に住んでいらっしゃるけれど、まだ言葉はあまりできないのかな?と心配していたのですが、今日、東京駅で待ち合わせしていましたら、いきなり日本語で話しかけられたので本当にびっくりしました。日常会話は問題なくお出来になるので、このまま日本語でお話しいただいても良いのですが、韓国映画ファンとしては、チェ・ギュファンさんの韓国語もお聞きになりたいですよね? 簡単で結構ですので、韓国語でもご挨拶をお願いします。

 (韓国語で)こんにちは。チェ・ギュファンです。韓国語だと楽で良いですね。この映画は僕にとって、とても印象深い映画なのですが、一番印象深いのは日本でこのように上映されて、皆さんとお会いできたということです。楽しんでご覧になってください。

── 本日、通訳をしていただくのは、彼の日本語の先生で金純姫さんです。さて、チェ・ギュファンさん、この映画の見どころといいましょうか、「こういうふうに見たら面白いよ」というのがあれば、お話しください。

 この映画は、韓国では人権映画として作られました。韓国の人権委員会というところによって作られましたが、人権映画というと難しくて少し堅苦しいと思われるかもしれません。しかし、この映画は少し違います。韓国の社会や生活をすごく正直に表していますが、一方では、温かくユーモアのある視線で作られています。今から映画をご覧になれば分かると思いますが、ご覧になった後でとても温かい気持ちになれると思います。

── 私も韓国映画を紹介する仕事を始めて10年以上になりますが、日本と韓国って似ているようで、違うところがたくさんあるんですね。この映画を見ると、やっぱり日本と韓国は違うんだと感じるところもあるのですが、まったく同じだ、日本でもよくある話だと共感できるところも多いんです。私は、昨年、あいち国際女性映画祭でこの作品を拝見したのですが、会場は大爆笑につぐ大爆笑でした。たぶん、映画の中のお話しが自分のことのように感じられて皆さん笑われていたのだろうと思います。

 この前、大阪で試写をしたのですが、その時もたくさんの日本の方が映画をご覧になりました。不思議だったのが、韓国ではすごく笑ったシーンで日本の皆さんはとても静かにご覧になったということです。今日だけは家で見ていると思って笑いたいところは笑って、共感できるところはそんな表現をしていただければと思います。

── 日本に来て韓国と違うと感じたことはありますか?

 日本に来たのは8回目くらいですが、初めは街がとてもきれいで人が親切だというのがとてもよかったです。今、大阪で1ヶ月半くらい生活をしていますが、韓国と日本は違うこともすごく多いと感じます。今一番大変なのは、例えば飲み物を頼む時、皆さん「どれがいい?」と聞くのですが、僕にはそれが何か分からないのです。残念ですけど。韓国ではそういうとき「だいじょぶですよ(「ケンチャナヨ」、「なんでも良いです」の意)」って言うのですが、そういうと、日本の皆さんは「要らない」という意味だと思って飲み物をくれない時があります。断る時の表現とそれが欲しい時の言葉がこんがらがります。大阪はおいしい食べ物が多いのですが、(ここから日本語)串カツがおいしいです。韓国人には日本語の「つ」の発音が一番難しいのですが、チュウテンカク(通天閣)の前の串カツが一番おいしかったです。

── ありがとうございました。チェ・ギュファンさんには上映後にまた登壇していただきます。今度は観客の皆さまからも質問をお受けしますので、宜しくお願いいたします。

 (日本語で)面白いかも、つまらないかもしれませんが、楽にご覧になってください。


上映後のQ&A

── お酒を飲むシーンがありましたが、本当にお酒を飲んでいたのですか?

 よくご覧になった方は気づいたかもしれませんが、場面が変わるたびにお酒の量が少しずつ少なくなります。それは本当に俳優たちが飲んだからです。トイレで倒れたシーンは本当に少し飲んでいました。あの日はその場面が最後の撮影だったので、楽にお酒を飲んでトイレで倒れることができました。

── ベジタリアンの役ですが、チェ・ギュファンさん自身はベジタリアンなのでしょうか?

 実は、お酒を飲んだり、肉も好きだったり、タバコを吸ったり…。ベジタリアンの役を演じるのがとても難しかったです。どのように演じたら良いかとても悩みました。映画の中で先輩たちが僕をいじめる場面がありますが、その場面を撮影しながら委縮したり気が小さくなったりしました。そのたびにイム・スルレ監督がこうおっしゃいました。「ギュファンさんが演じているジュフンという役は、他の人と好みや嗜好が違うだけである。人それぞれ性格が違ったり姿が違ったりするのと同じように、生きていく姿が違うだけだ。その方式が違うだけだ」とおっしゃいました。「だから委縮したり気が小さくなる必要はない」と。その話を聞いて明るく演技をすることができました。

── ギュファンさんの身の周りにはベジタリアンの人はいなかったのですか?

 日本でもベジタリアンはあまり見ることができないです。周りにベジタリアンがいたとしても分からなかったです。実は、お酒が飲めない人に対して「お酒をもっと飲んだら?」と強要したこともありました。この役を演じながら感じたことは、人は本当にいろんな人がいるんだな、人それぞれ理由があるんだなということです。僕と違う相手を理解しようと思うようになりました。

── それでは、ここからは観客の皆さまからご質問を承りたいと思います。

── [女性]最近新聞で読みましたが、韓国でも日本のお酒を飲むようになってきたそうですね。大阪で日本のお酒をお飲みになりましたか? もしお飲みになっていらっしゃるなら、感想はいかがでしょうか?

 韓国の焼酎は強いでしょう? でも日本の水割りは飲みやすいです。それがいいと思います。でも時々、韓国の焼酎が懐かしいときがあります。

── [少年]次は、いつ上映するんですか?

 来週の土曜日からポレポレ東中野で上映されます。お友だちと一緒に見に来てくださいね。

── 今、質問されたのは映画の最初のエピソードに出てくる少年と同じくらいのお子さんですね。お母さまは、いかがでしたでしょうか? 韓国の教育熱というのは?

 [少年の母親]ウチとまったく同じで驚きました。ウチも英語を必死でやっていますので、笑えないぐらい。ウチの主人もお仕置きをする時は、正座をして両手をあげて上にイスを乗せるので全く同じでした。

── [チェ・ギュファン]息子さんは英語がベラベラですか?

 [少年]いやいやいや…。

── ギュファンさんは、どうして大阪に住むことになったのですか?

 東京にも来たことがあるし、大阪にも行ったことがありました。映画や文化については東京で勉強しなければと思いましたが、大阪は在日韓国人がたくさん住んでいる地方で、知り合いがたくさんいたので大阪に来ました。今はまだ日本語が上手ではないですが、もっと上手になったら日本の映画にも出たいと思っています。日本の映画関係者や芸能人は関西の人が多いと聞きました。それで関西の方言も聞き取れないとダメだと思いました。ところで、関西も寒いと思ったけれど、東京はもっと寒いですね。

── 関西弁はおできになるんですか?

 なんでやねん!(会場から拍手)

── [女性]韓国の方がもっと寒いでしょう?

 韓国よりも気温はちょっと高いけど、日本の空気の中に湿気がたくさんあるので寒く感じます。

── [男性]『飛べ、ペンギン』というタイトルは何を意味しているのでしょうか?

 ペンギンは飛べない鳥ですよね。僕たち人間はみんな飛びたいという気持ちはあっても、飛べないと思います。したいこともあるし、なりたいものもあるけれど、僕をはじめとする皆さんも他の人たちとの葛藤があると思いますが、その関係を解くのはとても難しいと思います。みんなの中にある荷物を投げ捨てて飛びたいと思う気持ち、それを「飛べないペンギン」に例えてタイトルを付けたのだと思います。

── [女性]楽しく観ました。こんなに気楽に観られると思わなかったので本当に楽しかったです。後半に出てくる老夫婦がケンカをしているけれど仲良く過ごしているところが、日本と似たようなところがあるなと思ったのですが、もし結婚したらどんな夫婦として歩んでいきたいと思っていますか?

 僕は今、満で31、数えで33歳です。結婚したいですけど、相手がいないので…。もちろん結婚したら僕も映画の中のようにケンカしながら暮らしていくと思います。韓国にこんな言葉があります。「ケンカして情が深くなる」 ケンカしながらお互いの立場を理解して、もっと仲良くなる、という意味です。でもまだ結婚していないので、よくわかりません。質問された方は結婚していますか? どうですか?

── [女性]老夫婦と同じようにケンカしながら暮らしています。若い世代だからといって変わるわけではないです。結婚に失望しましたか?

 でも熟年離婚はダメでしょう?(笑)

── [女性]とても温かくなる映画でした。4つのエピソードが上手く繋がっていて、最後の老夫婦の話になってどう繋がるのかと思ったら、2番目の課長、3番目のお父さんですが、そのお父さんが登場して繋がっていくので上手いなと思いました。ただ、最後はみんな幸せな余韻が残るエピソードなのに、そのお父さんだけが不幸せなのが気になりました。お父さんは、その後どうなるのでしょう? 監督や出演者の皆さんの考えを教えていただけますか?

 韓国には「雁のお父さん(キロギ・アッパ:子どもの留学のため妻子を海外に送り、一人国内に残って働く夫のこと)」がたくさんいます。俳優の中にもとても多いです。俳優は給料が一定ではないので、外国に妻と子供たちを送って大変そうに仕事をしている人もたくさんいます。もちろん子どもたちの教育のためにしていることだと思いますが、その子供たちが大人になった時に、お父さんが韓国で大変な思いをして稼いだお金だと知ったらそれが幸せなのか、その子供たちが正しい世界観をもって育つかどうか…。今はまだ「雁のお父さん」の子供たちは大人になっていません。「雁のお父さん」は最近できた言葉なので、将来どうなるかわかりませんが、とても心配です。

── 最後に日本の観客へメッセージをお願いします。

 まず今日お越しいただいた皆さまに、感謝の言葉を伝えたいです。先程も言いましたが、映画を撮影していた当時はこの映画が日本で上映されるとは夢にも思いませんでした。韓国の映画やドラマや歌手が好きな方もたくさんいると思いますが、テレビでよく見るドラマとは少し違ったと思います。これが現実の韓国の姿です。この映画をご覧になった方々は、少し韓国について分かるようになったと思います。日本も韓国も文化の交流がたくさん行われていますが、まだお互いの本当の姿は分かっていないように思います。このような映画を通じて韓国をもっと知っていただければ、僕たち俳優や監督も生きがいになると思います。僕はこれからもっと日本語を勉強して、次にQ&Aをする時間があったら、日本語でお話ししたいです。今日はお越しいただいて、ありがとうございました。



Copyright © 1998- Cinema Korea, All rights reserved.