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スーパー・ギドク・マンダラ初日リポート

Text by 鄭美恵(Dalnara)
Photo by Kaoru
2007/3/19



 第13作『絶対の愛』の公開を記念して「スーパー・ギドク・マンダラ」の初日、2月24日にキム・ギドク監督の舞台挨拶が行われた。日本初公開の『ワイルド・アニマル』と『絶対の愛』についての監督自身の言葉をお伝えする。なお、通訳は根本理恵氏である。

── まず、ひとこと挨拶をお願いします。

 私の2作目の『ワイルド・アニマル』を観に来て下さってありがとうございます。

── それでは、まず『絶対の愛』について伺います。どのような発想で製作されたのでしょうか。

 スペインのサン・セバスチャン映画祭で観たある外国映画で、出演している2人の女優がとても似ていて、どちらがどちらか分からなくなり混乱してしまいました。こういったイメージで映画を撮るのはどうだろうか、とその時思いつきました。つまり似たような顔の人が二人出てきて、誰が誰だか分からないような、そういう映画を撮ったらどうだろうか、と思いつきました。

── パク・チヨンとソン・ヒョナ、2人の女優の印象について聞かせてください。

 キャスティングをした後によく見たら二人はとても似ていると思いました。ひとりはほとんど新人でひとりはベテランで、新人に近い女性が整形前を演じ、ベテランが整形後を演じたのは演技の中身として、演じる順番もよかったと思います。二人ともベストを尽くして一生懸命演技してくれました。

── 次に『ワイルド・アニマル』について伺います。この作品はフランスで監督が絵を描いていた頃の経験が元になっていますが、その時の思い出についておしえてください。

 1990年にフランスでお金もなく乞食のように暮らしていた時、辛い経験もたくさんしたのですが、その時私が経験したことや、周辺で見聞きしたものをひとつの映画にまとめました。韓国・北朝鮮・海外養子問題の3つの話を映画にしたかったのです。主人公たちは韓国を離れた画家、北朝鮮を脱出してフランスの外人部隊に入ろうとする人、それから海外養子になってストリップ・ガールをしている者、という3人の話です。1990年頃は今とは状況が違っていて、韓国と北朝鮮は近づけない間柄、お互い憎しみ合う緊張した関係だったのですが、そういう状況の中でパリを選んで、南でも北でもない他の都市で南北を和解させたいという気持ちが強かったです。キャラクターもそういったことをふまえて、韓国人のキャラクターは資本主義に毒された詐欺師、北朝鮮から来た人は純粋だが暴力をつかってのし上がろうとするマフィアのようなキャラクターにして、両者を衝突させようとしました。『ワイルド・アニマル』は『JSA』の低予算版と思ってもらえればよいです(笑)。

 いちばん思い出に残っているのはストリップ・ショーに出ている人々が住むストリップ村で映画を撮ったら、警察に「撮るな」と言われたことです。こちらは「死んでも撮る」と言って喧嘩しました。パリの警察官に「これ以上撮るな」と拳銃を突きつけられて「早くここから立ち去れ」と言われるまで撮りました。警察から脅しが入ったので私もこう言い返しました。「フランスは芸術の国なのになぜ映画を撮ってはいけないのか?」と。壁を10回くらいこぶしで本気で叩きました。そして手の節々が腫れて太くなったのを見せたら「30分だけ撮って行け」と言われました。30分の間に5つのシーン、20カット程度だけを撮って撤収しました。なので、映画はまとまりがないように見えるかもしれません。そうは言っても私が伝えたいと思っていることはこの映画で生きていると思うので楽しんでください。

── 『ワイルド・アニマル』に出演しているドニ・ラヴァンとリシャール・ボーランジェの出演が決まった経緯をおしえてください。

 フランスに行った時から二人をキャスティングしたかったのですが、無理とは思っていました。第一作の『鰐 〜ワニ〜』のVHSテープを2人に見せました。これを見て二人は映画に出演してくれると言ってくれたので、二人にはとても感謝しています。

── 最後にメッセージをお願いします。

 この映画はもう二度とどこでも上映されないと思っていました。韓国ではひっそりと静かに消えていった映画なので。『鰐 〜ワニ〜』が公開されたとき観てくれた人は少なかったのですが、観た人は衝撃を受けていました。当時、評論家100人中二人だけが支持してくれた状況でした。『鰐 〜ワニ〜』以降は私が作る映画は危険な映画という烙印を押されました。その後『悪い女 青い門』『魚と寝る女』が出てからは完全に「悪い監督」と言われるようになり、『悪い男』が出た頃は「これ以上私の映画に関心を見せない」と言う人がたくさんいました。映画を支持してくれた二人のうちひとりは『シネ21』の編集長になり、もう一人はチョン・ソンイルさんです。二人は私の作品全13本すべてを支持してくださって、次の作品を期待してくださっています。その二人にもし「映画をやめろ」と言われたらやめるつもりです。とにかく私にとって『ワイルド・アニマル』は重要な映画で、私なりの愛国心がこめられている映画です。

 みなさんとお話したくて話が長くなってしまいました。映画がつまらなくても許してください。この映画があったから今の自分がここにいるということを心にとどめてください。でも思ったより悪くないと思いますよ、丁寧に見ると。



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