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コリアン・シネマ・ウィーク2006 リポート
『家門の危機』チョン・ヨンギ監督インタビュー

Reported by 小野郁子
2006/10/31



 コリアン・シネマ・ウィーク2006が2006年10月22日から25日まで、Bunkanura シアターコクーンにて開催されました。6回目をむかえた本年度のテーマは“様々な家族の絆”。日本未公開作の『お母さん』『散策』『みんな、大丈夫?』、そして劇場公開前のプレミア上映となる『家門の危機』『ファミリー』の5作品が上映されました。また、ゲストとして『家門の危機』のチョン・ヨンギ監督と、『ファミリー』のイ・ジョンチョル監督が来日され、上映後にはティーチインがおこなわれました。

<チョン・ヨンギ監督プロフィール>

 『家門の栄光』シリーズ第2弾(第1弾は『大変な結婚』という邦題で劇場公開)として製作された『家門の危機』を監督されたチョン・ヨンギ監督は1970年生まれ。初監督作品は『人形霊』。最新作は9月に韓国で公開され大ヒットした『家門の復活』(『家門の栄光』シリーズ第3弾)。映画が好きで映画にたずさわる仕事につきたいと、大学は映像映画科に進学。入学当初は俳優になって映画に出るという考えも持っていたが、勉強をしていくうちに監督という職業に強くひかれ卒業後映画界へ。助監督を経て現在に至る。



Q: キャスティングについて教えて下さい。
A: まず今回主演のシン・ヒョンジュンさんを日本につれて来れなくてすいません。ハワイで開催される映画祭にゲストとして参加されるため、日本に一緒に来られませんでした。シン・ヒョンジュンさんは私が『アウトライブ −飛天舞−』の助監督をした頃から親しくしています。大変に演技の上手い人なんですが、素顔は明るくてユーモアがあって人を笑わせる人です。そんな面を演技として演じて欲しいと思いお願いしました。キム・スミさんはじめ、とてもいい役者さんが参加してくれて、キャスティングについては希望がすべてかなった作品です。演技する上でコメディだからといってオーバーな演技をするのではなく、どの程度に抑えて演じるかということに配慮しました。冒頭のお見合いの場面は当初シリーズの続編ということでキム・ジョンウンさんを予定していましたが、結果的にヒョニョンさんにお願いしました。チョン・ジュノさんは予定通り出てもらいました。

Q: コメディ的な要素のシーンはすべて監督のアイディアですか?
A: この映画の重要な要素である“笑い”の部分は私とスタッフとで話しあって作ったものです。冒頭のシン・ヒョンジュンさんの<体の一部>を怪我するシーンは社長が案をだしました。沢山の人が脚本段階から関わってくれました。そこに俳優さんの演技力が加わって完成しました。コン・ヒョンジンさんがピアノの弾き語りをしたシーンですが、これは『大変な結婚』でキム・ジョンウンさんが歌ったシーンと同じ歌、同じ場所で撮影しています。日本の方にはわかり難いかもしれませんが、キム・スミさんが演じた母親の還暦祝いの場面で有名なトロットの男性歌手のそっくりさんが登場します。

Q: 作品で描きたかったこと、伝えたいことは?
A: 私はこの作品を、夫をすでに亡くした女性が息子たちとその嫁と家を守るという形にしました。韓国では母親の存在が家庭の中で大きいので、その方が面白くなると考えたからです。それぞれの家族は形や構成人員は違いますが、自己主張をすこし控えて、お互いを思いやる気持ちを持てば、外からその家に嫁いだ女性も幸せな気持ちになると思うんです。この家の家族になって本当によかったと思うでしょう。家庭のいざこざも少なくなると思います。実は私自身結婚3年目で当初は本当に色々なことがあったんですよ。今はありませんが(笑)。シン・ヒョンジュンさんとキム・ウォニさんが演じた2人のように自分の感情に忠実に生きる、結婚するために特定の相手と出会うのでなく、“恋愛と結婚を区別しない”そんなことも伝わればいいと思っています。

Q: 今後撮りたい作品、希望ジャンルは?
A: 『家門の栄光』シリーズ第4弾の製作を期待されている方もいるようですが、まだそんな話は全くありません。人気シリーズの続編は前作がヒットすればするほど、作り手にとって難しいのが現実です。私自身はよいストーリーであれば、ジャンルにはこだわらず次回作として選びたいと思っています。それが結果的にホラーだったりラブストーリーだったりします。ただしエロティックな作品はちょっと苦手です。

『家門の危機』
 11月18日(土)よりシネマート六本木、シネマート心斎橋でロードショー
 http://www.kamon-kiki.jp/


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