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Review 『マイ・リトル・ブライド』『美しい夜、残酷な朝』

Text by カツヲうどん
2005/6/26


『マイ・リトル・ブライド』 ★★★

 この映画、いつもの韓国式ベタベタドラマのように見えるが、実はそれを逆手にとったコメディかもしれない。

 女好きな大学生サンミン(キム・レウォン)が、幼なじみの女子高校生ボウン(ムン・グニョン)と、祖父の言いつけで結婚しなくてはならなくなり、夫は教育実習で妻の高校に赴任する事になったことから、二人は夫婦であることを必死で隠さなければならなくなる。しかも妻には憧れの君がいるし、夫には独身の女性教師が虎視眈々と狙いをつける・・・

 このストーリー要約を読んでいただければ、「あれ、どこかのTVドラマとそっくりだ」とか、「どこかで読んだマンガのような」と思われる方は多いと思う。それゆえ、古典的なラブコメそのまんまなのだが、私が感心したことは「よくあるパターン」をここまでキチッと解析した製作者たちの計算高さである。監督のキム・ホジュンは今作が本格的なデビューのようだが、シナリオを含め、お手本ともいえるその「あざとさ」は、それは高く評価すべきだろう。

 映画はイライラするくらい健全で明るい。登場する儒教的家族関係も紋切り型だ。だから、韓国の若い観客からすれば「古臭ーい」といった、現実とズレたおかしさが、この作品には、満ち溢れているのだろう。納得できない結婚に対する本人たちや、家族の様子もきちんと描かれており、パターンに準じた安易なコメディになってしまう事を防いでいる。

 映画は、サンミンが済州島へひとり飛ばされてしまう辺りから急速に面白くなって行く。サンミンが、ボウンの通う高校に教育実習で行くハメになったことから起きるドタバタも、脇役陣の好演で、呆れるようなひどいものにはなっていないし、最後にはきちんと感動のラストも待っている。最後のオチは余計な気がするが、「若夫婦」がどういうハッピーエンドを迎えたか、皆にとっては納得の行くものになっている。

 サンミン演じたキム・レウォンは、まずまずの演技、といったところで、『アメノナカノ青空』の奥深い繊細さはないが、韓国人青年らしい個性は、好き嫌いがはっきりわかれそうだ。ボウン役のムン・グニョンは、日本でも特定のファン層に受けそうなロリータぶりではあるが、今後の女優活動への足枷になりそうな懸念もある。

 本作で注目すべきは、脇で三枚目を演じた女優陣だ。ボウンをいじめる不良三人組の個性は際立っているし、特にレウォンを狙う女性教師キム(アン・ソニョン)は、可愛ゆくすらある。

 この『マイ・リトル・ブライド』は、古典的コメディの再現を行っているため、好き嫌いがはっきり別れる作品に仕上がっているが、意外に巧妙で、そして丁寧で微妙な面白さを持つ作品だ。


『美しい夜、残酷な朝』 ★★★

 前作『THREE/臨死』は、各作品の連携が上手くいっていたとはとてもいえないオムニバスだったが、今回はぐっとテーマに沿った関係が密接になっており、各作品の出来・不出来は別にしても、作品群の統一感がそれなりに保たれたオムニバス映画に仕上がった。

1.パク・チャヌク監督 『Cut』
 この作品が今回最大の目玉、看板であることは間違いない。映像的な凝り方も、謎の男を演じたイム・ウォニの素晴らしさも際立っている。映画監督演じたイ・ビョンホンも、彼の個性が上手く生きているが、妻を演じたカン・ヘジョンは悲惨極まりない役回りだったので、ちょっと損した感がある。パク・チャヌク特有の残酷美とアンチ・ヒューマニズムいっぱいの作品なので、観る側の好き嫌いがはっきりする内容だろう。

2.三池崇史監督 『Box』
 三池崇史監督の登板は正解だが、現代日本映画の作風全体に共通する、醒めた感覚が、日本そのものの活力の減退を示しているようでもあり、ちょっと悲しかった作品。長谷川京子と渡部篤郎の二人が、俳優として魅力無さすぎなのも気になった。冷たい冬景色は印象的だが、なんとも歯切れの悪く、色々解釈出来る結末になっているところが、三池監督らしい。

3.陳果(フルーツ・チャン)監督 『dumplings』
 漢字の題名『餃子』が一番ぴったり来るエピソード。気持ち悪さでは三作品中、一番だが、この作品のヒロインの行動に、実は共感する女性も多いのではないだろうか? パク・チャヌクや三池崇史が、あくまでも「お話」で括っていたことに比べ、一番生々しい描き方をしているところが、陳果の作家性なのだろう。

 今回、一番気合いが入っていたのは、パク・チャヌクの作品だったのは、当然なのだろうけど、再び次回作も作るとすれば、もっと、ライバル意識むき出しにやってもらいたい。そうすれば、より三ヶ国競作の意味が出てくるのではないだろうか。


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